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夏の浅野川電車と「鉄印帳」(6)七尾線

コロナ禍で公共交通機関は打撃を受けたと言われており。最近では徐々に乗客数も戻りつつあるような。自分がそれを実感するのは夜、会社から帰るときの京王線と井の頭線。でも、都心部でも22時過ぎの電車の様子は4~5年前、コロナなど想像もできなかった時代とは明らかに違っており。
特に実感するのは、金曜夜の井の頭線だろうか。週の半分は渋谷勤務の<変態鉄>、渋谷駅から井の頭線に乗る。だいたい、22時前後。渋谷-明大前では、電車はどうしても渋谷方の2両に混雑が集中する。渋谷方先頭車(5号車)は、だいたい吊革が全部塞がるぐらいの混雑で渋谷駅を発車することが多いのだが。
“花金”という言い方は聞かなくなって久しいものの、コロナ前までは金曜夜は終電まで朝ラッシュ並みの混雑が続いており。その車内はカオスだった。

でも、最近は隣の人の肩に触れない程度で吊革を持って立てるくらいになっており。駅前は相変わらず賑やかだが、それでもかつてに比べれば“夜の街”の集客効果というのは落ちてきていると言うことか...
京王線新宿駅を発車する電車でも22時を過ぎると以前のような混雑は見られなくなっていく傾向にあるように感じている。

JRをはじめとした大手は、コロナ禍によって、都心部の路線で稼いだ黒字でローカル線の赤字を埋め合わせるというビジネスモデルが脆くも崩れ去り、いよいよ、地方の閑散線区は「廃線」の2文字が...
その前に“合理化”が進められるのは世の常であって。さらに、少子高齢化による労働人口の減少で乗務員不足も各鉄道事業者にとってのリスクとして顕在化しており。
ワンマン運転は急速に拡大している。

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【2022年6月29日18時06分】 七尾線・七尾駅

のと鉄道のディーゼル列車が、2連で車内運賃収受式ワンマンだったのは「当たり前」と思ったのだが、乗り継いだJR七尾線の金沢ゆき521系も、4両編成ワンマン。
いわゆる「都市型ワンマン」だが、ほぼすべてが無人駅。事実上、運賃の支払いは個々の乗客の良心に任される「信用乗車制」。
「きっぷは駅の回収箱に...」と合成音声のアナウンスが告げ...。もちろん、中には無賃乗車を企てる乗客がいるだろうというのはJRだって織り込み済みだろう。ローカル線の乗客から「取り損ねる」運賃総額が、駅員や車掌の人件費を賄えないならば、その分は一種のコストと割り切る...というのは民間企業としては合理的発想かも知れないが、ひとりの、昭和生まれの<鉄>としては、そういう鉄道情景は寂しい限りなのである。

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