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北陸のディープ<鉄>を巡る旅(6)北鉄浅野川線 <乗車編> [鉄分の濃い旅行記録]

「この間、富山に行って...」という話を、北陸地方と関係のない人としていると、
往々にして金沢市と混同しているとしか思えないようなリアクションが返ってくる。
富山藩主も前田氏だったわけで...、実は今の高岡や、富山市内でも地鉄電車沿線、
あるいはそれ以東の魚津・黒部方面は加賀藩だった。
(古い地図を見ると稲荷公園のあたりが富山藩の東端にあたるくらい!?)

江戸時代の「富山藩」は加賀百万石の“支藩”に過ぎず、いまの富山市と立山町の一部
を合わせたような感じの小藩だったのである。ちなみに明治の廃藩置県後、“富山県”
設置を巡っても紆余曲折あり、一時的に石川県に“吸収合併”されていたことが
あったのも確か。

だからといって、富山と金沢では、かなり違いがあるように感じるのだが...
「北陸地方最大の都市」といえば金沢になるのだろうけれど、実は“北陸”を冠する
企業というのは富山にあるケースが多い。

北陸銀行というのは富山の地方銀行(いまは北海道銀行と組んで「ほくほくFG」)
北陸電力も本社は富山駅北、<変態鉄>の“定宿”の真向かいにある。

でも、「北陸鉄道」(通称・北鉄)は金沢にある企業。「富山地方鉄道」(ちてつ)と
同様、県内の鉄軌道・バス事業者をまとめる形(いわゆる戦時統合)で1943年
(昭和18年)に発足している。「国鉄の各駅から分岐する路線がある」とさえ言われた
複雑な路線網を抱えていた北鉄も路線の整理が進み、西金沢駅を通る石川線と、
北鉄金沢駅から海の方を目指す浅野川線だけ、こちらは「ほぼバス会社」である。

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【2018年8月10日13時16分】 北陸鉄道浅野川線・内灘駅

そんな浅野川線を訪れたのは...

……  ……

井の頭線で毎日乗っていた3000系電車が...、しかも初期車ばかりが譲渡され、
さすがに“レインボーカラー”は、北鉄のコーポレートカラーのオレンジ色に
変更されたが、いまも、あのステンレス電車たちが活躍しているのである。

北鉄金沢駅から海水浴場などもある内灘まで、ほぼ南北に全長7 kmほどの短い路線。
そこに12駅あるわけで、典型的な、昔ながらの“電鉄線”といった感じである。

さて、冒頭の「金沢と富山の違い」、<変態鉄>の感覚から言うと...

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金ピカが大好きなのが金沢、意外と地味なのが富山...だろうか。
(※ 意見には個人差があります)

北鉄電車の1日乗車券、キンキラキンの中で角度を変えると電車の画が浮かんで
くるようになっている。(富山地鉄の1日乗車券は、かなり地味なデザインである。)


2018年8月10日(金)くもり

金沢駅に着いたのは12時半過ぎ、昼間は30分間隔の運転。今度の電車は13:00発。

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【2018年8月10日12時40分】 北陸鉄道浅野川線・北鉄金沢駅

ということでホームに入って撮影したかったのだが、列車別改札が徹底されていて。
12:47に上り電車が到着したが、それでも改札が始まる気配はなく...

カメラを準備したまま、<変態鉄>は改札横のベンチで待ち続けたのだった。
降車客が改札を出ると続いて運転士さんが無人になったホームで折返し準備。
準備が整って改札が始まったのは発車の数分前になってからだった。

ということで、大急ぎで。

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【2018年8月10日12時47分】 北陸鉄道浅野川線・北鉄金沢駅

島式ホーム1面、2両編成の電車の長さにピッタリ合わせて作られた地下ホームは
写真が撮りにくいことこの上ないのだが...

左側のホームで電源が落とされた状態で留置されているのが、8801編成。
この編成こそが“お目当て”だったのだが...、やはり地下ホームは暗いもので。
よく見て欲しいのは、車体裾がストレートになっていることと何と言っても
片開き扉。井の頭線に5両編成29本が在籍していた3000系電車の最初の2編成は
“狭幅・片開き扉”で製造された。ただ、<変態鉄>が沿線に越してきた頃には
ほぼ「車庫の肥やし」状態になっており。朝ラッシュピークに1往復か2往復だけ
富士見ヶ丘-渋谷間の区間運用に入るだけになっていた。

同一形式で統一されていた当時、パッと見に分かる“異端車”とあれば、<ガキ鉄>
として気になるもので。高校生だった当時、朝の通学時、時間を合わせて乗ろうと
狙ったものだったが...。

1996年に、いまの1000系電車が投入されると(予想通り)真っ先に廃車になった。

でも...

“急いでいた”とはいえ、ISO400のままで撮れば...、EOSくんの手ブレ補正機構に
全てを賭けたのだが...(思いっきり手ブレ写真)

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【2018年8月10日12時47分】 北陸鉄道浅野川線・北鉄金沢駅

そして、乗り込んだのは8903編成。どうやら狭幅車は8800番台、広幅車を8900番台と
区別しているようで。それでも、広幅車も27本あったうち、肩のところのコルゲート
(波板)が多い初期の編成である。

車内はクリーム色の化粧板に臙脂色のシート、運賃箱が設置されて運転台直後の
座席が撤去されているものの、まさに20年前の井の頭線そのもの。
う~ん、懐かしい。

発車するとすぐにトンネルを出て、あとは住宅街をまさに軒先を掠めるように。
駅間距離も短く、路線名の由来にもなった浅野川の左岸を走って行く。
だんだん住宅が少なくなってきて車窓がローカル線の雰囲気に。意外だったのは
打鐘式踏切が比較的多く残っていたこと。

終点1つ手前の粟ヶ崎駅の手前で、浅野川が合流する大野川を長いガーター橋で渡り。
まもなく、終点・内灘駅に到着となる。

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【2018年8月10日13時12分】 北陸鉄道浅野川線・内灘駅

駅舎はちょっとオシャレな感じに建て替えられているものの、本の中で見たような、
まさに“電鉄線のターミナル駅”という感じなのである。片面ホームの端からスロープ
で駅舎の改札口へと繋がっており。
(ただ、こちらも降車客の集札が済んでから乗車改札を開始する列車別改札制が徹底
されており...、ゆっくり撮影することはできないのである)

駅前広場には自社のフィーダー路線バスが待っており...。
これこそ“正しい私鉄駅”である。暑い、というのは確かな感想だが、その暑さの中で
熱さを感じながらEOSくんのファインダーを覗いていたのである。

他線との接続が一切無いのもこの路線の特徴。前記事でご紹介した西金沢を通る
石川線とは、そもそも線路が繋がっておらず、現在では、架線電圧も異なるので、
全く別の路線なのである。こちら浅野川線は、もと井の頭線3000系の初期車、
8000形2両編成5本で全ての運用を賄っている。

その車庫と工場は内灘駅のホームの反対側にコンパクトにまとまっている。

上の写真でバスが停まっている先、車止めに沿って入っていける路地があって...

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【2018年8月10日13時14分】 北陸鉄道浅野川線・内灘駅付近

さっそく、目の前に現れたのは8802号車。そう、お目当ての狭幅車である。
2両固定編成のはずが、編成をバラされており...、まさか!?

でも、屋根上のクーラーを見ればビニールが貼られているのは、塗装時のマスキング??
足回りもグレーに塗装されており。

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【2018年8月10日13時14分】 北陸鉄道浅野川線・内灘駅付近

障害物が多く形式写真とはいかないもの、井の頭線3000形だった頃から考えても
“狭幅車”を青空の下で、ちゃんと撮ったのは初めてのことだった。
次は走行シーンを撮るべく“リベンジ”しようと画策中である。

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【2018年8月10日13時15分】 北陸鉄道浅野川線・内灘駅付近

さて、2両編成の相棒、8902号車はどこかというと...
隣の工場建屋の中を覗き込んでみると、予想通り!! この車体、狭幅車であることが
確認できる。クーラーが外されて、90度回転した状態で屋根上に見える。

そう、つまり検査入場中だったのである。

さて、やはり、<鉄>として久々に乗った路線、しかも、自分にとって懐かしい
思い出の電車が走っている路線とあれば、沿線で撮らずに帰るわけにはいかない。

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【2018年8月10日13時20分】 北陸鉄道浅野川線・内灘駅付近

工場のところをぐるっと回って内灘駅の南側に出てきたのである。
浅野川線随一の撮影地とされるのは、内灘駅の1つ隣、粟ヶ崎駅の近くにある鉄橋。

内灘駅に戻って後続の電車を待つなら、見えるくらいの位置だけに、歩いてしまった
方が早いくらいである。

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【2018年8月10日13時25分】 北陸鉄道浅野川線・内灘-粟ヶ崎

歩き出してほどなく、踏切が鳴ったので急遽、線路端で。
乗ってきた電車が北鉄金沢ゆきとして折り返していくシーンである。

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【2018年8月10日13時29分】 北陸鉄道浅野川線・粟ヶ崎駅付近

それを撮ってさらに5分歩くと、大野川に架かる橋と粟ヶ崎駅が見えてくる。
午後は、粟ヶ崎駅前から大野川鉄橋を渡ってくる電車を撮ることができる。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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