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北陸のディープ<鉄>を巡る旅(9)ちてつ特急“TY”を撮る <中編> [雷鳥色の電車たち[富山地鉄]]

下りホームには岩峅寺(いわくらじ)止まりの電車が折返し待ち。
すでに「電鉄富山」ゆき表示に変えられている電車を見て、
下りホームに向かう乗客の背中に、白髪頭のベテラン駅員さんの一言。

「ヤマから下りてくるから...」

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【2018年8月11日11時34分】 富山地鉄立山線・岩峅寺駅

その乗客が、慌てて構内踏切を渡ってくると同時に踏切機が鳴り出す。

急勾配を下ってきたのは電鉄富山ゆき普通電車。午前中の「アルペン特急」で
立山に行った観光列車“アルプスエキスプレス”の折返しは電鉄富山ゆき普通。

そんな富山地鉄立山線は、途中の岩峅寺駅を境に雰囲気が変わる。
駅員さんも“山”と呼んでいるように岩峅寺から先、立山までは常願寺川に
へばりつくように急勾配と急カーブが続く山岳区間、一方、岩峅寺以北は水田地帯
を1直線に走り抜ける区間が続く。それぞれに撮影好適地があって。

もちろん、<徒歩鉄>としてアクセス可能な場所を選んで...ということになるので
この日は岩峅寺駅の1つ手前の沢中山駅にほど近い陸橋を選んだのだった。

……  ……

2018年8月11日(土)くもり

朝8時半に現地入りして、“お目当て”の特急“TY5”列車は11時前。
2時間半近くを周囲にトイレもなければ飲料水の確保も難しい場所で。
ゲリラ雷雨、熱中症...、夏の<撮り鉄>は不安がつきものなのである。

でも、この日は...。列車の本数が多いことも一因かも知れないが、あっという間
だったような気がする。

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【2018年8月10日10時12分】 富山地鉄立山線・釜ヶ淵-沢中山

下り「アルペン特急4号」第AP4列車は観光列車“アルプスエキスプレス”の運用。
構図を“3両編成用”にいったん変更して。

16010系特有の細長い長方形のヘッドマークが掲出されている。
この日の「アルペン」のマークは、白い羽根、冬の装いの雷鳥をデザインしたもの。

そして...

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【2018年8月11日10時17分】 富山地鉄立山線・沢中山-釜ヶ淵(後追い)

試し撮り、最後は沢中山駅 10:20発の第318列車。2両編成を写し止める位置決めも
バッチリだった。

次の列車は10:40過ぎの特急“TY5”列車。
既に準備万端、そのときを待つばかり...だった。時刻通り、釜ヶ淵駅近くの踏切の
音が聞こえ始めて。レリーズスイッチを握る手にも力が入る。

そして...

カーブの向こうからファインダーに飛び込んできたのは、14760形、白地に灰色、
赤いラインの“だいこん色”。狙い通りである。

2両目が完全に視界に入ったときからレリーズボタンを押して連写しようと
思っていた。でも...

いきなりだった。

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【2018年8月10日10時40分】 富山地鉄立山線・釜ヶ淵-沢中山

そう、<速報版>にも書いた通り、この謎なカットが記録されて、そのまま
シャッターは動作しなくなってしまったのである。これこそ、アタマの中が
真っ白になるというか...、冷静に考えれば、レリーズスイッチを挿していても
カメラ本体のシャッターボタンは動作するわけで、そちらに切り替えれば
良かったのだが、もう夢中で。列車がベストポジションを通過していくのは、
コンマ何秒のことであるわけで。“えっ??”と思って...何もできないまま。

“TY5”列車はお目当ての編成で走り去って言ってしまったのである。

まさに、文字通り...“茫然自失”。ここぞという場面で“撃沈”というのは、
これまでにも何度も経験してきているのは拙ブログでも何度も書いてきた通り。
でも、これはショックというか、何というか...。

“まさか”の事態だった。

でも、天は<変態鉄>を完全に見放したわけではなかった。帰ってからデータを
整理してみると、実は、連写していたうち、この1枚手前のカットだけが残って
いたのである。“Only One”である。

それが...

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【2018年8月10日10時39分】 富山地鉄立山線・釜ヶ淵-沢中山

この1枚。14760形に「立山号」のマークが掲出されている。
でも、見れば見るほどショックなのである。あのときが思い出される。嗚呼。

兎にも角にも、特急“TY5”列車は通過してしまって。これで、午前中の立山線
下り列車のピークは一段落したのだった。

ということで...

「帰ろうかなぁ」と思ったのだが、予定より1本遅らせての“残業”決定である。

三脚とカメラバッグを担いで陸橋上に戻ると、
沢中山 11:06発の下り普通・第317列車は10030形“かぼちゃ電車”の運用。

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【2018年8月10日11時00分】 富山地鉄立山線・釜ヶ淵-沢中山

この日は妙に“かぼちゃ”率が高いようで。“だいこん”は、さきほどの
特急“TY5”列車だけ。あぁ...、何だか余計にショックなのである。

この電車と、隣の岩峅寺駅で交換してくるのが、第8320列車・電鉄富山ゆき。

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【2018年8月10日11時11分】 富山地鉄立山線・沢中山-釜ヶ淵(後追い)

ダブルデッカーエキスプレスの特急“TY3”列車の折返しは、普通電車となる。
特急列車の設定は、午前中の下りと夕方の上りに集中しているのが立山線ダイヤ。

DDEXを普通で使うときは「鳩マーク」の上にある“特急”の文字が目隠しされる。
いまの地鉄では珍しい、車掌さんが乗務している列車であることも確認できる。

この構図、午前中だと側面が黒潰れするのだが、お昼に近づいてきたことと
あと、曇り基調の天気であるから、こういう撮り方ができた。

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【2018年8月10日11時27分】 富山地鉄立山線・沢中山駅

ローカル私鉄とは思えない運転間隔、次の普通電車は下りが11:32発。
ということで、下り第1319列車・岩峅寺ゆきで1駅。

ぬぁんと、またもや、14760形「立山あーとれいん」である。
この時間帯、下りの区間便とあっては車内は閑散としており。あっという間に
岩峅寺駅に到着した。

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【2018年8月11日11時33分】 富山地鉄立山線・岩峅寺駅

映画「剱岳 点の記」で、明治時代の富山駅としてロケに使われた駅舎として
有名な駅である。駅舎内には、そのときの写真パネルなどが展示されているが、
<変態鉄>には見慣れた光景。その駅舎に隣接するトイレに行ってきただけ。

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【2018年8月11日11時33分】 富山地鉄立山線・岩峅寺駅

下り第1319列車で岩峅寺駅に着いた「あーとれいん」、折返しは12:07発の
第1322列車、普通・電鉄富山ゆきである。下りホームに停車したまま、
運転士さんも暫しの休憩。そのときのワンシーンが、この記事の冒頭である。

もちろん、折返し電鉄富山ゆきとして発車するまでに転線作業が行われる。
すぐに上り線へと転線しないのは...

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【2018年8月11日11時34分】 富山地鉄立山線・岩峅寺駅

先行の上り第322列車(11:41発)を先に通すためである。

駅構内から望遠レンズで狙ってみると、岩峅寺駅のすぐ先から千垣、立山方面に
向けて急勾配が始まっていることがわかるのである。ちなみに、<鉄>として...
いや、<変態鉄>としては木製架線柱が多く残っているのが嬉しいところ。

季節・天気によっては駅撮りで、立山バックの雄大な1枚が簡単に撮れる場所
でもあって...。(狙っても、なかなかうまくいかないのだが)

と、アルプスエキスプレスに乗り込んでも良いが、<変態鉄>が向かったのは...

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【2018年8月11日11時34分】 富山地鉄上滝不二越線・岩峅寺駅

その先にある上滝不二越線のホーム。このアルプスエキスプレスの到着を接続して
発車する第618列車。11:45発の南富山経由電鉄富山ゆきである。

昼下がり。こちらもわずかな乗客を乗せて発車である。大庄、月岡、開発...と、
何度も撮りに来た区間を通って、このまま電鉄富山まで乗り通すかと思いきや...

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【2018年8月11日12時03分】 富山地鉄上滝不二越線・南富山駅

そう、降り立ったのは南富山駅である。

ということは...

いつもの“無意味なラウンドトリップ”である。朝8時、寺田経由の電車で出発、

  電鉄富山 → 寺田 → (撮影)→ 岩峅寺 → 南富山 → 電鉄富山エスタ前

と時計回りに1周するような感じ。だから、ここからは...

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【2018年8月11日12時24分】 富山地鉄市内軌道線・電鉄富山エスタ前-富山駅(後追い)

そう、市内軌道線デ7000形の吊り掛けサウンドを味わったのだった。

とりあえず地下通路を通って、いったんホテルに戻るのだが...(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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