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酷暑の只見線に“タラコ色”を追って(6=最終回)「タラコと只見川」リベンジ [会津・越後のキハ[只見・磐越西線]]

今週いっぱい働いたら、仕事の方は一段落。9月に入るまでちょっとだけノンビリ
過ごせる時期に入る。そう、余りに余っている「青春18きっぷ」をどうしようかと
悩んでいるところ。夜行快速の衰退と、新幹線開業による並行在来線の切り離しで
「広域に在来線の普通列車で旅する」ということ自体が現実的で無くなってきている
ように感じられるのだが...

そう、富山地鉄の「20形電車」を撮りに行きたくても「青春18きっぷ」利用は
だんだん難しくなってきており。東京 → 岐阜 → 富山と高山本線回りしか
うまいルートが見つからず。朝は早起きして東海道を下っても、夜、暗くなって
富山到着。空いた列車でボックスシートを独占して駅弁を頬張りながら...なんて
そんな筈も無く、熱海駅での“座席争奪戦”に参戦せざるを得なくて...
それなら、ヒコーキで行くことになるわけで...う~ん。

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【2019年8月4日8時59分】 只見線・滝谷駅

というわけで、今夏の「青春18きっぷ」の1回目は8月の只見線で。

その撮影記、最終回である。
……  ……

2019年8月4日(日)晴れ

根岸駅から第425D列車に乗って、降り立ったのは滝谷駅だった。

滝谷駅の次が会津桧原、ここを出て只見川第1橋梁に差し掛かる。定番過ぎる
ポイントではあっても「只見線夏休み」号は、あのビューポイントで撮ろうと
思っていた。でも、その前に、乗っている第425D列車は会津宮下駅で上り
第426D列車と交換する。いつもは、その2列車をビューポイントで撮っているが...

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【2019年8月4日8時59分】 只見線・滝谷駅

その滝谷駅は、やはり簡易駅舎を備えた片面ホームの無人駅。
かつては列車交換可能な島式ホームを備えた駅だったことを偲ばせるような配置。
駅前には、小さな公園があって周囲には、これまた小さな、ひなびた集落。

駅の隣、かつては貨物扱いホームがあったのだろうか、遊具がある公園になって
いるのだが、そこにお年寄り達が集まっていて。どうやら、駅周辺の草刈りみたい。
時刻はまだ朝9時、でも、うだるような暑さの中で、である。

駅の郷戸側で只見線は県道をアンダークロスしており、その県道は滝谷の集落を
貫くように通っている。

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【2019年8月4日9時23分】 福島県河沼郡柳津町大字郷戸

駅前の細い道を歩けば、すぐ先でその県道に合流し。
緩やかなカーブを描いて、山肌に沿って進む県道を100メートルほど進んだところ。
駅からも歩いて2~3分の地点に、スノーシェッドの入口があって。

その手前、ガードレールの外側、崖のところに人が2~3人立てる位のスペースが
あって。自分は「3人目」として“滑り込みセーフ”!!

他のお二人は、2時間半ほど待って「只見線夏休み」号を撮るのにスタンバイ中みたい。

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【2019年8月4日9時22分】 只見線・会津桧原-滝谷

そう、ここ2両編成しか撮れないのだが、駅至近で滝谷川鉄橋を渡るキハの姿を
捉えることができるポイントなのである。

この日の<変態鉄>、タラコ色の「只見線夏休み」号を勝手知ったる定番撮影地で
手堅くおさえつつ、定期列車のキハ40形は、秋の訪問時に撮れるような撮影地を
探す“ロケハン”をしながら進んでいたのである。

駅至近で<徒歩鉄>には何ともありがたい撮影地。しかも、列車が集中する朝の
時間帯が順光で。でも、玉に瑕なのが木々の間から見えるキハが2両分がやっと。
通学列車として長編成でくる朝の列車は...

2両に減車される休日ダイヤの時、限定の撮影地になりそう。

滝谷駅前に10時前にタクシーに迎えに来てもらう予約をしていた。
駅前のベンチで休憩。汗を拭うタオルはすでにグチョグチョ。

地元のおばあちゃんが草刈り機の燃料だろうか...、ガソリン携行缶を運ぶのに
「重いっ!!」と言うので持っていってあげたり...

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【2019年5月30日10時26分】 福島県大沼郡三島町大字川井付近

予約した通りの時刻に「奥会津交通」のタクシーがやって来て。
「道の駅・三島宿まで!!」

もっと遠いかと思っていたら、先の撮影地のところスノーシェッドを抜けて
県道を進み、大きな通りに突き当たったと思ったら...
バスで通ったことがある国道252号線、ちょうど道の駅の手前のトンネルのところ。
10分ほどで、いつもの道の駅へ到着である。

暑さと油断で...

「夏休み号」の通過は11時半、10時の食堂のオープンを待って会津のB級グルメ
“ソースカツ丼”の朝食。満を持して山道を登ったら...

「げっ!!」
恐れていた事態である。普段は“独り占め”が当然のようになっていた、
このビューポイント、既に立錐の余地もなく。最上段の「D」は諦め、1つ下の
「C」で。それでも“先客”の三脚がズラッと並んでおり。<変態鉄>はその後列、
小高くなったところに三脚を置いて前列の人の肩の間から抜く構図を選択...
というか、構図を検討する余地は残されていなかった。

幸い、最前列の皆さんが協力的で。「ココに立てば大丈夫ですかぁ??」
カメラを構えながら、リハーサルみたいなことも。
11時半過ぎ、「C」だけでも20~30名が集まった<鉄>、でも、波が引いていくかの
ように不思議な静寂が訪れて。

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【2019年8月4日11時50分】 只見線・会津桧原-会津西方

鉄橋にこだまする轟音...

タラコ色の2両のキハは停まりそうな位のゆっくりしたスピードで只見川第1橋梁を
渡っていったのである。

「お疲れ様でしたぁ~!!」
クルマで“追っかけ”の人たちは遊歩道を駆け下りるように。早戸付近で追いつく
計画らしくて。<変態鉄>はホッと一息。皆さんが“下山”するのを待って
最後から。それにしてももの凄い人出。ゆうに100名は越えていたのではないかと。

いつもの最上段「D」ではなく、1つ下の「C」にしたのは正解だった。
この酷暑、「C」は木々が覆い被さるような場所で陽射しが遮られ、涼しかった。
「D」は高圧鉄塔の点検用のスペース。陽を遮るものは何もないはずで。

……  ……

次の列車は13時の上り。“ビューポイント”でも光が回らなくなる時間帯。
どこで撮ろうかと迷ったのだが、選んだのは宮下駅に戻る途中、国道252号線から
分岐して宮下の集落へと下りていく坂道の途中、ちょっとだけ開けたスペースが
あって。

でも、意識が朦朧とするような暑さ。日陰を探して、ちょっとでも陽射しを
避けながら。アタマの中、もう何も考える余裕は無くて、ボー-ーっと。
レールの長さは1本25メートル、キハの車体が20メートル。だから、構図決めには
「レール2本分」とすれば確実なのである。

いや、いま考えると、自分ってバカじゃ無いのか!? と。

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【2019年8月4日13時00分】 只見線・会津宮下-会津西方

レールの継ぎ目2つ分を入れて構図を決めたのに...

1両目のキハの姿も入らない、もうどうすることもできない、救いがたいまでの
“撃沈”だったのである。この部分、会津宮下駅の場内信号機の近く。分岐器に
近いこともあってか、レールも(25メートルより)短いタイプだったのである。
「見れば分かる」レベルのこと。でも、それを考えられる余裕すら無くて...。

しかも、光線状態だって、どう見ても逆光である。嗚呼。

宮下駅前の観光案内所「からんころん」の前に置かれたベンチに座って一休み。
小さな街でも、駅前に来ればジュースの自販機に事欠かないのはローカル線を撮る
<徒歩鉄>にとっては、まさにオアシスのような。

普段は100円、いや10円だってケチる、そんな人間であっても2本買い!!

生き返ったような感じで。

……  ……

宮下の中心街、県立病院の裏に只見川に架かる赤い道路橋がある。
その三島大橋を渡って国道400号線に入れば、緩やかに蛇行して流れる只見川、
正面には只見川第2橋梁が見えてくる。

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【2019年8月4日14時29分】 只見線・会津西方-会津宮下

国道の歩道沿いからサイドで第2橋梁を捉えられる。

ココこそ、ホントに撮り方は自由。たぶん、何百人訪れても撮れそうな...。
木陰になる位置にバッグを置いて。そこを“基地”のようにして三脚を置いた
地点まで20~30メートルを行ったり来たりしながら。

クルマ派の方も含めて、最終的に10名強だっただろうか。
試し撮りは、下り第427D列車、前日は第4橋梁で“正面ドカン”で撮った列車である。

2両編成にしては左右の余白が大きすぎる構図設定だが、でも、列車だけを抜く
ような、フツーの列車写真よりも、ここが只見川第2橋梁であることがわかるような
撮り方をしたかった。微調整だけで待つこと暫し...

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【2019年8月4日14時35分】 只見線・会津宮下-会津西方

西に傾いた陽の光、深緑色の背景に首都圏色のタラコ色がよく映えるのである。
ゆっくりと鉄橋を渡って会津西方駅へと進入していくキハの姿を撮ったら...。

……  ……

これをもって全ての撮影日程は終了。山間部の撮影だけに“ゲリラ豪雨”に
見舞われたらどうしよう...と思ってもいたが、それも杞憂に。
一度も傘を出すことも無く。そして、2日目となった8月4日は、何度も撮ったことの
ある定番の撮影地ばかりではあったが、「只見線を走るキハ47形」と分かるような
画をキチンと残すことができた...それだけでも大満足だったのである。

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【2019年8月4日15時45分】 只見線・会津宮下駅

“追っかけ”のクルマ派の皆さんは三脚を畳む間も惜しんで、クルマに飛び乗り
エンジン音を響かせ、狭い田舎の国道を猛スピードで。柳津町に入るまでに
もう1カット撮れそうな...。

周囲に静寂が戻るのを待っていたかのように、<変態鉄>もカメラをバッグに
しまって歩き出すのだった。この撮影地のすぐ先、踏切を渡ったら会津西方駅。
でも、会津宮下駅まで歩いた方が飲み物も手に入るし...

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【2019年8月4日15時53分】 只見線・会津宮下駅

ゆっくりと歩いて会津宮下駅へと戻ったのは15時過ぎ。16時の会津若松ゆきを待って。
ちょうど、そのあたりから何だか猛烈な疲労感...というか“全身倦怠感”。

混雑したキハの車内、ロングシートに座ってウトウトしていたのだった。
2日続けて、あの暑さの中、歩き回っていたのは、やはり体に堪えたのだろうか。

最後はちょっとヘロヘロになりながら。とはいえ、あとは帰るだけ。

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【2019年8月4日17時08分】 只見線・西若松駅

この第430D列車、西若松駅で只見線と会津鉄道線の列車2本まとめて行き違いをする。
いつもは、車内で過ごすのだが、この日は他の<鉄>の行動を見て。

自分もホームに下りて1枚。

これ、ホーム上での単なるスナップだが...、実は1日1回のレアショット。
西若松駅は西側から片面ホームの1番のりば、島式ホームが2番、3番乗り場。
3番は会津鉄道線のホーム、1, 2番が只見線だが、只見線列車も基本的に島式ホームの
2番のりばに発着する。この駅での只見線どうしの列車交換は 17:07 の1回だけ。

つまり、通常ダイヤで1番のりばに入るのはこの第430D列車だけ。
だから、17時の、この列車の時間以外はこちらのホームへの入口が施錠されて。
それは知っていたのだが、写真に撮るのは初めてだった。

……  ……

会津若松駅のコインロッカーから荷物を取り出したら、スーパーに寄って
バスターミナルへ。ほぼ満席の「夢街道会津20号」、夕暮れの磐越道を順調に。
東北道に入って東京に近づくにつれて流れが悪くなり、王子到着は10分遅れに
なったものの、日曜の夜とあって、普段とは違って明治通りがスイスイ流れて。

結局、終着バスタ新宿へはほぼ定刻、22時半の到着だった。(おわり)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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