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房総にディーゼルを求めて(1)京葉臨海鉄道 <前編> [鉄分の濃い旅行記録]

“臨鉄”、臨海鉄道と名の付く鉄道事業者は全国にいくつかある。
そう、岡山県倉敷市を走る水島臨海鉄道もその1つ。いまから半世紀近く前にできた
「国鉄線(当時)と接続して、臨海部の重化学工業地帯を結ぶ貨物輸送主体の鉄道」
のこと。国有鉄道法の規定との関係もあって、沿線自治体、臨海部の工業地帯の
進出企業と国鉄の出資でできた、いわゆるひとつの第3セクター的な路線である。

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【2018年11月2日12時21分】 京葉臨海鉄道・浜五井-京葉市原(後追い)

「臨海部の工業地帯向けの貨物輸送」を主目的にした路線...とあっては、
多くは<鉄>であっても、なかなか馴染みのない路線なのだが...

千葉市内に位置する蘇我駅から、袖ケ浦市に位置する京葉久保田駅まで、内房線の
少し海沿いを、見えるか見えないかくらいの距離を開けて並走しているのが
京葉臨海鉄道。

もちろん非電化単線、ディーゼル機関車が貨車を牽いて走っているのである。
運転本数が極端に少なかったり、工場への引き込み線が撤去されて“休業状態”の
ところも見られる中、アクセスが便利で、運行本数も多くて比較的撮りやすいのも
この路線の特徴かも知れない。

……  ……

福島県への旅から帰ってきた<変態鉄>、冬に向けて仕事が忙しくなる前に、
この週はまるまる1週間のお休みだったのである。とは言っても、休みであっても
打合せとか何とか...仕事もあって、週の真ん中の2日間は会社へ。

そして...

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【2018年11月3日14時25分】 いすみ鉄道・デンタルサポート大多喜駅

予め、金曜日の夜は外房線の茂原駅前のビジホを予約していたのである。
そう、お目当ては、いすみ鉄道のキハ。行きたい、行きたいと思いつつ、7月以来、
久々の訪問となるのだが、その前日は...

茂原までは外房線直通の快速電車で80分ほど。夕方まで自宅でゆっくり...でも
良いが、それではつまらない。

ということで。

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【2017年10月24日12時27分】 千葉県市原市八幡浦付近

1年前、撮影地に三脚を置くことすらできなかった、この路線。
写真の村田橋は午前中が順光。朝早く起きるのはちょっと避けたい気がして。

そんな京葉臨海鉄道の撮影地を探して。これまで2度ほどチャレンジしたが、
なかなか思い通りに撮れなくて。

今回は、五井駅から海の方へ2 kmほど歩いた付近、京葉臨海鉄道の浜五井駅付近に
午後順光の撮影好適地があると聞いて。


2018年11月2日(金)晴れ

普段よりゆっくりと。朝ラッシュが終わった京王線で新宿駅へ。

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【2017年7月7日7時29分】 東京都渋谷区・バスタ新宿

いつもと同じ乗り場から、五井駅東口経由市原市役所前ゆきの小湊高速バス。
10:00発の便、この日は自分を含めて乗客3名。

発車直後、首都高湾岸線が混雑している...とのアナウンス。久々に中央環状から
アクアラインという流れで。道路は極めて順調。あっという間だった。
11:10頃、五井駅東口に到着。

普段ならここからキハなのだが...

この日はそのまま橋上駅舎を通り抜けて。

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【2018年11月2日11時11分】 千葉県市原市五井中央西・五井駅西口付近

普段、あまり来ることがない西口側へ。何だか、この週末に11月3日、4日が地元の
神社の秋祭りみたいで。駅前では山車の準備がたけなわ。
厳ついオッサンたちが法被姿で集合していたり。

その傍らを通り抜け、駅を背にして、兎に角、海の方に。
まっすぐな1本道かと思ったら、意外にも周囲は古くからの住宅街のような...
道はだんだん細くなっていき、曲がりくねった感じで。
遙か向こうに(?)、火力発電所だろうか、大きな煙突が目印になるので、臨海部へ
向かっていることは分かったのだが、だんだんどこを歩いているか分からなくなって。

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【2017年10月24日11時37分】 千葉県市原市五井付近

20分ほど歩いていると、やがて養老川の堤防に出たのだった。
前夜、確認してきた地図を思い出せば、河口付近には東京湾岸道路(国道16号)が
あって、その海側に寄り添うように臨海鉄道の線路があるはず。

よ~く見れば、道路橋の橋脚が二重になって見えているような気がして。

そちらの方に向かっていったわけで。でも...
湾岸道路に出て、横断歩道を見つけて向こう側に渡れば線路端に出られるはずが、
堤防と湾岸道路の間には段差とフェンス、直前まで来て...

う~ん、通路は横に、道路に沿うような形で続いていた。

どこかの工場の裏庭(?)に迷い込んだような感じで。
鬱蒼とした木立の向こうに湾岸道路を行き交うクルマの騒音が聞こえていて。
その向こうから、カンカンカンカン...と。それは間違いなく踏切警報音。

手元のダイヤグラムを確認すれば、浜五井駅11:44着の第505列車というのが。
たぶんそれ。目を凝らすと木々の向こうをゆっくりと走り抜けていく青い機関車。

ということで。迷い込んだ工場の敷地を通り抜ける形になってしまったみたい。
なぜか、正面玄関のようなところを通って、ようやく湾岸道路へ。

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【2018年11月2日11時49分】 京葉臨海鉄道・浜五井駅

さっそく線路を観察してみるわけで。

非電化単線の京葉臨海鉄道線。でも、この付近だけは複線のようになっている上、
海の方にある工場に向かっていく引き込み線が分岐していて。

そう、つまり。貨物専用線などで駅舎もプラットホームもなく、わかりにくいが
ここは駅構内なのである。

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【2018年11月2日11時53分】 京葉臨海鉄道・浜五井駅

ちょっと歩けば、鳥居型の簡素な駅名看板。
浜五井駅である。五井火力発電所と旭硝子の工場の中間付近にあって。
内房線の五井駅からは海岸に向かって2 kmほど進んだあたりに位置している。

<鉄>であれば、この付近に土地勘がなくても貨車に標記された「浜五井駅常備」で
ご存じの方も多いのでは!?

さて、<変態鉄>がネットで見つけてきた撮影地というのが、浜五井駅の
ちょっと北側、ちょうど、蘇我・千葉貨物から進入してくる下り列車の場内信号機が
建っている、そのすぐ近くに...

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【2018年11月2日12時47分】 京葉臨海鉄道・京葉市原-浜五井

旭硝子正門前踏切である。本当に文字通り。
大きな工場の入口。「予約車」を表示したタクシーがひっきりなしに出入りし、
両側の歩道も広くて、勤務の交替の時間帯なのだろうか。
退社していく人たちと出勤してくる人たち。意外と人通りもあって。

余談ながら、この撮影の帰り、五井駅までタクシーにしたのだが、そのタクシーを
電話で呼ぶときも非常に話が通じやすくて。
そう、<撮り鉄>に適した場所というのは、周囲に何もない場所であるのが一般的。

「※※の、※※を右折して、川沿いを1 kmほど行ったところの線路際」みたいな
依頼の仕方で、配車係の営業所のオジサンに「はぁ~!?」と言われるのが
いつもの<変態鉄>だが、この日はそんなことは一切無かった。

さぁ、最初の被写体は浜五井駅に12:10着の第207列車から。

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【2018年11月2日12時00分】 京葉臨海鉄道・京葉市原-浜五井

急ぎ、三脚にEOSくんをセット。ピッタリのタイミングだった。
京葉臨海鉄道の貨物列車の先頭に立つのは、KD55形とKD60形のディーゼル機関車。
水島臨海のようにJRから機関車ごと乗り入れてくることはなく。

継送地の蘇我駅で、JR貨物の電気機関車を切り離し、京葉臨海の青いディーゼル
機関車に交換してからやってくる。KD55 201号機が先頭に立ったタンカー列車
である。キャブ回りは国鉄型っぽい感じ。

でも、ボンネット回りは国鉄型より一回り大きくなっているようにも見え、
角型ヘッドライトになっていて、印象がちょっと違うのである。
ヘッドライト点灯で来てくれたのは嬉しいところだが、残念ながら機関車正面には
光が回っていないのが...。この時間帯、完全にサイド光になっており。

比較的、運転頻度の高い同線ながら、12時から13時の時間帯は列車の間隔が空く。
まさか昼休みというわけではないだろうが...、次の列車はちょうど1時間後の
第507列車なので...。ちょっとボーーッとしていたのである。

でも...

そこで油断してはならないのが、貨物専用線撮影の怖さなのである。
振り返れば、浜五井駅構内に上り列車が到着しているのがわかった。
やがて、ダイヤグラムに書かれていない時刻に踏切機が作動して...

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【2018年11月2日12時20分】 京葉臨海鉄道・浜五井-京葉市原

まさにフェイント。ダイヤに載っていない時刻に突然現れた上り貨物列車である。
消去法的に、ダイヤ上、浜五井駅を11:22発の第206列車が延発(?)になったと
思われる。

この先頭に立っているのがKD55 103号機である。エンジンの換装は済んでいるものの
国鉄で初めての本格的に量産化されたディーゼル機関車、DD13型の譲渡車である。

調べてみると、国鉄時代の車番は、DD13 346号機。1967年(昭和42年)日本車輌製。
新製配置は広島、その後、3年ほどで内郷機関区(常磐線のいわきの近く)に転属。
その後、水戸、新鶴見と転属し、最終配置は品川。国鉄が分割民営化される直前、
1986年(昭和61年)に京葉臨海鉄道に転入している。DD13型自体、JRには1両も
承継されておらず、色こそ違えど、それが30年以上経っても活躍中というのは
国鉄型を好きな<変態鉄>にとっては...

それも、外観については大きな改造をされず、DD13らしい姿を残しており。
しかも、浜五井駅を発車する際に、爆煙を吹き上げてくれて。

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【2018年11月2日12時21分】 京葉臨海鉄道・浜五井-京葉市原(後追い)

一番、気になっている機関車が、いきなりやって来てくれて。
残念だったのは光線状態が良くなかったこと。

でも、夢中でシャッターを切ったのである。何だか幸先良いスタートで。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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