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あのキハのサウンドを!!(たぶん、2007年8月の土讃線) [車内放送]

昨年10月、仕事の休みを利用して四国を訪れた。
その話を拙ブログは12月まで引っぱったわけだが...

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【2015年10月27日13時42分】 愛媛県西条市大町・四国鉄道文化館(南館)

ただ、その訪問先を四国に決定したキッカケの1つが、このキハだった。
「キハ65形急行型ディーゼル動車」である。

その生い立ちに関しては、その際の、こちらの記事で語ったのだが...

写真撮影より車内録音に明け暮れていた<変態ガキ鉄>、陰陽連絡急行「砂丘」や
九州の「えびの」など急行列車で、最後の活躍中をする姿は実見したが、
駅撮りの写真も影が落ちたり黒潰れしていたり...、ロクな写真は撮っていない。

でも、今日は、90年台から2000年代初頭にかけて<変態鉄>の録音したMDの中から
迫力のDML30HSD形エンジンのサウンドではじまる、キハ65で録音の車内放送を
ご紹介したい。

ただ、メモをしっかり残しておらず...
たぶん、2007年8月の訪問時に録音したような気がするのだが...
2000年代初頭、つまりJR四国のキハ65最末期に何度か乗りに訪れているので、
もしかしたら、他の時だったかも知れない。(何とテキトーな...)

……  ……

繰り返しにはなるが、まず、このキハ65形というのは...

国鉄時代、非電化亜幹線に急行列車が走り出した昭和30年台以降、
非電化路線を抱える沿線自治体などをはじめ、ディーゼル急行新設の要望は多く、
ディーゼル動車の需給が逼迫していた高度成長期、国鉄も新技術開発の余裕は無く
戦前に設計・製作され、昭和40年台にはすでに旧式だったDMH17エンジンを使った
ディーゼル動車を大量に製造し続けた。“安定性”の面では良かったが...

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【2010年5月9日15時54分】 因美線・知和-美作加茂

急行用ディーゼル動車はキハ28・58形。エンジンは180 psのDMH17H型。
これを1基搭載しているのが「ニハチ」、2基360 psの強力型が「ゴハチ」。

でも、昭和40年台以降、道路網整備で都市間バスと国鉄の競争は激化していく。
そうした中で九州四国地区を中心に、急行用車両の冷房化は急務とされたが、
「ゴハチ」は、すでに床下が一杯で新たに冷房用の電源装置を追加する余地など...
そこで、「ニハチ」の床下に自車含め3両に給電できる冷房用発電エンジン4VKを
搭載(車両番号を2000番台へ変更)することで冷房化した。

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【2015年10月27日13時43分】 愛媛県西条市大町・四国鉄道文化館(南館)

でも、山岳路線のディーゼル急行も「3両に1両以上は1基エンジン車」では、
馬力が足りず...、その問題を克服するため、1969年(昭和44年)、
新開発の12気筒DML30HSD形という、500 psの強力エンジン1基と冷房用発電エンジンを
搭載したキハ65形がつくられたのだった。

だから、「ゴハチニハチ」が1,800両も製造され全国各地で活躍したのに対して
「ロクゴー」は全部で104両、九州・四国地区を中心に配置されるだけだった。
分割民営化後は東海以西のJR4社に承継され、最後の活躍を見せたのだが、
老朽化と特急格上げで急行型自体の需要が減った中で、客扉幅が狭いなど、
ローカル用には向かない車体構造だったことなどもあって、2000年代に入ると
淘汰が本格化した。

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【2007年8月15日】 土讃線・箸蔵-佃

その最後の、最後の定期運用は松山配置車。
土讃線運用は2008年まで残っており、高松を11時と12時に出る
高松-琴平-阿波池田のローカル列車で下った、キハ58+キハ65の2両編成、
これを2編成併結の4両編成に組成して、阿波池田を16時台に発つ、
快速「サンポート」号として高松まで戻るという運用があった。

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【2007年8月】 予讃線・高松駅

下りの高松発阿波池田ゆきは、高松で朝、ことでんをちょっと撮った後で乗るのに
ちょうど良い時間帯の2本、何度も狙って乗りに行った。
<変態ガキ鉄>が尋ねると、当時、JR四国の車掌さんは車内放送の際に
「オルゴールを鳴らしても鳴らさなくても良い」と指示されていたそうで、
厚かましくも、「鳴らして下さい!!」との<変態ガキ鉄>のリクエストを
いつも快諾してくれたのだった。

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【2015年10月27日13時49分】 愛媛県西条市大町・四国鉄道文化館(南館)

JR四国の急行型ディーゼル動車は、早い時期に“近郊化改造”を受けた車両が多く、
ペアを組むゴハチは、便所・洗面所を撤去、デッキも廃止していたが、
キハ65の方は、シートが改良された以外は比較的オリジナルに保たれていた。
<変態鉄>の旅行メモの中に、次の殴り書きを見つけたのが冒頭部分の理由。

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【2007年8月15日】 土讃線・阿波池田駅


2007年8月15日

土讃線 第254D列車 快速「サンポート」

↑ 高松

  キハ58 773
  キハ65 26
  キハ58 203  ★乗車
  キハ65 41

↓ 阿波池田


ちなみに、「サンポート」というのは高松駅に隣接した大型商業施設。
瀬戸大橋の開業で宇高連絡船が廃止され、桟橋があった高松駅も少し移転、
駅周辺には大型商業施設とJR系のホテルなどを中心とした再開発が行われた。

日中、予讃線・土讃線方面から高松を目指す快速列車に「サンポート」の愛称が
つけられ、大半は近郊形電車だったが、夕刻、阿波池田からのこの1本だけは
急行型ディーゼル動車4両編成での運転だった。



その阿波池田発車を。発車から2分程度のサウンドである。

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【2015年10月27日13時50分】 愛媛県西条市大町・四国鉄道文化館(南館)

改めて、聴き直してみると最後部のキハ65 41のデッキでの録音だったみたい。
冒頭部分に車掌が戸締めを確認して連絡用ブザーを鳴らす音、それから乗務員扉を
閉めるときの“バタンッ”という音が収録されている。

放送マイクは、ディーゼル動車共通の緑色の電話機型のものだがJR四国車は
分割民営化直後の時期に「アルプスの牧場」のオルゴールを撤去し、替わりに
電子音の「JR四国チャイム」に交換済み。この阿波池田発車後のアナウンスにも
その前後にチャイムが流れている。アナウンスは、ちょっと早口な車掌さんだが、
でも、「サンポート号 高松ゆき」と愛称も言っているし、停車駅の案内など
なかなかの好放送。「スイッチバックの秘境駅」として全国区で有名になった
県境の坪尻駅を通過すること、快速運転区間は坂出-高松間だけであることなどを
告げている。

それより、何と言っても冒頭部分にDML30HSD型エンジン全開で加速していくときの
サウンドが録れていたのが、いまとなっては貴重な記録となった。
これより遥かに旧式のDMH17型は都心からクルマで1時間ほどの房総の地で
毎日走っているが、こちらはもう聞くことのできない音なのである。

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【2007年8月15日】 予讃線・多度津駅

あれから、まもなく10年。「あの頃、もっとしっかり撮っておけば...」
ネガをスキャンしながらそんなことを思う日々なのである。

という訳で、2日連続の車内放送ネタ。これじゃ、PV数減るわな...

明日からは、1月2日の「いすみ鉄道撮影記」を。

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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コメント 2

風旅記

こんばんは。
昔に四国を旅した時のことを思い出しながら、こちらの記事とお写真、大変楽しく拝見させて頂きました。
キハ65形は、住む関東では見ることのできない車両ゆえに、最初に乗った時には珍しく感じたものでした。お写真のある車内の様子(座席)、懐かしいです。
走り始めれば、エンジン音が大きくてうるさかったことを覚えています。山深い土讃線を走ってゆく列車は、乗っていて楽しいものでした。
走る列車も綺麗になり、編成も短くなって、往時の四国の鉄道とは随分変わったようにも感じます。
遠方でなかなか訪ねることができませんが、今の四国の鉄道を体感しに行きたくなりました。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/
by 風旅記 (2017-08-29 20:25) 

あるまーき

風旅記さん

ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。
JR四国も、沿線人口の減少と高速道路との競争でなかなか苦戦しているようで、その中でも観光列車の新設など今後の展開に期待したいのですが...
土讃線というのは、自分の好きな路線でもあります。大歩危・小歩危の車窓も良いですが、吉野川鉄橋前後のΩ状のカーブなども好きで、特急「南風」などに乗るときは、いつも楽しみにしています。
車輌は世代交代が進みましたが、あの車窓風景は変わっていないと思います。自分も、また行きたいと思っているのですが。
by あるまーき (2017-08-29 22:09) 

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