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08. 雪夜の闘いを支え続けて...(本線・電鉄黒部駅) [探訪!! ちてつ百景]

単線区間に、複数の列車を運転しようとすれば、必ず、正面衝突の
リスクが発生する。これを防ぐために、区間毎に1つずつの
「通行手形」を持っていない限り、その区間に入線できないようにする...
この方法が“通票閉塞”、タブレット式である。
(本当はもっともっと複雑で、手間のかかるシステムだが...)

IMG_2857.JPG
【2012年8月2日17時14分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 38.9 mm 露出 F4.0 1/250秒 ISO400 WBオート

もちろん、地鉄も昭和40年代までにコンピュータ管理になったが、
ここにタブレット(キャリア)が、人知れずひっそりと休んでいる。
保存してある? いえいえ、これも“いまなお、現役”。

……  ……

IMG_2848.JPG
【2012年8月2日17時08分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO100 WBオート

西三日市、電鉄桜井と移り変わった駅名が、いまの「電鉄黒部」になったのは
昭和が平成に変わった頃のこと。
1922年(大正11年)に黒部鉄道・西三日市駅として開業、地鉄への統合後、
1951年(昭和26年)に電鉄桜井に改称、この直後に、この駅舎が竣工した
と言われている。駅前で客待ちしているタクシーも「桜井タクシー」だったし、
よそ者の自分は「黒部と桜井」の関係を「大阪と梅田」の関係と同じだと
勝手に理解している。

IMG_2864.JPG
【2012年8月2日17時17分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 12.8 mm 露出 F5.0 1/1250秒 ISO400 WBオート

この駅を訪れたのは、8月はじめの暑い夕方だった。
電車を降りて構内踏切を渡って駅舎へ向かうが、
そのすぐ足下には無造作にヘッドマークが捨てられている。
なお、電車前面の方向幕の調子が悪いときなどに、いまも前面に、
こういうマークを掲げることはあるそうだ。電鉄富山駅の壁には整然と並べてある。

IMG_2852.JPG
【2012年8月2日17時10分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 8.2 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO400 WBオート

駅員さんにフリー切符を見せて改札口を通った。
広いコンコース、天井を見渡すと不自然な丸い窪み。シャンデリアでもあったのか?
少し薄暗い感じの構内、待合室では扇風機が熱い空気を掻き回していた。

IMG_2905.JPG
【2012年8月2日17時43分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 9.1 mm 露出 F3.2 1/50秒 ISO100 WBオート

さて、上に掲げた写真、この駅舎は瓦葺き2階建ての名駅舎として知られているが、
少し悩んだのは、「電」「鉄」「黒」「部」「駅」の5文字が同時に写らないこと。
ということで、柱の内側から。

IMG_2897.JPG
【2012年8月2日17時35分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 9.1 mm 露出 F4.0 1/400秒 ISO100 WBオート

駅舎の玄関を出て左(西)に進む。地鉄系の旅行センターを挟んで、
貨物積込み線と木造の車庫。電鉄黒部ゆきとして到着後、夜間滞泊となる運用がある。

IMG_2898.JPG
【2012年8月2日17時36分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 28.1 mm 露出 F4.0 1/400秒 ISO100 WBオート

左にさきほどの駅舎、鉄骨の屋根で覆われた幅の狭いプラットホーム、
手前には、さきほどの構内踏切が見えている。

IMG_2901.JPG
【2012年8月2日17時38分】 富山県黒部市・電鉄黒部駅付近
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/400秒 ISO100 WBオート

振り返るとコレ。駅前のスーパーと言うより、なんでも屋さんと言った感じか。
でも、名前には惹かれる。3階建ての「角井スーパービル」、
そこらへんの“ビル”とは違う、こちらは“スーパービル”。ビルを超えたビルだ。

IMG_2888.JPG
【2012年8月2日17時29分】 富山県黒部市・電鉄黒部駅付近
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 8.2 mm 露出 F4.0 1/640秒 ISO100 WBオート

駅舎の前を横切って、駅の西側から駅前広場を見渡してみた。
左手に駅舎の屋根と柱がチラッと見えている。すっかり西に傾いた陽の光を受けて
ギラリッ! のビルが、あの“スーパービル”。

駅前広場は広かったが客待ちするタクシーが数台。
バス停にはバスを待つ人影もなく、通りがかる人もほとんどない。

IMG_2906.JPG
【2012年8月2日17時43分】 富山県黒部市・電鉄黒部駅付近
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 18.1 mm 露出 F4.0 1/250秒 ISO100 WBオート

ちょうど、ここが地鉄バスの黒部営業所、ホームに沿ってバス転回所がある。
待機しているのは、青帯塗装の地鉄バス2台。これぞ地鉄バスの姿。
バスマニアではないが、例の“パクリ塗装”では「ちてつ」って感じがしない。

IMG_2891.JPG
【2012年8月2日17時30分】 富山県黒部市・電鉄黒部駅付近
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 11.5 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO100 WBオート

バス営業所の先に踏切がある。
ここから駅構内が一望できる。鉄骨のホーム上屋の向こうに、
さきほどの木造車庫が、チラッと見える。石積みの狭隘なホーム、独特の雰囲気。
(左端のホームは使用中止中、だから、実質2面3線式となっている)

ここの踏切、大通りにあるのだが、遮断棒の長さは全然足りていない。
踏切が鳴った。宇奈月温泉ゆきの電車が、カメラを構える自分のすぐ脇を通った。

IMG_2915.JPG
【2012年8月2日17時30分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 11.5 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO100 WBオート

しばらくすると、定刻より少し遅れて「京阪かぼちゃ」の電鉄富山ゆきが来た。
電車の顔とホーム上屋の鉄骨に反射する太陽の光が、
夏の長い1日の終わりが近いことを告げていた。

……  ……

さて、今日の1枚。

IMG_2856.JPG
【2012年8月2日17時14分】 富山地鉄本線・電鉄黒部駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 10.3 mm 露出 F4.0 1/160秒 ISO400 WBオート

駅長室横の壁にコレを見つけて、ガラス越しに撮ってみたが、うまくいかない。
図々しくも、駅員さんに「写真撮りたいから開けても良いですか?」
露骨に面倒くさそうな顔で、「タブレットの中身は入っていないよ」とは
言いつつも、どう見ても平行四辺形になった収納箱をひょいと持ち上げて
長方形に直しながら、ガラス戸を開けて見せていただけた。

「でも、地鉄も、かなり昔に自動化されていますよね?」素人質問だったが、
駅員さん、今度は親切に回答してくれた。つまり、
終電後に運転する、深夜の除雪列車は、現在もタブレット式で運転されるとのこと、
だから、そのときには実際にコレを使用しているそうだ。
思えば、「上市-電鉄黒部」「電鉄黒部-宇奈月温泉」って閉塞区間が長すぎる。

「終電後の除雪列車」ということは...
あの黄色い除雪用ディーゼル機関車の運転士さんが、これを交換しながら
雪深い山間部の区間に足を踏み入れていくということか。

果たして、自分がその光景を撮れる日は来るのか!?
この冬、凍てつく夜、電鉄黒部のホームでカメラを構えているかも知れない...

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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コメント 8

@赤坂

駅周辺の様子もまとめた訪問記、私の記事よりも分かりやすくて適格です。さすがあるまーきさん。

電鉄桜井とくれば私のホームグラウンドです。夜間撮影の際はぜひお供をさせてください。
by @赤坂 (2012-08-13 11:38) 

maipenrai

真夏の訪問記なのに、このタイトルは何? と思っていたら、こういうことだったんですね。稼働する除雪車、見てみたいですね。
 それにしてもデイリーで記事を更新されているのに、この文章の量と、最後まで読ませるクオリティの高さには、本当に舌を巻いてしまいます。
by maipenrai (2012-08-13 12:54) 

arail206

こんにちは
まだまだ使われているところがあるんですね!

by arail206 (2012-08-13 18:30) 

サットン

私も地鉄バスのパクリは由々しきことと思っています。バスのデザインって街の風景の一つなのに、かくもあからさまにパクルとは!プライドないんでしょうかねえ。
by サットン (2012-08-13 19:23) 

あるまーき

みなさん、コメントありがとうございます。お返事がすっかり遅くなってしまいましたが...

☆ @赤坂さん
いつも、教えていただくディープな情報が大変役立っております。この記事が書けたのも、@赤坂さんのおかげによるところが大きいと思います。
除雪列車、撮ってみたいんですが、こればかりはいつ走るともわかりませんし...、機会があれば、よろしくお願いします。

☆ maipenraiさん
身に余る過分なコメント、ありがとうございます。お恥ずかしい限りです。
自分は、かなりの気分屋なもので、「書きたい」と思ったときに、まとめて書いてPCのハードディスクにテキストファイルで保存しています。アップする前に読み返して、書いた時点から状況が変わったところを訂正すれば、毎晩の記事が完成する...という流れでやっています。ご期待に沿える記事が書けるよう、頑張っていきたいと思いますので、今後とも、ぜひ、ご覧戴けますよう、よろしくお願いいたします。

☆ arailさん
本文中には「タブレット」と書きましたが、分類上は一種のスタフ閉塞かも知れません。放置状態と思っていたキャリアが現役だと聞いて、自分も驚いた次第です。

☆ サットンさん
前後が違うのと、東京都交通局のものより色調が少し淡いように感じます。降雪期の雪の跳ね上げのせいか、はたまた、塗料が悪いのか色褪せた感じの車両が多く、東京のものとは少し違った感じにはなってきました。でも、緑塗装車登場から10年以上が経過しても、統一するという感じはなく、鉄道線も、そうですが、あまり塗装に関するポリシーみたいなものを感じない会社な気がします。自分は、青帯・前後扉車こそ、地鉄バスだと思っています。

by あるまーき (2012-08-13 23:33) 

Cedar

毎日の更新お疲れ様です。
電鉄桜井=黒部は初めて行った時に、お写真にも写っている独特のホーム上屋が印象的でした。その頃は国鉄黒部駅への線路も一部残っていたような記憶が有ります。

by Cedar (2012-08-15 20:12) 

あるまーき

Cedarさん

コメントありがとうございます。
黒部鉄道と富山電鉄の結節点として、昭和初期の建設段階から紆余曲折あった地点だと聞いていますので、線路の変遷も複雑だったはずなのですが...

自分の知識不足もありますが、国鉄黒部との支線の痕跡を見付けることは今回はできませんでした。来月、富山に行く予定がありますので、そのときには再訪できるかも知れません。
by あるまーき (2012-08-15 20:48) 

風旅記

こんにちは。
興味を持って鉄道を見ていても、表面には見えてこないところでたくさんの人の手が掛かっているのだと実感することがあります。
ふとしたことでその片鱗に気がついて、見えないところで鉄道を守っている人が多くいるのだとわかったときに、改めて鉄道の魅力を感じます。
雪降る冬の夜にこそ働く人がいて、そのときにこのタブレットも活躍するのですね。
大変楽しく拝見させて頂きました。
by 風旅記 (2024-04-14 13:11) 

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