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晩秋の只見線を撮りに(5)終着駅とは呼びたくないけれど... [会津・越後のキハ[只見・磐越西線]]

只見線は会津若松駅から、新潟県の、上越線の小出駅まで135 kmほどの路線である。
路線名にもなっている只見というのは新潟と福島の県境(福島県側)にある町。

でも、135 kmほどの路線とは言いつつも、列車はすべて会津川口ゆきである。
というのも、2011年...だから、あの震災があった年だが、夏の水害で会津川口と
只見の間の30 kmあまりの区間が運休となってしまって。

いまや、東日本にとどまらずJRグループでも屈指の不採算路線である只見線、
この災害で、もしかしたら...と心配させたが、紆余曲折の末、漸く復旧工事が
進められることになって。

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【2018年12月5日14時58分】 只見線・会津川口駅

ということで、現在も会津川口と只見の間はバス代行輸送になっている。
ちなみに、本来は会津若松の...、白地に緑色「東北色」のキハ40の運用の只見線、
分断された小出-只見間は磐越西線用、新津に配置されているキハ47形が使われて
いるので...、一度、こちらも撮りに行きたいと画策中なのである。

ということで、会津宮下で撮った後は14時半の下り列車で...

……  ……

2018年12月5日(火)雨のち曇り

みたび会津宮下駅に戻ってきたわけで。

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【2018年12月5日13時25分】 只見線・会津宮下駅

1時間後に下り列車がやってくる。

本当は会津若松のホテルに戻るだけだから、上り列車を待つのが本来だろうが、
その上り列車は16時まで無くて。そう、今度の下り列車が会津川口駅で折り返して
戻ってくるということなので、それなら<乗り鉄>。とりあえず、会津川口駅を
目指すことにしたのである。

駅員さんは制帽を机の上に置いて、奥の方で休憩中。自動券売機の設置が無く、
近距離でも窓口で発券してもらうことになっているのだが...

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【2018年12月5日14時23分】 只見線・会津宮下駅

ずっと待っていたのだが、まもなく列車の時刻。仕方なくホームへと続くガラス戸を
開けて。上りホームの先端から進入してくるキハの姿を。

キハ40形2連。ユネスコエコパークのラッピング車両を連結した2両編成である。
このタイミングで、制服姿の駅員さんはホームに。長らくタブレット閉塞が
残っていた只見線では、交換可能駅は基本的に駅員さんが居るわけで...

乗降客がいなくてもホームに立って...

やはり、そういう鉄道情景には乗客や鉄道マンなど「人」が大切なのだと...
まぁ、そういうマジメな話題は他の<鉄>ブログに譲ることにして。

たぶんこの列車、会津坂下-会津若松間の高校生の下校輸送の送り込み便にあたる
列車で、車内は本当に閑散としており。中高年のグループ客が賑やかな一画が
あるくらいで。

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乗客があると駅を発車してすぐに、車掌さんが車内を巡回して。
「スミマセン、川口まで...」、補充券発行機を操作して320円の乗車券を出して
くれるのである。

右手の車窓に只見川の流れを見ながら、ゆっくりと走って行くキハ。
暖房の効いた車内で、ボックスシートを独占して。ブーツを床に脱ぎ捨て、
向かい側のシートに足を投げ出し、キハの揺れに身を任せる...

あまり人様にお見せできる格好では無いが、でも、ローカル線の<乗り鉄>での
醍醐味である。キハのボックスシートで足を投げ出して座っているとき...は、
<鉄>として...、いや、<変態鉄>として最も幸せを感じる時間かも知れない。

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【2018年12月5日14時58分】 只見線・会津川口駅

終点・会津川口駅までは30分ほどの乗車。

広い構内は1面2線の島式ホームから長い構内通路を通った先に駅舎があって。
手前の線路は蒸気機関車が活躍していた当時は機回しや車扱いの貨物列車の発着に
使われていたのだろうか!?

昔ながらの広い駅構内である。まずは、改札口へ。駅員さんにきっぷを渡して
外に出てみたものの...

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【2018年12月5日14時53分】 只見線・会津川口駅

以前来たときはホームでスナップしただけ。駅の外に出てみるのは初めてのこと。
駅舎は農協と郵便局が同居していて。内部では食料品なども販売しているような...

とはいえ、駅の周囲でやることもなく。
しかも、今度の...、いま乗ってきた列車の折返しで帰らないと。

というわけで改札口で会津若松までの乗車券を買ったら、再びホームへ。

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【2018年12月5日14時56分】 只見線・会津川口駅

左(只見方面)を見れば、線路は続いている。ただし、どちら側の出発信号機も
赤を現示したままになっている。そして、よく見れば線路は茶色く錆びている。

そう、会津川口から只見までの30 kmほどの区間は2011年夏の豪雨被害以来、
長期運休が続いている。人口が少なく、自然環境が厳しく...となれば、このまま
廃線という可能性が取り沙汰されるのは、他の被災ローカル線と同じである訳で。

紆余曲折あって、最近流行の“上下分離方式”への移行により、復旧が決定し、
2021年度末までの復旧を目指して工事が始まっている。復旧工事の中心は流失した
第7只見川橋梁なのだそうだが...

ということで、もうしばらくの間、只見-会津川口間の30 km余りの区間は
バス代行輸送が続いているのである。

いまは交換する列車も無いわけで。この駅で、どうしても撮っておきたい1枚が
あった。それが...

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【2018年12月5日14時56分】 只見線・会津川口駅

このショットなのである。

と、駅撮りの平凡なカットなのだが...

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【2000年7月6日】 只見線・会津川口駅

大学生だった頃、期末テストが近づいてきて...、そこからの“現実逃避”のために
朝の上越新幹線に乗り込んだのは2000年の7月のことだった。

小出駅から只見線のキハに乗り込み...

当時も白地に緑の濃淡、「東北色」のキハ40形だったと記憶している。
ただ、当時、只見線運用に入っていたのは、いまよりももっと「国鉄型」なキハ40
だったはず。確か冷房の付いていない車輌もいたような。

上の写真、18年半が経過してホーム上にはスロープに沿って手摺りが設置されたのが
わずかな変化だろうか。

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【2018年12月5日14時56分】 只見線・会津川口駅

この会津川口駅、線路のすぐヨコが只見川なのである。
そう、だからこそ2000年に撮った、18年前の、この1枚のスナップ写真の場所を
思い出すことができたのである。

ちなみに...

思わぬ“今昔”...というか“定点比較”になった会津川口駅の1枚、そのバック、
キハの左奥の方に只見川に架かるトラス橋が見えている。この18年間で塗り替えが
行われたことがわかる...というのは、さておき。

この橋が架かっているのは、会津川口駅と会津中川駅の中間付近に位置する。
その橋の付近にひろがる小さな集落が「大志」、“日本のスイス”と形容され...
観光パンフなどにも載っており。

実は、この橋の手前、線路沿いにある公園からキハの背後にそんな風景を入れて
撮ろうというのが、第1只見川橋梁の、道の駅からの大俯瞰がダメだった場合の
「雨プラン」だったのである。

でも...

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【2018年12月5日15時21分】 只見線・第430D列車(キハ40 2085車内)

車窓から...

そう、この橋の付近、只見川で比較的大規模な浚渫工事が実施されていたのである。
情景中心に撮る地点だけに、これは「雨プラン」を採用していたとしたら、さぞ
ガッカリしていたはずで。悩みながらも会津宮下駅で下車した、この朝の
<変態鉄>の選択は間違えていなかったと分かって。

ちなみに、今度の訪問時にこのポイント、チャレンジしてみたいと思っている。

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【2018年12月5日15時03分】 只見線・会津川口駅

というわけで、15:27、定刻でキハが動き出すのである。往路よりも乗客は少なめ。
途中駅でわずかな乗客はあったものの、車内は静かなままで...

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【2018年12月5日16時16分】 只見線・第430D列車(キハ40 2085車内)

上り列車が只見川と別れるのは会津柳津駅。
この駅には、C11型蒸気機関車が保存されている。時折、只見線でSL列車の
臨時運転が行われているのだが、只見線で主力だったSLはC11型。真岡鐵道の
C11 325号機を借り入れて運転しているのだが、蒸気機関車の動態保存の中で
現役時代に活躍したのと、同じ形式で同じような編成を...というのは
案外少なかったりもする。只見線SLの場合、C11が旧型客車を牽くという現役時代に
近いスタイルで走るわけだから魅力的な訳で...

でも、そうなると徹夜組も含めて、沿線の有名撮影地には<変態鉄>の割り込む
余地などある訳も無く。

さて、そんなノンビリムードの車内が一変するのが、会津坂下駅。制服姿の
高校生たちが一気に乗り込んできて、車内は満員になる。高校生たちがまとまって
乗降するのは、会津坂下と会津高田、そしてみんな西若松で降りる...みたい。

車内が賑やかなのは、ホンのわずかな区間なのである。西若松駅で下り列車と
会津鉄道の列車と交換するためにまとまった停車時間。17時を回って周囲は
すっかり真っ暗になった頃、会津若松駅に到着するのだった。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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