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20150705臨鉄キハ撮影記(7)♪ いつまでも待つわ~<前編> [その他の鉄話]

「今日は、トワイライトの日ですよね」
「えっ、そうなんですか!?」

キハ以外、全くノーチェックの<変態鉄>である。

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【2015年7月5日17時46分】 山陽本線・倉敷-阿知

多くの“同業者さん”が午後から山陽本線沿線に“転戦”するらしい。
「上郡を13時半、岡山が15時って聞いています」
こういう撮影者同士の会話では情報を徹底的に出し惜しみするケースが散見されるが、
でも、臨鉄沿線ではなぜだか不思議なことに、皆さん親切。
何も知らない<変態鉄>に情報を教えてくださるのだ。
……  ……

「寝台列車」というのは、自分にとって憧れる存在だった。

幼稚園の年長だったと思うから、昭和58年頃だったか、
富山に帰るのに、家族4人で特急寝台「北陸」に乗ったのが初体験。

上野駅の地平ホームで待っていた時の様子、3段式B寝台車はオハネ14形だろうか??
非常に断片的ながら、冬の晩のことをいまも覚えている。

高校生くらいになるとカメラを持って全国を歩き回った。
ほとんどは硬い座席の、自由席待ちの列に何時間も並んで...だったが、
それでも小遣いを貯めて何度かは急行列車のB寝台には乗った。

そして、社会人になって、いくら薄給の身でも
寝台料金くらい払えるようになったときには...

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【2010年3月8日5時50分】 北陸本線・高岡駅

開放式寝台も個室寝台も、何度か乗る機会に恵まれたが、そのとき既に
「寝台列車」自体が「珍しいもの」になっていた。
夜、主要駅に行けばどこでも見ることができたダークブルーの客車もいまや...

そんな「寝台列車」、今度は「クルーズトレイン」などという新しいジャンルに
なって再び脚光を浴びるようになったが、でも...

それは自分の中にある「寝台列車」とは全くの別物。
せっかく教えていただいて、跨線橋で1時間以上待って、ようやく撮ったが、
でも、先日、自分にも支給された“棒茄子”を全額つぎ込んだとしても
乗れるかどうかわからない価格設定の列車を「寝台列車」と呼ぶのも、
ちょっと複雑な心境なのである。

と、ちょっとエラソーに語ったにもかかわらず、やはり「来るものは撮る」。
<変態鉄>は<ミーハー鉄>でもあるわけで...

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【2008年9月4日12時13分】 北陸本線・富山駅

大阪と札幌を結び、今春で引退した特急寝台トワイライトエクスプレス号が、
今シーズンは旅行会社の企画商品「特別なトワイライトエクスプレス」として
運転されることになった。編成を組み替えて豪華な個室寝台車を寄せ集め、
開放式B寝台車は“添乗員室”として使うとか...

この日の運転は大阪方面から翌朝の大分まで。
その後、1週間くらい九州を観光するとか、代わりに先行の列車で出発した
ツアー客を九州で乗せて、この編成は水曜に大阪に戻ってくると聞いた。

臨時列車とはいえ各地で必要以上に停車時間を設けているのは、
ツアーでは、駅周辺の観光地を巡りながらの旅となるからだそうで、
倉敷では、有名な“美観地区”を散策する時間が設定されているらしい。

ホームでは、その散策を終えたツアー参加者一人一人を添乗員さんが
おしぼりを持って出迎えるというのだから...

汗でビショビショになったTシャツ、硬くて狭いシートで一晩を過ごすのが
「夜行列車の旅」だった<変態鉄>にとっては、話を聞いていて、
溜め息しか出てこなかった。

……  ……

2015年7月5日(日)曇り

でも、ここまで書いてきたのは“結果論”。
当初は、沿線でお会いする“同業者さん”も「詳しい時刻は分からないけれど、
岡山が15時過ぎだから...」という程度。誰でも切符を買えば乗れる営業列車ではなく
団体臨時列車や、その他、回送列車の時刻などは、趣味誌やネット掲載の情報も
「目安」程度の時刻しか掲載されないのが普通。

もちろん、駅には当日までには業務連絡が来ているはずだが、大きな鉄道会社では
直接尋ねてみても、そういう“趣味的問合せ”には絶対に答えてもらえないが通常。
(逆に地方の中小私鉄だと、駅員さんが本社や運転部門に問い合わせてまで
答えてくれたり、運行管理部門の電話番号をこっそり教えてくれたりすることも
少なくない。そういう“親切”には何度も助けられてきた<変態鉄>である)

自分にとって「特別なトワイライトエクスプレス」は、あくまで臨鉄キハの“ついで”、
空港バスに間に合うように倉敷駅に戻れる時間で撮りに行けるような
山陽本線の撮影地など調べてもいなかった。

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【2015年4月6日16時35分】 水島臨海鉄道水島本線・倉敷市-球場前

16時に倉敷市駅に着いて、そのまま向かったのは、よく臨鉄キハを撮る跨線橋。
架線柱に阻まれてロクな写真が撮れないが、あくまで“お気楽撮影地”。
JR倉敷駅構内が見渡せる、臨鉄・山陽本線・伯備線を跨ぐ長い跨線橋には、
自分のほか、カメラを持った“同業者さん”はいなかった。

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【2015年7月5日16時20分】 山陽本線・倉敷駅

16時10分頃、ゆっくりゆっくりと青いEF65PFに牽引された「トワイライトエクスプレス」が
倉敷駅の副本線に入線してくるのが見えた。

駅撮りでも良かったのだが、最近では4両編成、長くても8両編成の普通電車しか発着しない
倉敷駅のホーム、長いホームの先端部はフェンスで仕切られて立ち入れなくなっている。
ちょうど機関車はフェンスの先に停車しており、駅撮りは無理なのだ。
それくらいは、<変態鉄>も織り込み済み。でも、ここから“長い闘い”が始まった。

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【2015年7月5日16時48分】 山陽本線・倉敷-阿知

跨線橋のすぐ下で、下り副本線は本線に合流する。分岐器は1番のりば、本線側に開いている。
「トワは、ここで停車して普通列車と貨物列車を何本かやり過ごすのか...」
臨時列車の場合は、定期列車のダイヤに割り込む形で設定するので、途中駅でまとまった時間
停車して定期列車をやり過ごすのは、何も珍しくない。
「10分ほど停まるのかな!?」、そのときは、軽く構えていた。

架線柱を避けながら、できるだけ、編成の多くの部分を写し込みたい...
誰も居ないのを良いことに1歩横にズレてはカメラを構え...の繰り返しで、
自分なりのベストポジションを発見。そこに三脚をセット、EOSくんを準備。

……  ……

この跨線橋、3路線を跨ぐだけでなく、途中から市営駐輪場への通路が分岐したY字型。
とにかく長い長い跨線橋で、至る所から撮影可能。

というわけで、コンデジを片手に、後ろの伯備線の踏切の音が聞こえれば、そちらに走り、
臨鉄倉敷市駅の発車ブザーが鳴れば、臨鉄側へ走って...、退屈はしなかった。

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【2015年7月5日16時08分】 山陽本線・倉敷-阿知

山陽本線も普通列車ばかりとはいえ、さまざまな車両がやってくる。
試し撮りで気楽に撮った写真は、117系「サンライナー」、水準器の確認すらせずに
撮っており、カメラが思いっきり傾いている。

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【2015年7月5日16時21分】 伯備線・倉敷-清音

こんなのも、待っている間に何回か通りかかった。
EF64牽引の伯備貨物は、フツーの<鉄>の間では注目の列車である。
「牛乳パックみたい!!」と、ファンの人気は今ひとつの塗色だが、EF64牽引は魅力。

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【2015年7月5日16時21分】 伯備線・清音-倉敷

駐輪場側に行けば、伯備線列車を側面がちに撮ることも可能。
いまや注目の国鉄特急型電車381系の「ゆったりやくも」号。

続けて伯備線ローカルと思ったら...

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【2015年7月5日16時33分】 山陽本線・阿知-倉敷

後ろからやってきた山陽本線の上り電車に思いっきり被られた。
でも、一応、213系の“競演”である。

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【2015年7月5日16時41分】 水島臨海鉄道水島本線・倉敷市-球場前(後追い)

と、さらに、臨鉄MRT300形単行が水島に向かって出発していった。

……  ……

片っ端から、やってくる列車にカメラを向ける...なんだか中学時代の自分に
戻ったような、そんな気分でお手軽撮影を楽しんではいたが、それにしても、
いつまで経っても「トワイライトエクスプレス」が待つ副本線側にポイントが
切り替わらない...、「どうなっているの??」と思い始めた頃、
少しずつ、自分の両側に“カメラの砲列”ができはじめた。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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やぶお

あるまーきさん、こんにちは。
私はキハも路面電車も好きですが、
寝台列車も大好きなので、あるまーきさんのブログにはめずらしい?
寝台車のコメントに反応してしまいました。

私も、あるまーきさん同様、九州のななつ星や、
西日本にデビウ予定の瑞風など、
あまり興味を覚えない自分がいます。
一つの車両を贅沢に仕切って広々空間を作る寝台車よりも、
狭い空間を有効に活用して、
寝台スペースを確保していたむかしの寝台車に興味を感じます。
テントや二段ベッドで眠るようなうきうき感を感じる私も変態なのかもしれません。

トワイライトの続きはどうなるのか、
次回を予想してしまうエンディングはお見事です!!
by やぶお (2015-07-16 19:51) 

triguraf

貴重なPF客車列車です!まわりにガンガン聞きまくって情報収集し、ヌカリなく撮影お願いいたします。
by triguraf (2015-07-16 20:13) 

あるまーき

コメントありがとうございます。

☆ やぶおさん
少なくとも、「夜行列車」と呼ぶことができる列車は、もうこの国には...
急行「はまなす」が“最後の砦”となるのでしょうか?
乗っていたときは、ただただ苦痛だった4人ボックスが満席の夜行列車でしたが、思い出してみると懐かしくなるから不思議です。
「ななつ星」よりも、ナハネフ22の最後部のカーブの方が素敵だと思っている、そんな自分です。

☆ trigurafさん
そうですね。EF65PFもいまや貴重な機関車ですし...
撮れただけでもラッキーでした。次の臨鉄キハの運転日と「特別な~」が重なっているかどうか...気になるところです。


by あるまーき (2015-07-16 23:33) 

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