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「青い雲」が撮りたくて(6)「南海 × 阪堺」にチャレンジ [ちん電[阪堺電気軌道]]

長らくお休みをいただいていた、この話題。拙ブログも“正月期間”も終了して
“正常運転”に戻るわけで。何だか紛らわしいが、12月に日帰りで訪れた時の
阪堺電車撮影記が、まだあと半分残っている。

ということで20日ほど遡って、12月13日。「晴れ」の予報は見事に裏切られ、
雨こそ降ってこないものの、空は灰色の雲に覆われていて。陽が翳るとカメラを
持って電車を待っている間、寒さが...、そんな1日だった。

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【2018年12月13日11時19分】 阪堺電軌阪堺線・東湊-御陵前(後追い)

しかも、“天浜運用”に入ったということで喜び勇んで待ち構えていたモ164号車、
喜んだのもつかの間。午前中で入庫してしまうというイレギュラーな運用に
なっていたようで。「堺市内区間でモ161形を撮る」というテーマの中で、それが
実現できたのは、御陵前付近で撮ったこのカットくらい。

これを撮ったのは11時半、次は13時を回って浜寺駅前ゆきとして戻ってくると予想
して、それまでの時間、ちょっと気になっていた地点を訪れたのだった。
……  ……

現在の阪堺電車は、長らくの間、南海電鉄の軌道部門だった。ちなみに、いまも
南海の100%子会社でありロゴも同じ。その阪堺電車、上町線は明治時代に開業した
馬車鉄道に由来し、一方、阪堺線は明治が大正に変わる前後に一気に開業している。
(こちらは「初代・阪堺電軌」としての開業)

その(旧)阪堺電軌がいまの浜寺駅前まで開業させたのは、1912年(明治45年)4月。
直前には、いまの上町線が南海に合併されており、その後は間もなくして、
(旧)阪堺も南海と合併、戦時合併で、その南海も近畿日本鉄道に編入された時代を
経て、1980年12月まで「南海電鉄大阪軌道線」だった。

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【2018年12月13日12時26分】 阪堺電軌阪堺線・浜寺駅前電停付近

起点の恵美須町電停は南海線の今宮戎駅から300 mほどの場所、終点の浜寺“駅前”
というのも、その“駅”というのは南海線の浜寺公園駅。数百メートルの間隔で
離れること無く終始ピッタリ寄り添うように走っている。阪堺線が東側(山側)、
南海線が海側(西側)という位置関係だが、最後の最後、船尾電停を出発後、
急な上り勾配、一気に駆け上がって南海電車の線路を越える。

今度は下り急勾配、堺市と高石市に跨がる広大な公園が「浜寺公園」。
その鬱蒼とした木々が車窓に見えてきたら終点・浜寺駅前電停。

ちなみに浜寺公園の正門は、阪堺電車の停留所の真向かい。浜寺公園駅よりも
確実に近いところにある。

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【2018年4月5日13時48分】 阪堺電軌阪堺線・東玉出-天神ノ森

現在の南海電鉄、個性的な支線も多いが「幹線」と言えるのは南海本線と高野線。
両者は阪堺線の東玉出電停に近い岸里玉出駅付近で高野線をアンダークロスする。
その高野線、続けて神ノ木電停の近くで上町線の下を通り...

南海線はほぼ全区間で阪堺電軌の線路の西側を走っており、その唯一の交差地点が
阪堺線の終点・浜寺駅前電停のすぐ手前、阪堺線が南海線を乗り越える地点。

だが、しかし...

大阪市内から順次進められてきた南海本線の高架化工事、ついに堺市内の区間も
すべて高架化されることになり。そう遠くない将来、浜寺公園駅周辺も高架化に
よって、その姿を大きく変えることが決定している。

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【2018年12月13日12時03分】 南海電鉄南海本線・諏訪ノ森-浜寺公園

そこで心配なのが阪堺電車。南海線の高架化にあたり、その線路をオーバークロス
している鉄橋が邪魔になるのは間違いなく。いまのところ、船尾-浜寺公園を休止、
南海線と阪堺線の上下を入れ替え、阪堺線が、高架になった南海線の下を潜る
線形に付け替えられるという話ではあるものの...

もともと大和川以南の堺市内区間自体、数年前まで存廃問題で揺れていた区間。
南海線も典型的な電鉄線。「路面電車並み」とまでは言わなくても、隣駅ホームが
見えるくらいの駅間距離。となれば...<鉄>として“最悪の事態”も考えて
しまうのである。現時点で公開されている資料を見る限り、阪堺線を地平化する
方針は示されていても、具体的なプランについては見つからなかった。

この阪堺の堺市内区間存廃問題、一応の決着は見ているのだが、その支援策は
堺市を取り巻く“政治情勢”に依る部分が大きく。“維新”とか“都構想”とか
そういうワードを聞いても、すぐには<鉄>と結びつかないが、
このあたり阪堺線の支援策なども含めて、予断を許さない状況かも知れない。

ということで...


2018年12月13日(木)晴れのち曇り

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【2018年12月13日11時54分】 阪堺電軌阪堺線・船尾電停

御陵前で“青い雲”を撮った後、<変態鉄>は石津では降りずに次の船尾まで
乗ってきたのだった。

ここから住宅街の中を歩くこと数分、ちょっと道が入り組んでいて...

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【2018年12月13日12時03分】 南海電鉄南海本線・諏訪ノ森-浜寺公園

その先に見えてきたのが南海線の線路と、それを跨ぐ阪堺線の架道橋。
そう、フェンスで見づらいが、分散冷房装置と貫通扉上に横に並んだライト...
下り電車が通過中であることが分かる。でも、そう、南向きにカメラを構えている。
つまり、完逆光。<変態鉄>のコンデジが最も苦手とする場面である。

同じ場所で白飛び覚悟でオーバーにして撮ってみたのが...

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【2018年12月13日12時03分】 南海電鉄南海本線・諏訪ノ森-浜寺公園

間近に見えている割に、高いフェンスに遮られてカメラを向けるのも、
ちょっと大変で。この画像、南向きに撮っている。背中の方にあるのが南海線の
諏訪ノ森駅、左後方に阪堺電車の船尾電停、そして、写真の右奥の方に浜寺公園。

そう、下が南海、上が阪堺、まもなく見納めになりそうな立体交差である。
と、このときバッグからEOSくんを取り出さなかったのは、面倒だったから...
という以外に何もないのだが...。向こう側を覗き込めば何とか撮れそうな。

さっそく、阪堺電車の築堤に沿って歩いて行くと...。
道路の向こう側には浜寺公園の鬱蒼とした木々、正面に浜寺駅前終点が見えてきて。
ちょうど阪堺の線路が地平に戻ったところに踏切があって...

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【2018年12月13日12時11分】 南海電鉄南海本線・浜寺公園-諏訪ノ森(後追い)

踏切カブリツキで南海線を。ちなみにこの踏切、背中には浜寺公園駅のホーム。
高架化工事が始まって、すでにホームには工事用のフェンスが目立っており、
長らくの間、「電鉄駅」としての雰囲気が良く残っていることで知られた同駅も
ちょっと殺風景になりかけていて。でも、駅間の線路は、まだそんな雰囲気も無く。

そう遠からず、ここにもコンクリートの柱が立ち始めるのだろうか...

でも、幸いなことに、いまのところ架線柱も“丸太ん棒”にもならず、鉄骨トラスの
「正しい電鉄線」の線路回り。先ほどの白飛びした写真の橋台部分をよく見れば、
たぶん、これは煉瓦積み。ただ、走ってくる電車がギンギラギンの“走ルンです”
それだけが残念で。

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【2018年12月13日12時11分】 南海電鉄南海本線・諏訪ノ森-浜寺公園

奥の阪堺の踏切は12分間隔、でも、南海はさまざまな列車種別があって、
かなり頻繁に踏切機が鳴るのである。そう、この場所で撮っているということは、
やはり撮りたくなるのは、南海と阪堺の並びシーン。

折しも、やって来たのは下り・関西空港ゆきの特急「ラピート」。
しかも、このタイミングですぐ先の阪堺の踏切も作動していた。
さぁ、期待も高まるが...

平坦な直線区間を一気に加速して走り抜ける特急電車と、急勾配の築堤を一気に
駆け上がる路面電車。「早く来てくれ!!」とは思いつつも...

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【2018年12月13日12時11分】 南海電鉄南海本線・諏訪ノ森-浜寺公園

もちろん、間に合わずに。これで「並びシーンが撮れた」と言ったら、お叱りが
来そうなそんなカットになってしまった。

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【2018年12月13日12時15分】 南海電鉄南海本線・諏訪ノ森-浜寺公園

それにしても関西私鉄の車両形式というのは<変態鉄>にはちょっと難しすぎて...
一番、理解できないのが近鉄だが、南海も「※※形」と聞いてどんな車両なのか
まったく思いつかない、そんな<ダメ鉄>なのである。

この電車が東急電車に似ているような気がしてならない...ということで。
青とオレンジの南海カラーの帯では無く、これを赤帯1本にされたら、
もう、東急電車と区別がつかなくなりそうな。そんな「田園都市線もどき」を
撮ったところで再び、阪堺線の方に“復帰”することにした。

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【2018年12月13日12時10分】 阪堺電軌阪堺線・船尾-浜寺駅前

すぐ隣の阪堺電車の踏切で、順光側、つまり船尾電停からやってくる電車に
カメラを向けたら、急勾配を駆け下りてくる小さな電車が撮れる。

併用軌道も専用軌道も、線路回りまで建て込んでいたり、いろいろなものが置かれて
ゴチャゴチャ感が強い中で電車をスッキリと撮れる数少ない撮影地かも知れない。

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【2018年12月13日12時19分】 阪堺電軌阪堺線・船尾-浜寺駅前

ちなみに日中の浜寺駅前、天王寺駅前とは違って、電車の折返しは時間の余裕が
あるようで。天王寺駅前ゆきとして折返し待ちしているのはモ355号車、
でも、すでに後続のモ502号車も到着して。上屋のない降車ホームで乗客を降ろし、
ホームへの据え付けを待っている段階。

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【2018年12月13日12時23分】 阪堺電軌阪堺線・浜寺駅前-船尾(後追い)

軌道敷は低い柵で区切られているものの、軌道内も舗装されており、ちょっと
路面電車らしい光景になっている。後追いながら順光で撮れて、車体全景を
撮れるポイントを発見である。

モ164号車“青い雲”は撮れなかったが、でも、こういう風に撮影地を1つずつ
見つけていくことが“収穫”であるわけで... (つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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コメント 2

Cedar

阪堺・南海の立体交差は昨年撮影しましたが、両者の電車入れ込みには失敗しました。さすがの鉄運ですね。
by Cedar (2019-01-07 09:13) 

ferrum_queserasera

Cedarさん

コメントありがとうございます。
あと1歩のところで、なかなかうまく決まらず、
自分もあんなカットしか撮れていません。
次は無難に、(チャンスが多い)神ノ木の立体交差で
狙ってみようと思います。
by ferrum_queserasera (2019-01-07 10:04) 

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