秋深まる会津路へ(6)霧と雲、そして雨。<後編> [会津・越後のキハ[只見・磐越西線]]
基本的に自分の趣味活動は“1匹狼”というか単独行動。でも、撮影地では別に
イベントなどの特別な日で無くても往々にして
<鉄>活動をしていると、撮影地で“同業者さん”というか同好の士とご一緒する
ケースが少なくない。世間話程度の話をしながら列車の通過を待つ...というのは
<撮り鉄>では、よくあること。年齢も職業も違って、何の接点もない人たちが
同じ列車を待っている...というだけで、何となく、いろいろな話をするのである。
そんなときに重大な情報がもたらされることも。
時刻表には絶対に載らないような列車の運転予定を、そっと教えて下さる方が。
何らの見返りもあるはずが無く。それでも、「ご存じですか...」と。
親切にも資料を見せてくれて詳細なダイヤを教えていただけたり...
まさに、この只見線の撮影がそうだった。
でも、過去にも同じような経験をしているなぁ...と。
【2013年4月9日18時57分】 山陽新幹線・新倉敷駅
拙ブログの開設からしばらく、まだまだ記事が短かった時代に...
https://gohachinihachi0309.blog.so-net.ne.jp/2013-04-09
こんな記事を書いていた。あの朝も...
…… ……
そう、2013年4月9日の朝だった。
それは、水島臨海鉄道の球場前駅近くのあの踏切。まだ4両のキハ20形が交互に
運用されていた時代。沿線でキハを撮っている“同業者さん”は時折見かけたが
キハめあてに水島を訪れる人は、そう多かったわけでは無く。
【2013年4月9日7時35分】 水島臨海鉄道水島本線・倉敷市-球場前
この朝は白地に青帯の水島色のキハ20形が運用に入っていた。
いまでは真新しい分譲住宅が建ち並び、すっかり撮りにくくなってしまった
この地点も、キハを菜の花と絡めて撮ることができたのである。
踏切の狭いスペースに三脚を置いて。そのとき、クルマで“同業者さん”が
お一人で。ちょうど自分の隣でカメラを構えて。
その方から、「今日は、この後、やっぱり“ドクターイエロー”ですか??」と。
いやいや、<変態鉄>は何も知らずに。ただただ、臨鉄キハを撮って、あとは
ホテルでゆっくりしていようと、その程度だったのだが。
「ええっ!! 今日、ドクターイエロー来るんですか!?」
何も知らない可哀想なオッサンだと思われたか...どうかは定かで無いが、
親切にも、この晩が下りの“こだま検測”が設定されている...と時刻まで
教えていただいて。新倉敷駅では多少の停車時間があるそうで。
その情報をもとに夕方の新倉敷駅へ。確か、新幹線改札口の近くに駅員さんの
手作りのような貼り紙があって、ドクターイエローの運行予定が書いてあったような。
【2013年4月9日18時57分】 山陽新幹線・新倉敷駅
だからだろうか、その時刻が近づくとチビッコ連れのギャラリーが集まって。
そんな下りホームの喧噪を横目に上りホームに三脚を立てて。
新幹線ホームは16両分、でも、中間部には短編成の「こだま」の停車位置目標、
それを参考にカメラを構えていたら、ドクターイエローは停車位置が前側に
ズレていたようで...。かなり焦ったことを記憶している。
…… ……
さて、一気に話変わって、10月28日の只見線である。
2018年10月29日(月)曇り一時雨
蓋沼自然公園付近の道路沿いから只見線の線路を...、田園地帯をゆく広々とした
景色の中で、大俯瞰でキハの姿を撮ることができると知って。
それを撮りたくて、ここまでやって来たのに。
朝8時台の2本は霧で撮ることさえできず。会津高田駅 10:14発の第426D列車に
全てを賭けるしか無かった。
【2018年10月29日9時03分】 福島県大沼郡会津美里町八木沢付近
9時を過ぎて、ようやく霧が晴れてきたら、眼下には会津盆地の田園地帯。
よく目を凝らせば、中央付近には東西に延びる線路が。
あと、もう少し霧が晴れてくれば背後の山並みもキレイに見え始めてくれて...
その期待の通り、雲海の上に磐梯山が頭だけを見せてくれて。
最高のシーンである。もう、ガッツポーズが出かかっていた。
誰も来ない山道、鼻歌交じりに上機嫌で、あと1時間。キハが来るのを待った。
ちょうど、そんなとき。
その蓋沼森林公園に続く山道を1台の4WDが。そのクルマ、<変態鉄>の真後ろで
停まって。
「いや、わたしも写真です」、三脚を担いで...リタイヤした位の世代だろうか
男性が姿を見せて。縁あって、よく只見線を撮りにいらっしゃるのだそうで。
何でも、この大俯瞰で「雲海とキハ」というのが撮りたくて挑戦されているのだとか。
「今日は、この後、East-i が来ますね」と。
「えっ!? そうなんですか??」
「ダイヤ情報(※)にも載っていたでしょう」
(※ 交通新聞社の月刊の鉄道誌。臨時列車の詳細なダイヤが掲載される)
わざわざ、クルマに戻って、その鉄道誌を確認してくれて。10:50頃に会津高田駅を
通過しそうだと。そして復路は15時半頃に通過する予定だとか。
「ありがとうございます!!」
これで晴れてきたら、晩秋の田園地帯を走るキハを撮って、そして年に一度(?)の
East-i の検測まで撮れる...。
だんだん妄想の中のガッツポーズが大きくなっていったのだが。
9時半頃だっただろうか、上空には灰色の雲が急速に広がってきて。
ポツリポツリと当たり始めた雨は、一気に激しさを増していったのである。
雨は俯瞰撮影には致命的なのである。フツーの鉄道写真よりも遙かに遠いところから
列車を見ているわけだから、雨で視界が悪くなると何も見えないのである。
そう、結局、雨脚が一番激しくなったときに根岸駅発車を告げるキハのタイフォン。
【2018年10月29日10時03分】 只見線・根岸-会津高田
必死に目を凝らせば、辛うじてファインダー内に白いキハの車体を確認できて。
これほどまで、コントラストのないノッペリした画になってしまうと、EOSくんの
オートフォーカスも、何に合わせて良いのかわからなくなって正しく作動しない。
もちろん、そういうときは予めマニュアルに切り替えておくものなのだが...
それも忘れてしまって...、動揺していた。
何とか画面の右端まで進んできたキハの姿を捉えることができて。
【2018年10月29日10時04分】 只見線・根岸-会津高田
いや、悔しかった。この大俯瞰が撮りたくて、会津までやって来て。
その結果がコレである。でも、その瞬間には「来春、絶対にココでリベンジ!!」
そう、ココロに誓っていたのである。
ずぶ濡れになりながら、大急ぎでバッグにカメラをしまったら...
朝お願いしたタクシー会社へ。同じ運転手さんがすぐに来てくれて。
クルマに乗れば会津高田駅までは、あっという間。
失意の中、まもなくやって来るはずの“East-i”をどこで撮るか...
それを考え始めたのだが。
【2018年10月29日10時45分】 只見線・会津高田駅
そんなの見つかるはずも無く。結局、ホーム端でカメラを構えることにした。
ちなみに、この「East-i」というのは、最高時速110 km/hで走行しながら
軌道(線路まわり)の状態、信号・通信系統の状況、電化区間では架線の状況などを
高い精度でチェックしてしまうという、スゴい車両なのである。
JR東日本の自社線内の他、<変態鉄>が先日訪れた京葉臨海鉄道など、他社線にも
時折貸し出され、検測を行っている。
【2018年10月29日10時45分】 只見線・会津高田駅(後追い)
もう「悪あがき」以外の何ものでも無かったが「会津高田」の駅名看板を入れて
撮っておいたことで、かろうじて、これが「只見線の検測シーン」であるという
“証拠写真”を残すことはできたのだった。
ちなみに、方角としてはホーム上の電柱と写真左端に見える駅舎の屋根、その間か
もうちょっと左側から、先ほどは俯瞰していた。
そう、あれから30分少々なのだが、この写真を見る限り、晴れ間が出ているのである。
う~ん、これはショック以外の何ものでも無かったのである。
さて、只見線。次の上り列車は14時過ぎまで無いのである。そう、<徒歩鉄>には
アクセスの難しい路線なのだが...
【2018年10月29日11時04分】 福島県大沼郡会津美里町字高田付近
駅からはちょっと距離があって。「駅前」と名乗っていて良いかどうか、ちょっと
ビミョーな場所だが...
会津バスの「高田駅前」バス停。若松駅前バスターミナルから、日中も毎時1本
くらいの頻度で路線バスがある。「高田・永井野線」である。
このバスが<変態鉄>の撮影に、非常に役立ったのである。(つづく)
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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<鉄>活動をしていると、撮影地で“同業者さん”というか同好の士とご一緒する
ケースが少なくない。世間話程度の話をしながら列車の通過を待つ...というのは
<撮り鉄>では、よくあること。年齢も職業も違って、何の接点もない人たちが
同じ列車を待っている...というだけで、何となく、いろいろな話をするのである。
そんなときに重大な情報がもたらされることも。
時刻表には絶対に載らないような列車の運転予定を、そっと教えて下さる方が。
何らの見返りもあるはずが無く。それでも、「ご存じですか...」と。
親切にも資料を見せてくれて詳細なダイヤを教えていただけたり...
まさに、この只見線の撮影がそうだった。
でも、過去にも同じような経験をしているなぁ...と。
【2013年4月9日18時57分】 山陽新幹線・新倉敷駅
拙ブログの開設からしばらく、まだまだ記事が短かった時代に...
https://gohachinihachi0309.blog.so-net.ne.jp/2013-04-09
こんな記事を書いていた。あの朝も...
…… ……
そう、2013年4月9日の朝だった。
それは、水島臨海鉄道の球場前駅近くのあの踏切。まだ4両のキハ20形が交互に
運用されていた時代。沿線でキハを撮っている“同業者さん”は時折見かけたが
キハめあてに水島を訪れる人は、そう多かったわけでは無く。
【2013年4月9日7時35分】 水島臨海鉄道水島本線・倉敷市-球場前
この朝は白地に青帯の水島色のキハ20形が運用に入っていた。
いまでは真新しい分譲住宅が建ち並び、すっかり撮りにくくなってしまった
この地点も、キハを菜の花と絡めて撮ることができたのである。
踏切の狭いスペースに三脚を置いて。そのとき、クルマで“同業者さん”が
お一人で。ちょうど自分の隣でカメラを構えて。
その方から、「今日は、この後、やっぱり“ドクターイエロー”ですか??」と。
いやいや、<変態鉄>は何も知らずに。ただただ、臨鉄キハを撮って、あとは
ホテルでゆっくりしていようと、その程度だったのだが。
「ええっ!! 今日、ドクターイエロー来るんですか!?」
何も知らない可哀想なオッサンだと思われたか...どうかは定かで無いが、
親切にも、この晩が下りの“こだま検測”が設定されている...と時刻まで
教えていただいて。新倉敷駅では多少の停車時間があるそうで。
その情報をもとに夕方の新倉敷駅へ。確か、新幹線改札口の近くに駅員さんの
手作りのような貼り紙があって、ドクターイエローの運行予定が書いてあったような。
【2013年4月9日18時57分】 山陽新幹線・新倉敷駅
だからだろうか、その時刻が近づくとチビッコ連れのギャラリーが集まって。
そんな下りホームの喧噪を横目に上りホームに三脚を立てて。
新幹線ホームは16両分、でも、中間部には短編成の「こだま」の停車位置目標、
それを参考にカメラを構えていたら、ドクターイエローは停車位置が前側に
ズレていたようで...。かなり焦ったことを記憶している。
…… ……
さて、一気に話変わって、10月28日の只見線である。
2018年10月29日(月)曇り一時雨
蓋沼自然公園付近の道路沿いから只見線の線路を...、田園地帯をゆく広々とした
景色の中で、大俯瞰でキハの姿を撮ることができると知って。
それを撮りたくて、ここまでやって来たのに。
朝8時台の2本は霧で撮ることさえできず。会津高田駅 10:14発の第426D列車に
全てを賭けるしか無かった。
【2018年10月29日9時03分】 福島県大沼郡会津美里町八木沢付近
9時を過ぎて、ようやく霧が晴れてきたら、眼下には会津盆地の田園地帯。
よく目を凝らせば、中央付近には東西に延びる線路が。
あと、もう少し霧が晴れてくれば背後の山並みもキレイに見え始めてくれて...
その期待の通り、雲海の上に磐梯山が頭だけを見せてくれて。
最高のシーンである。もう、ガッツポーズが出かかっていた。
誰も来ない山道、鼻歌交じりに上機嫌で、あと1時間。キハが来るのを待った。
ちょうど、そんなとき。
その蓋沼森林公園に続く山道を1台の4WDが。そのクルマ、<変態鉄>の真後ろで
停まって。
「いや、わたしも写真です」、三脚を担いで...リタイヤした位の世代だろうか
男性が姿を見せて。縁あって、よく只見線を撮りにいらっしゃるのだそうで。
何でも、この大俯瞰で「雲海とキハ」というのが撮りたくて挑戦されているのだとか。
「今日は、この後、East-i が来ますね」と。
「えっ!? そうなんですか??」
「ダイヤ情報(※)にも載っていたでしょう」
(※ 交通新聞社の月刊の鉄道誌。臨時列車の詳細なダイヤが掲載される)
わざわざ、クルマに戻って、その鉄道誌を確認してくれて。10:50頃に会津高田駅を
通過しそうだと。そして復路は15時半頃に通過する予定だとか。
「ありがとうございます!!」
これで晴れてきたら、晩秋の田園地帯を走るキハを撮って、そして年に一度(?)の
East-i の検測まで撮れる...。
だんだん妄想の中のガッツポーズが大きくなっていったのだが。
9時半頃だっただろうか、上空には灰色の雲が急速に広がってきて。
ポツリポツリと当たり始めた雨は、一気に激しさを増していったのである。
雨は俯瞰撮影には致命的なのである。フツーの鉄道写真よりも遙かに遠いところから
列車を見ているわけだから、雨で視界が悪くなると何も見えないのである。
そう、結局、雨脚が一番激しくなったときに根岸駅発車を告げるキハのタイフォン。
【2018年10月29日10時03分】 只見線・根岸-会津高田
必死に目を凝らせば、辛うじてファインダー内に白いキハの車体を確認できて。
これほどまで、コントラストのないノッペリした画になってしまうと、EOSくんの
オートフォーカスも、何に合わせて良いのかわからなくなって正しく作動しない。
もちろん、そういうときは予めマニュアルに切り替えておくものなのだが...
それも忘れてしまって...、動揺していた。
何とか画面の右端まで進んできたキハの姿を捉えることができて。
【2018年10月29日10時04分】 只見線・根岸-会津高田
いや、悔しかった。この大俯瞰が撮りたくて、会津までやって来て。
その結果がコレである。でも、その瞬間には「来春、絶対にココでリベンジ!!」
そう、ココロに誓っていたのである。
ずぶ濡れになりながら、大急ぎでバッグにカメラをしまったら...
朝お願いしたタクシー会社へ。同じ運転手さんがすぐに来てくれて。
クルマに乗れば会津高田駅までは、あっという間。
失意の中、まもなくやって来るはずの“East-i”をどこで撮るか...
それを考え始めたのだが。
【2018年10月29日10時45分】 只見線・会津高田駅
そんなの見つかるはずも無く。結局、ホーム端でカメラを構えることにした。
ちなみに、この「East-i」というのは、最高時速110 km/hで走行しながら
軌道(線路まわり)の状態、信号・通信系統の状況、電化区間では架線の状況などを
高い精度でチェックしてしまうという、スゴい車両なのである。
JR東日本の自社線内の他、<変態鉄>が先日訪れた京葉臨海鉄道など、他社線にも
時折貸し出され、検測を行っている。
【2018年10月29日10時45分】 只見線・会津高田駅(後追い)
もう「悪あがき」以外の何ものでも無かったが「会津高田」の駅名看板を入れて
撮っておいたことで、かろうじて、これが「只見線の検測シーン」であるという
“証拠写真”を残すことはできたのだった。
ちなみに、方角としてはホーム上の電柱と写真左端に見える駅舎の屋根、その間か
もうちょっと左側から、先ほどは俯瞰していた。
そう、あれから30分少々なのだが、この写真を見る限り、晴れ間が出ているのである。
う~ん、これはショック以外の何ものでも無かったのである。
さて、只見線。次の上り列車は14時過ぎまで無いのである。そう、<徒歩鉄>には
アクセスの難しい路線なのだが...
【2018年10月29日11時04分】 福島県大沼郡会津美里町字高田付近
駅からはちょっと距離があって。「駅前」と名乗っていて良いかどうか、ちょっと
ビミョーな場所だが...
会津バスの「高田駅前」バス停。若松駅前バスターミナルから、日中も毎時1本
くらいの頻度で路線バスがある。「高田・永井野線」である。
このバスが<変態鉄>の撮影に、非常に役立ったのである。(つづく)
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
あなたの「ポチッ!」こそが、励みになります。あっ、あと、「nice!」も。
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