サクラ咲く、富山へ(4)かみおか。 [保存車・廃線跡]
岐阜県の最北、富山との県境近く神通川の支流が流れる小さな町が「神岡」。
現在は飛騨市内にあたる。最近は、“スーパーカミオカンデ”で有名だが、
やはり、何と言っても鉱山の町である。
2001年まで、採掘が行われた三井金属神岡鉱山は亜鉛や鉛、銀の採掘で知られ
<変態鉄>がその名を知ったのは、小学生のとき“四大公害病”の1つとして
神通川流域の「イタイイタイ病」の話を聞いたときだった。
亜鉛鉱の廃液に含まれるカドミウムが原因とされる。
【2017年4月8日9時06分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
2006年まで、高山本線の猪谷(富山市)から分岐し、その神岡鉱山の茂住を経て
神岡の中心街を通り、奥飛騨温泉口駅まで20 kmあまりを結んだのが神岡線。
国鉄末期に第3セクターに転換されたが、2006年に廃線となる。
<変態鉄>は大学生の頃に一度だけ訪問している(→ こちら)。
「おくひだ1号」「おくひだ2号」と名付けられた個性派ディーゼル動車が
廃線後も車庫内に非公開で保管されているのは耳にしていたが、まさか...
…… ……
今回の“出撃”のキッカケはコレだった。
神岡鉄道廃止の際に、地元を中心に「観光路線」として活用しようとする動きが
あったのは聞いていた。だから、廃止後10年以上経ったいまも、猪谷駅構内と
それに続くトンネル部分のごく一部はレールが撤去されているが並行道路を走る
バスの車窓に見える神岡線の“廃線跡”は<鉄>以外には間違いなく現役の線路に
見えるほどキレイに残っている。線路もそのまま、バラストも残っており、
定期的に草刈りも行われ、雑草も生えていない線路がほぼ全線に渡って。
【2017年4月8日14時59分】 旧神岡鉄道・奥飛騨温泉口駅
現在は、そのうち3 km余り、旧奥飛騨温泉口駅から旧神岡鉱山前駅までの区間で
地元NPO団体が中心となって“RMTB”(レールマウンテンバイク)というのが
春から秋にかけて行われ、「予約が取りづらいほどの人気」となっている。
「鉄道路線の復活」となれば難しい事情があるわけだが、でも、廃線跡を
観光資源として活用しようという...、ロストライン・フェスティバルの
目玉として旧神岡鉱山前駅構内の庫内に保管されている「おくひだ1号」を
旧奥飛騨温泉口駅まで自走させた上、体験乗車会を行おうというイベントが
4月8日に開催された。
その名も「おかえりなさい! おくひだ1号」。
もちろん、体験乗車の申込み抽選にも応募したが、その結果は...。
お察しの通り。ここは「撮り」に専念することにしたのだった。
2017年4月8日(土)曇り時々雨
公共交通機関で神岡まで行くのは意外と大変。富山駅前を7:30発の地鉄特急バス
平湯温泉線というのが最も妥当な選択肢。
ということで、部屋で簡単に朝食を済ませて富山駅前のバス乗り場へ。
【2017年4月8日8時51分】 岐阜県飛騨市神岡町船津 ・濃飛バス神岡営業所
新穂高ロープウェイ、平湯温泉ゆきという特急バスは富山地鉄と濃飛バスの
共同運行、特急バスといえど、車両需給の関係から2扉路線車が使われることが
あると聞いていたので、ちょっと早めに7時に出発したのだった。
でも、やって来たのは高速仕様のバス。20名くらいの乗客での出発。
富山空港を経由する以外は41号線経由のバスと同じような経路で笹津へ。
高山本線に沿って山深い区間へと。そんな平湯特急線バスが満員になったのは
富山県と岐阜県の県境で、神岡線の始発駅でもあった猪谷。
そう、高山本線で先行してここで乗換えという方法があったのである。
スノーシェッドに覆われた、連続急カーブの山道に分け入っていくと、
対岸に線路のようなものが。9時前、ほぼ定刻で「濃飛バス 神岡営業所」バス停。
【2017年4月8日9時03分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
旧神岡鉱山前駅に近いこの一帯が神岡の中心街にあたる。
神通川の支流の流れを挟んで向こう側には神岡鉱業の施設が広がっていた。
神岡営業所でバスを降りた。運賃は1,360円。
ただ、実はこれはちょっと“予定外の行動”だった。
この日、イベントが開催されるのは旧奥飛騨温泉口駅付近、「おくひだ1号」の
保管場所が旧神岡鉱山前駅で3 kmほどの距離がある。
“出発式”を見学したら、イベント会場まで移動する公共交通機関は無し。
でも、“同業者さん”と思しき皆さんが一斉に降車すると黙っていられなかった
<変態鉄>、何も考えずに後に続くのだった。
上の写真は旧神岡鉱山前駅構内から撮ったもの。線路は高台の上を通っている。
青い橋が見えるが、その右下に神岡営業所がある。船津北交差点を挟んで
旧神岡鉱山前駅。
【2017年4月8日8時50分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
すでにカメラを持った人たちの姿が...
照明が消され、ひとりだとちょっと入るのを躊躇うようなコンクリートの駅入口。
薄暗い通路を足下に注意しながら進み、階段を上がると...
【2017年4月8日8時52分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
ディーゼル動車の、キハの、軽やかなエンジン音が響き渡っていた。
【2017年4月8日8時53分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
TVカメラも入り、「出発式」の準備がたけなわ。
こうなると<変態鉄>のテンションも上がるわけで...
ホームの中央付近には線路へと下りる階段も仮設され、自由に立ち入って
撮って良いみたい。カメラを持った大勢の人たちの中には、<変態鉄>の
顔見知りの方の姿もあり、もちろん、その大半は「出発式」の模様を
カメラに収めようと場所取りしていたわけだが、<変態鉄>はそこから離れて
駅構内外れ、ロープが張ってあるエリアの一番奥まで進むのだった。
そう、式典の模様は“犠牲”にしてでも、KM-101「おくひだ1号」の走行シーンを
何としても撮っておきたかったのである。
そうしたら...
【2017年4月8日8時55分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅付近
斜面に面した車庫側の線路にいた「おくひだ1号」を転線させるみたい。
旧神岡鉱山前駅は、同線唯一の交換駅だったところで島式ホームを具えている。
広い方の、町からよく見える、こちら側の線路に移して式典を行うみたい。
廃線から11年、眠っていたディーゼル動車が、大勢の前で再び走り出した瞬間を
撮った1枚である。速度は極めてゆっくり。でも、白い煙を上げて...
【2017年4月8日8時56分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅付近
ポイントを渡って、<変態鉄>の目の前でいったん停車。
すぐに折り返して...、いよいよである。(つづく)
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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現在は飛騨市内にあたる。最近は、“スーパーカミオカンデ”で有名だが、
やはり、何と言っても鉱山の町である。
2001年まで、採掘が行われた三井金属神岡鉱山は亜鉛や鉛、銀の採掘で知られ
<変態鉄>がその名を知ったのは、小学生のとき“四大公害病”の1つとして
神通川流域の「イタイイタイ病」の話を聞いたときだった。
亜鉛鉱の廃液に含まれるカドミウムが原因とされる。
【2017年4月8日9時06分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
2006年まで、高山本線の猪谷(富山市)から分岐し、その神岡鉱山の茂住を経て
神岡の中心街を通り、奥飛騨温泉口駅まで20 kmあまりを結んだのが神岡線。
国鉄末期に第3セクターに転換されたが、2006年に廃線となる。
<変態鉄>は大学生の頃に一度だけ訪問している(→ こちら)。
「おくひだ1号」「おくひだ2号」と名付けられた個性派ディーゼル動車が
廃線後も車庫内に非公開で保管されているのは耳にしていたが、まさか...
…… ……
今回の“出撃”のキッカケはコレだった。
神岡鉄道廃止の際に、地元を中心に「観光路線」として活用しようとする動きが
あったのは聞いていた。だから、廃止後10年以上経ったいまも、猪谷駅構内と
それに続くトンネル部分のごく一部はレールが撤去されているが並行道路を走る
バスの車窓に見える神岡線の“廃線跡”は<鉄>以外には間違いなく現役の線路に
見えるほどキレイに残っている。線路もそのまま、バラストも残っており、
定期的に草刈りも行われ、雑草も生えていない線路がほぼ全線に渡って。
【2017年4月8日14時59分】 旧神岡鉄道・奥飛騨温泉口駅
現在は、そのうち3 km余り、旧奥飛騨温泉口駅から旧神岡鉱山前駅までの区間で
地元NPO団体が中心となって“RMTB”(レールマウンテンバイク)というのが
春から秋にかけて行われ、「予約が取りづらいほどの人気」となっている。
「鉄道路線の復活」となれば難しい事情があるわけだが、でも、廃線跡を
観光資源として活用しようという...、ロストライン・フェスティバルの
目玉として旧神岡鉱山前駅構内の庫内に保管されている「おくひだ1号」を
旧奥飛騨温泉口駅まで自走させた上、体験乗車会を行おうというイベントが
4月8日に開催された。
その名も「おかえりなさい! おくひだ1号」。
もちろん、体験乗車の申込み抽選にも応募したが、その結果は...。
お察しの通り。ここは「撮り」に専念することにしたのだった。
2017年4月8日(土)曇り時々雨
公共交通機関で神岡まで行くのは意外と大変。富山駅前を7:30発の地鉄特急バス
平湯温泉線というのが最も妥当な選択肢。
ということで、部屋で簡単に朝食を済ませて富山駅前のバス乗り場へ。
【2017年4月8日8時51分】 岐阜県飛騨市神岡町船津 ・濃飛バス神岡営業所
新穂高ロープウェイ、平湯温泉ゆきという特急バスは富山地鉄と濃飛バスの
共同運行、特急バスといえど、車両需給の関係から2扉路線車が使われることが
あると聞いていたので、ちょっと早めに7時に出発したのだった。
でも、やって来たのは高速仕様のバス。20名くらいの乗客での出発。
富山空港を経由する以外は41号線経由のバスと同じような経路で笹津へ。
高山本線に沿って山深い区間へと。そんな平湯特急線バスが満員になったのは
富山県と岐阜県の県境で、神岡線の始発駅でもあった猪谷。
そう、高山本線で先行してここで乗換えという方法があったのである。
スノーシェッドに覆われた、連続急カーブの山道に分け入っていくと、
対岸に線路のようなものが。9時前、ほぼ定刻で「濃飛バス 神岡営業所」バス停。
【2017年4月8日9時03分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
旧神岡鉱山前駅に近いこの一帯が神岡の中心街にあたる。
神通川の支流の流れを挟んで向こう側には神岡鉱業の施設が広がっていた。
神岡営業所でバスを降りた。運賃は1,360円。
ただ、実はこれはちょっと“予定外の行動”だった。
この日、イベントが開催されるのは旧奥飛騨温泉口駅付近、「おくひだ1号」の
保管場所が旧神岡鉱山前駅で3 kmほどの距離がある。
“出発式”を見学したら、イベント会場まで移動する公共交通機関は無し。
でも、“同業者さん”と思しき皆さんが一斉に降車すると黙っていられなかった
<変態鉄>、何も考えずに後に続くのだった。
上の写真は旧神岡鉱山前駅構内から撮ったもの。線路は高台の上を通っている。
青い橋が見えるが、その右下に神岡営業所がある。船津北交差点を挟んで
旧神岡鉱山前駅。
【2017年4月8日8時50分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
すでにカメラを持った人たちの姿が...
照明が消され、ひとりだとちょっと入るのを躊躇うようなコンクリートの駅入口。
薄暗い通路を足下に注意しながら進み、階段を上がると...
【2017年4月8日8時52分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
ディーゼル動車の、キハの、軽やかなエンジン音が響き渡っていた。
【2017年4月8日8時53分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅
TVカメラも入り、「出発式」の準備がたけなわ。
こうなると<変態鉄>のテンションも上がるわけで...
ホームの中央付近には線路へと下りる階段も仮設され、自由に立ち入って
撮って良いみたい。カメラを持った大勢の人たちの中には、<変態鉄>の
顔見知りの方の姿もあり、もちろん、その大半は「出発式」の模様を
カメラに収めようと場所取りしていたわけだが、<変態鉄>はそこから離れて
駅構内外れ、ロープが張ってあるエリアの一番奥まで進むのだった。
そう、式典の模様は“犠牲”にしてでも、KM-101「おくひだ1号」の走行シーンを
何としても撮っておきたかったのである。
そうしたら...
【2017年4月8日8時55分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅付近
斜面に面した車庫側の線路にいた「おくひだ1号」を転線させるみたい。
旧神岡鉱山前駅は、同線唯一の交換駅だったところで島式ホームを具えている。
広い方の、町からよく見える、こちら側の線路に移して式典を行うみたい。
廃線から11年、眠っていたディーゼル動車が、大勢の前で再び走り出した瞬間を
撮った1枚である。速度は極めてゆっくり。でも、白い煙を上げて...
【2017年4月8日8時56分】 旧神岡鉄道・神岡鉱山前駅付近
ポイントを渡って、<変態鉄>の目の前でいったん停車。
すぐに折り返して...、いよいよである。(つづく)
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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いい時に行きましたね。
今でも、動くものなんですね。
整備してたのかな。。。
by とし@黒猫 (2017-04-23 11:22)
とし@黒猫さん
コメントありがとうございます。
廃線後も、レールマウンテンバイクなど、神岡線を観光資源として活用していましたので、その一環で同社が保管していた旅客車2両と機関車1両を車庫内で保管していました。しばらく前から整備を行っていたのは知っていたのですが、廃線跡に“列車”が走ると、やはり嬉しかったです。この日に訪問できて良かったです。
by あるまーき (2017-04-23 20:14)