消印の中の鉄道情景(45)高知旭郵便局(高知県) [消印の中の鉄道情景]
キハの話題が続いたところで...
本当は、今日も11月12日の小湊鐵道・いすみ鉄道撮影記をアップしようと
思っていたが、何だか房総のキハの話題ばかりが続いてしまうので、
一息入れてみることに。
風景印、正式には「風景入通信日付印」というのは郵便物に捺される“消印”の一種。
局周辺の名所・旧跡やお祭りなど、さまざまなものがデザインされている。
郵便局の窓口でお願いすれば、手紙やハガキの消印として風景印を捺してもらう
こともできるし、ハガキや額面52円以上の切手を貼った紙を出せば「記念押印」にも
応じてもらえる。全国2万数千局の郵便局のうち、2~3割の局に設置されている
と言われている。
「町の風景」ということで意外にも路面電車が描かれた風景印というのは多い。
そんな中から、南国土佐、高知の路面電車、とさでん交通の電車が描かれたものを
ご紹介したい。
2016年3月2日(火)晴れ
とさでん交通伊野線は、はりまや橋から西へのびる全長約11キロの路面電車。
市内区間を抜けると単線になるのだが、その区間には珍しくなったタブレット閉塞が
残っている。小湊鐵道の里見駅でもスタフ交換のシーンを撮影しているが、
それとよく似たタブレットの交換風景を撮りたくて朝倉に向かう途中、
旭駅前通電停で途中下車したのだった。
…… ……
【2016年3月2日9時03分】 とさでん交通後免線・デンテツターミナルビル前電停
高知市の中心部・はりまや橋から西へ。電車で15分ほど揺られる。高知城の前を
通り過ぎ、やがて電車通りも車線が減って狭くなって。
市街中心部を離れ、落ち着いた感じの街並みになってくる。
【2016年3月2日9時35分】 とさでん交通伊野線・旭駅前通電停付近
そんな旭駅前通電停で下車。
電車通り沿いにあるのが、高知旭郵便局。
【2016年3月2日9時37分】 高知県高知市旭町付近
ということで、もう一度、その高知旭郵便局の風景印を見てみよう。
六角形の立派な塔をもつ大きな建物。その前側、右下の部分にはモニター屋根に
開放式運転台、前面には救助網、何とも古めかしい明治から大正にかけての
路面電車の姿が描かれている。
まず、この立派な建物。こちらは「近代水道百選」(1985年)にも選ばれたという
旭浄水場を描いているという。ちょうど関東大震災の直後の1925年(大正14年)3月に
完成したという。ルネッサンス様式を基調とした洋風建築のこのモダンな
浄水場は戦災も免れいまもその姿を残しているという。
手元の資料に寄れば10年以上をかけて現在、同浄水場の更新工事が実施されており
まもなく完成予定だとか...、次回訪問時にはこの建築を眺めてきたいと思う。
さて、その手前に描かれている電車。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・撮影地不詳
とさでん交通の前身、土佐電氣鐵道によって電車が開業したのは1904年(明治37年)のこと。
これは1895年(明治28年)、京都に日本で初めての一般用電気鉄道として、
後の京都市電が開業するのに遅れること9年、現存する路線としては最古の路線である。
この地域でつくられる土佐和紙を船積みして大阪、東京方面に輸送する目的で
敷設された。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・撮影地不詳(鏡川橋付近?)
その開業当時を偲ばせる旧型電車を復元したのが7号「維新号」である。
今回は、平日の訪問だったので撮ることができなかったが、高校生だった当時、
「維新号」の姿を撮っていた。
風景印を写真と比べて見ると、よく特徴をつかんでいることがわかる。
屋根上の集電装置はビューゲルだが、ダミーのトロリーポールも付いていて。
風景印の方にも、2つの集電装置が描かれているのがみてとれる。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・撮影地不詳(鏡川橋付近?)
それにしても懐かしいデザインの四輪単車である。
とはいえ、この車両、車体は復元である。土佐電で最後まで残った
四輪単車の走行機器を活かして、車体は新製。旧車号は321号車だった。
この頃は、伊野駅の奥に電車の留置線があり、確か、夜間ここで滞泊となる
運用があったような。その留置線の奥の方に...
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・伊野電停付近
機器類を取り去られてしまった321号車の車体だけが放置されていた。
それにしても酷い状態だったが、でも、緑色濃淡の“金太郎塗装”の面影も
車体前面の「321」の車号も微かに残っているのを確認できる。
確か、この車体、ほどなく廃棄された筈である。
【2016年3月2日9時06分】 とさでん交通伊野線・はりまや橋電停付近
ただ、その、土佐電がワンマン化される以前の“金太郎塗装”、いまでは
200形の数両にいくつかのタイプの“金太郎塗装”が復刻されている。
という訳で、その「維新号」の写真を探してネガをスキャンしたついでとして
1994年2月9日、当時、高校1年生だった<変態ガキ鉄>が撮った南国土佐の
路面電車の姿をちょっとだけご紹介したい。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・高知駅前電停付近
当時の高知駅前電停は、JR土讃線に並行に配置されていた。
ちょうど、いまの駅前交差点付近で直角に折れ曲がったところに駅前電停があった。
この写真の左側に住友生命のビルが見えているが、この裏側がJRの線路、
写真の奥の方が高松方面にあたる。JR土讃線も地平で何とも長閑な風景が
ひろがっていた。
【2016年3月2日8時15分】 とさでん交通桟橋線・高知駅前電停
ちなみに、その22年後の高知駅前電停の様子である。
写真の右の方にかつては線路がのびていたことになる。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・はりまや橋電停付近
それから、朱い欄干が残されているのがはりまや橋。
町の雰囲気はそれほど変わらないものの、この朱色の欄干はちょうど写真の左側、
通りの西側に移設されてしまい、現在ではこのカットを撮ることはできない。
光線状態はメチャクチャだが、今にして思えば良い記念になった。
【2016年3月2日12時54分】 とさでん交通桟橋線・はりまや橋電停付近
こちらが、22年後の“定点比較”。やはり、朱色の方が...
…… ……
高校に入って、小遣いを貯めては1年間かけて全国の路面電車を撮り歩いた。
急行「津軽」→急行「はまなす」と夜行の自由席を乗り継いで札幌市電を
撮りに行って、大変な思いをしたり...、いまでは絶対にできないような
無茶苦茶な撮影行を平気で。若かった頃の思い出。
この日は、夕方に高知駅前を発つJR四国の夜行高速バス「ドリーム高知」号に
乗ったような。22年前のことが、ついこの前のように思い出されてくる。
あの頃よりは、写真の腕もちょっとは上達した(つもり)。
いろいろな情報を集められるようになり、<鉄>な知識もだいぶ増えた。
でも、あの頃の方が一途に真剣な気持ちで、カメラを構えていたような気がする。
そんな今日この頃。
【2016年11月12日13時42分】 小湊鐵道・上総中野駅
さぁ、明日からは、11月12日の“房総のキハ”撮影記を。
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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本当は、今日も11月12日の小湊鐵道・いすみ鉄道撮影記をアップしようと
思っていたが、何だか房総のキハの話題ばかりが続いてしまうので、
一息入れてみることに。
風景印、正式には「風景入通信日付印」というのは郵便物に捺される“消印”の一種。
局周辺の名所・旧跡やお祭りなど、さまざまなものがデザインされている。
郵便局の窓口でお願いすれば、手紙やハガキの消印として風景印を捺してもらう
こともできるし、ハガキや額面52円以上の切手を貼った紙を出せば「記念押印」にも
応じてもらえる。全国2万数千局の郵便局のうち、2~3割の局に設置されている
と言われている。
「町の風景」ということで意外にも路面電車が描かれた風景印というのは多い。
そんな中から、南国土佐、高知の路面電車、とさでん交通の電車が描かれたものを
ご紹介したい。
2016年3月2日(火)晴れ
とさでん交通伊野線は、はりまや橋から西へのびる全長約11キロの路面電車。
市内区間を抜けると単線になるのだが、その区間には珍しくなったタブレット閉塞が
残っている。小湊鐵道の里見駅でもスタフ交換のシーンを撮影しているが、
それとよく似たタブレットの交換風景を撮りたくて朝倉に向かう途中、
旭駅前通電停で途中下車したのだった。
…… ……
【2016年3月2日9時03分】 とさでん交通後免線・デンテツターミナルビル前電停
高知市の中心部・はりまや橋から西へ。電車で15分ほど揺られる。高知城の前を
通り過ぎ、やがて電車通りも車線が減って狭くなって。
市街中心部を離れ、落ち着いた感じの街並みになってくる。
【2016年3月2日9時35分】 とさでん交通伊野線・旭駅前通電停付近
そんな旭駅前通電停で下車。
電車通り沿いにあるのが、高知旭郵便局。
【2016年3月2日9時37分】 高知県高知市旭町付近
ということで、もう一度、その高知旭郵便局の風景印を見てみよう。
六角形の立派な塔をもつ大きな建物。その前側、右下の部分にはモニター屋根に
開放式運転台、前面には救助網、何とも古めかしい明治から大正にかけての
路面電車の姿が描かれている。
まず、この立派な建物。こちらは「近代水道百選」(1985年)にも選ばれたという
旭浄水場を描いているという。ちょうど関東大震災の直後の1925年(大正14年)3月に
完成したという。ルネッサンス様式を基調とした洋風建築のこのモダンな
浄水場は戦災も免れいまもその姿を残しているという。
手元の資料に寄れば10年以上をかけて現在、同浄水場の更新工事が実施されており
まもなく完成予定だとか...、次回訪問時にはこの建築を眺めてきたいと思う。
さて、その手前に描かれている電車。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・撮影地不詳
とさでん交通の前身、土佐電氣鐵道によって電車が開業したのは1904年(明治37年)のこと。
これは1895年(明治28年)、京都に日本で初めての一般用電気鉄道として、
後の京都市電が開業するのに遅れること9年、現存する路線としては最古の路線である。
この地域でつくられる土佐和紙を船積みして大阪、東京方面に輸送する目的で
敷設された。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・撮影地不詳(鏡川橋付近?)
その開業当時を偲ばせる旧型電車を復元したのが7号「維新号」である。
今回は、平日の訪問だったので撮ることができなかったが、高校生だった当時、
「維新号」の姿を撮っていた。
風景印を写真と比べて見ると、よく特徴をつかんでいることがわかる。
屋根上の集電装置はビューゲルだが、ダミーのトロリーポールも付いていて。
風景印の方にも、2つの集電装置が描かれているのがみてとれる。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・撮影地不詳(鏡川橋付近?)
それにしても懐かしいデザインの四輪単車である。
とはいえ、この車両、車体は復元である。土佐電で最後まで残った
四輪単車の走行機器を活かして、車体は新製。旧車号は321号車だった。
この頃は、伊野駅の奥に電車の留置線があり、確か、夜間ここで滞泊となる
運用があったような。その留置線の奥の方に...
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・伊野電停付近
機器類を取り去られてしまった321号車の車体だけが放置されていた。
それにしても酷い状態だったが、でも、緑色濃淡の“金太郎塗装”の面影も
車体前面の「321」の車号も微かに残っているのを確認できる。
確か、この車体、ほどなく廃棄された筈である。
【2016年3月2日9時06分】 とさでん交通伊野線・はりまや橋電停付近
ただ、その、土佐電がワンマン化される以前の“金太郎塗装”、いまでは
200形の数両にいくつかのタイプの“金太郎塗装”が復刻されている。
という訳で、その「維新号」の写真を探してネガをスキャンしたついでとして
1994年2月9日、当時、高校1年生だった<変態ガキ鉄>が撮った南国土佐の
路面電車の姿をちょっとだけご紹介したい。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・高知駅前電停付近
当時の高知駅前電停は、JR土讃線に並行に配置されていた。
ちょうど、いまの駅前交差点付近で直角に折れ曲がったところに駅前電停があった。
この写真の左側に住友生命のビルが見えているが、この裏側がJRの線路、
写真の奥の方が高松方面にあたる。JR土讃線も地平で何とも長閑な風景が
ひろがっていた。
【2016年3月2日8時15分】 とさでん交通桟橋線・高知駅前電停
ちなみに、その22年後の高知駅前電停の様子である。
写真の右の方にかつては線路がのびていたことになる。
【1994年2月9日】 土佐電鉄伊野線(当時)・はりまや橋電停付近
それから、朱い欄干が残されているのがはりまや橋。
町の雰囲気はそれほど変わらないものの、この朱色の欄干はちょうど写真の左側、
通りの西側に移設されてしまい、現在ではこのカットを撮ることはできない。
光線状態はメチャクチャだが、今にして思えば良い記念になった。
【2016年3月2日12時54分】 とさでん交通桟橋線・はりまや橋電停付近
こちらが、22年後の“定点比較”。やはり、朱色の方が...
…… ……
高校に入って、小遣いを貯めては1年間かけて全国の路面電車を撮り歩いた。
急行「津軽」→急行「はまなす」と夜行の自由席を乗り継いで札幌市電を
撮りに行って、大変な思いをしたり...、いまでは絶対にできないような
無茶苦茶な撮影行を平気で。若かった頃の思い出。
この日は、夕方に高知駅前を発つJR四国の夜行高速バス「ドリーム高知」号に
乗ったような。22年前のことが、ついこの前のように思い出されてくる。
あの頃よりは、写真の腕もちょっとは上達した(つもり)。
いろいろな情報を集められるようになり、<鉄>な知識もだいぶ増えた。
でも、あの頃の方が一途に真剣な気持ちで、カメラを構えていたような気がする。
そんな今日この頃。
【2016年11月12日13時42分】 小湊鐵道・上総中野駅
さぁ、明日からは、11月12日の“房総のキハ”撮影記を。
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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