14. 貨物輸送時代が残る駅(本線・舌山駅) [探訪!! ちてつ百景]
かつて、トラック輸送がいまほど普及する前は、
いまでは考えられないようなローカル線でも各駅で貨物扱いがあり、
周辺で穫れた農産物は、各駅から貨車に載せられて出荷されていた...
と語りはじめているが、全ては本の受け売り。
そういう、ローカル貨物は昭和50年台までに完全に姿を消した。
だから、昭和53年生まれの自分がそんなものを見た記憶もないし、
撮ったことがあろうはずもない。
でも、そういう視点で、ローカル線の駅を眺めてみると、
いまでこそ「寂れた田舎の無人駅」であっても、そこがヒトとモノの流れの
拠点だった時代の名残を見つけることができる。
自分が、すっかりハマってしまった、あの私鉄、そう「ちてつ」の駅もそうだ。
【2012年6月26日18時29分】 富山県黒部市・宮野運動公園
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 46.6 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO400 WBオート
ここを訪ねたのは、6月下旬の日曜日の夕方のこと。
撮影から、少々時間が経ってしまってはいる点はお許しいただきたい。
…… ……
地鉄の無人駅は、無人化されてから時間が経過している所でも、駅舎内など、
比較的良好な状態を維持しているところが多い、のはこれまでに述べたところ。
【2012年6月26日16時32分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/1250秒 ISO400 WBオート
このうち、黒部市内の各駅は、NPO団体が主体となって、
地元の子どもたちの手で、木造駅舎の再塗装を進めるプロジェクトが展開された。
「国道沿いのラ●ホテル」と見間違えそうな悪趣味な色の所(← 失礼!!)もあるが、
上品な色使いで木造駅舎が生き生きとして見えるところもある...
まるで、時が止まったかのような、誰もいない、夕方の木造駅舎。
そんな魅力的な小駅の中から、間もなく激変が予想される、この駅の姿を。
…… ……
さて、そんな舌山駅に降り立ったのは、6月のある日曜日の夕方。
【2012年6月26日16時28分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/250秒 ISO400 WBオート
電車を降りて、まずは、ホーム上の待合室を見学した。
簡素な木造上屋だが、板張りベンチには地元の方の手によるものか!?
懐かしさ溢れる座布団が敷かれているのは、地鉄の他の駅と同様。
【2012年6月26日16時29分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F6.3 1/1250秒 ISO400 WBオート
電鉄富山ゆきの到着したホームからは、構内踏切を渡って駅舎へ。
淡緑色におめかしされた木造駅舎だが、往時の面影を感じ取ることは十分可能。
石積みのホーム、傾きかけた駅名標、
軽金属製の倉庫がちょっとミスマッチだが、その背後の瓦葺きの
まるで体育館のような、大きな建物は??
【2012年6月26日16時31分】 富山県黒部市・舌山駅付近
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F7.1 1/1250秒 ISO400 WBオート
人通りのない駅前広場から眺めてみると、大きな農協倉庫。
この付近で収穫されたお米や農産物がここに集められ、貨車に積まれて出荷された
のだろうか。(かつては魚津・富山で国鉄線と地鉄はつながっていた)
【2012年6月26日17時04分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 9.1 mm 露出 F4.0 1/500秒 ISO100 WBオート
その痕跡がコレ。駅の宇奈月側の端の部分に小さなホーム跡がある。
2枚上の写真の右の方、駅舎があって農協倉庫、そのさらに右側。
いまでも、上下列車の交換駅だが、農協倉庫脇までもう1本引込線があって、
そこに貨物の積込みホームがあったことがわかる。
上下線の分岐器の奥、写真右隅にレールの切れ端が見えている。
これが当時の貨物側線のレールだったがどうかは、知る術もないが、
この位置のレールが、この写真の左隅あたりまで伸びていたと思われる。
…… ……
今度は、舌山駅を外からじっくり見てみよう。
【2012年6月26日17時02分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/1000秒 ISO100 WBオート
駅に隣接する電鉄富山方の踏切で立ち止まって駅の様子を眺めてみた。
大きな門型の架線柱は、地鉄沿線で結構見られる仕様。
【2012年6月26日17時03分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 10.3 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO100 WBオート
石積みのホームには“断層”のような模様があった。
1922年(大正11年)に黒部鉄道の駅として開業した舌山駅、
1943年(昭和18年)統合により地鉄の駅となった。
これだけ長い歴史をもつ駅、ホームを延伸しなければいけなかった頃もあったはず。
でも、昭和30~40年台までの鉄道輸送全盛期の生き証人のような、
この小さな駅にも時代の波は、確実に押し寄せてきているのだ。
【2012年6月26日17時12分】 富山地鉄本線・舌山-長屋
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/500秒 ISO100 WBオート
舌山駅から歩いて5分ほどの小さな踏切。
農道が線路を横切る踏切は、遮断竿も警報機もない、第4種踏切。
でも、注目しなければいけないのは、その背後の高架橋と建設中の屋根。
そう、ここが新幹線・新黒部駅(仮称)。地鉄も新幹線との立体交差付近に
新駅を造る計画なので、そうすれば、すぐ隣にあるこの駅は廃駅が濃厚。
新幹線開業の影で、地域輸送を担ってきたものが、その使命を終えようとしている。
何ともいえない寂しさを感じるのである。
…… ……
さぁ、富山に戻る電車の時間だ。
【2012年6月26日17時24分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/60秒 ISO100 WBオート
もちろん、窓口に駅員さんはいない。
でも、この駅舎は、いつも雷鳥色の、いや最近の言い方だとダイコン電車を
いつでも見守っていたのであった。舌山駅の訪問記は、この1枚で締めくくりたい。
【2012年6月26日16時55分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/400秒 ISO100 WBオート
(※)本記事中、新幹線開業後の舌山駅に関する記述には、個人的な予想を含みます。
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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いまでは考えられないようなローカル線でも各駅で貨物扱いがあり、
周辺で穫れた農産物は、各駅から貨車に載せられて出荷されていた...
と語りはじめているが、全ては本の受け売り。
そういう、ローカル貨物は昭和50年台までに完全に姿を消した。
だから、昭和53年生まれの自分がそんなものを見た記憶もないし、
撮ったことがあろうはずもない。
でも、そういう視点で、ローカル線の駅を眺めてみると、
いまでこそ「寂れた田舎の無人駅」であっても、そこがヒトとモノの流れの
拠点だった時代の名残を見つけることができる。
自分が、すっかりハマってしまった、あの私鉄、そう「ちてつ」の駅もそうだ。
【2012年6月26日18時29分】 富山県黒部市・宮野運動公園
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 46.6 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO400 WBオート
ここを訪ねたのは、6月下旬の日曜日の夕方のこと。
撮影から、少々時間が経ってしまってはいる点はお許しいただきたい。
…… ……
地鉄の無人駅は、無人化されてから時間が経過している所でも、駅舎内など、
比較的良好な状態を維持しているところが多い、のはこれまでに述べたところ。
【2012年6月26日16時32分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/1250秒 ISO400 WBオート
このうち、黒部市内の各駅は、NPO団体が主体となって、
地元の子どもたちの手で、木造駅舎の再塗装を進めるプロジェクトが展開された。
「国道沿いのラ●ホテル」と見間違えそうな悪趣味な色の所(← 失礼!!)もあるが、
上品な色使いで木造駅舎が生き生きとして見えるところもある...
まるで、時が止まったかのような、誰もいない、夕方の木造駅舎。
そんな魅力的な小駅の中から、間もなく激変が予想される、この駅の姿を。
…… ……
さて、そんな舌山駅に降り立ったのは、6月のある日曜日の夕方。
【2012年6月26日16時28分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/250秒 ISO400 WBオート
電車を降りて、まずは、ホーム上の待合室を見学した。
簡素な木造上屋だが、板張りベンチには地元の方の手によるものか!?
懐かしさ溢れる座布団が敷かれているのは、地鉄の他の駅と同様。
【2012年6月26日16時29分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F6.3 1/1250秒 ISO400 WBオート
電鉄富山ゆきの到着したホームからは、構内踏切を渡って駅舎へ。
淡緑色におめかしされた木造駅舎だが、往時の面影を感じ取ることは十分可能。
石積みのホーム、傾きかけた駅名標、
軽金属製の倉庫がちょっとミスマッチだが、その背後の瓦葺きの
まるで体育館のような、大きな建物は??
【2012年6月26日16時31分】 富山県黒部市・舌山駅付近
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F7.1 1/1250秒 ISO400 WBオート
人通りのない駅前広場から眺めてみると、大きな農協倉庫。
この付近で収穫されたお米や農産物がここに集められ、貨車に積まれて出荷された
のだろうか。(かつては魚津・富山で国鉄線と地鉄はつながっていた)
【2012年6月26日17時04分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 9.1 mm 露出 F4.0 1/500秒 ISO100 WBオート
その痕跡がコレ。駅の宇奈月側の端の部分に小さなホーム跡がある。
2枚上の写真の右の方、駅舎があって農協倉庫、そのさらに右側。
いまでも、上下列車の交換駅だが、農協倉庫脇までもう1本引込線があって、
そこに貨物の積込みホームがあったことがわかる。
上下線の分岐器の奥、写真右隅にレールの切れ端が見えている。
これが当時の貨物側線のレールだったがどうかは、知る術もないが、
この位置のレールが、この写真の左隅あたりまで伸びていたと思われる。
…… ……
今度は、舌山駅を外からじっくり見てみよう。
【2012年6月26日17時02分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/1000秒 ISO100 WBオート
駅に隣接する電鉄富山方の踏切で立ち止まって駅の様子を眺めてみた。
大きな門型の架線柱は、地鉄沿線で結構見られる仕様。
【2012年6月26日17時03分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 10.3 mm 露出 F4.0 1/320秒 ISO100 WBオート
石積みのホームには“断層”のような模様があった。
1922年(大正11年)に黒部鉄道の駅として開業した舌山駅、
1943年(昭和18年)統合により地鉄の駅となった。
これだけ長い歴史をもつ駅、ホームを延伸しなければいけなかった頃もあったはず。
でも、昭和30~40年台までの鉄道輸送全盛期の生き証人のような、
この小さな駅にも時代の波は、確実に押し寄せてきているのだ。
【2012年6月26日17時12分】 富山地鉄本線・舌山-長屋
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/500秒 ISO100 WBオート
舌山駅から歩いて5分ほどの小さな踏切。
農道が線路を横切る踏切は、遮断竿も警報機もない、第4種踏切。
でも、注目しなければいけないのは、その背後の高架橋と建設中の屋根。
そう、ここが新幹線・新黒部駅(仮称)。地鉄も新幹線との立体交差付近に
新駅を造る計画なので、そうすれば、すぐ隣にあるこの駅は廃駅が濃厚。
新幹線開業の影で、地域輸送を担ってきたものが、その使命を終えようとしている。
何ともいえない寂しさを感じるのである。
…… ……
さぁ、富山に戻る電車の時間だ。
【2012年6月26日17時24分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/60秒 ISO100 WBオート
もちろん、窓口に駅員さんはいない。
でも、この駅舎は、いつも雷鳥色の、いや最近の言い方だとダイコン電車を
いつでも見守っていたのであった。舌山駅の訪問記は、この1枚で締めくくりたい。
【2012年6月26日16時55分】 富山地鉄本線・舌山駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX100 IS
焦点距離 6.0 mm 露出 F4.0 1/400秒 ISO100 WBオート
(※)本記事中、新幹線開業後の舌山駅に関する記述には、個人的な予想を含みます。
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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最後まで目を通して頂き、本当に嬉しく感謝致しております
後編も頑張れます、有難うm(__)m御座いました。
暑いですね、夏の疲れが出る頃です、ご自愛下さい
普段では気の付かない駅、内情面白く読まして戴いています、
新たな発見、期待しております。
by タッチおじさん (2012-09-14 18:48)
タッチおじさん さん
コメントありがとうございます。ホント、楽しく読ませていただきました。
もう9月も半ばというのに本当に暑い日が続いていますね。
こういう変わった内容の記事ばかりではありますが、できるだけわかりやすく、現地の雰囲気が伝わるような書き方を目指していきたいと思いますので、引き続き、ご覧いただければ幸いです。
by あるまーき (2012-09-14 19:14)
鉄道全盛時代の名残ですね。
経済成長・経済大国への変貌は、輸送コストの低い鉄道輸送を切り捨ててしまったのですね。
何とも理解し難い現象です。
by Loby (2012-09-14 21:27)
舌山駅前の空間、現在は広い駐車場となっていますが、近年まで「生協マート」が存在していたそうです。店の入り口は舌山駅の入り口と向かい合っていたらしく、農協と地鉄の関わりが感じられる雰囲気だったとか。
某所のタレコミにより、舌山駅は新幹線開業後も存続(駅または信号所として)する可能性が大だと知り一安心しています。 稲刈りの時期になり沿線風景はさみしくなっていきますが、またお越しください。
by @赤坂 (2012-09-14 22:01)
Lobyさん
コメントありがとうございます。
そうですね。最近になって、“eco”が流行りだしてからモーダルシフトなんて言葉も聞かれるようになりましたが、「物流」と言えばトラック輸送というのが当たり前になってしまっております。
単に環境問題と言うだけではなく、社会的なさまざまなコストを考えれば、鉄道輸送には可能性はあると思うのですが、なかなか難しいようですね。
by あるまーき (2012-09-14 22:06)
@赤坂さん
こんばんは。コメントありがとうございます。
また、舌山駅の今後に関しても貴重な情報をありがとうございます。
新幹線開業後も、この駅の佇まいがそのまま残ってくれたら、ありがたいのですが...
なお、今年最後となる富山への<撮り鉄>の旅、現在、日程調整中です。仕事のメドがたって、チケットの手配が完了したら、予告記事をアップしたいと思います。
by あるまーき (2012-09-14 22:11)