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新緑には間に合わなかったけれど...只見線キハ!!(1)プロローグ [会津・越後のキハ[只見・磐越西線]]

“キハ40系ディーゼル動車”というのが、最近、<変態鉄>が狙って撮りに行く
形式になっている。1977年(昭和52年)からの約5年間に全国で900両弱が投入され、
事実上、「最後の国鉄型」となった形式である。

2重窓を備えた北海道版・暖地用・寒冷地用とか、両運転台車・片運転台車とか
都市近郊用の両開き扉車やローカル線用の片開き扉車...、同一系列に各種仕様を
合わせ持つ形式もこれが最後になった。数年前にJR東海で全廃されたが、他5社には
まだ比較的多数が残されており。

いままで、まぁ正直言って、撮影地でこの車輌に出会っても「ハズレ」に近い感覚
だった。昭和30年台、40年台に製造された、DMH17系エンジンを備えたキハこそが
<変態鉄>のお気に入りだったからである。でも...

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【2019年5月30日7時32分】 只見線・会津宮下駅

いつしか、そんなキハもイベント用に残されたものも含めて引退してしまい、
今では例外的に小湊鐵道にまとまった数が残る位。あとは、いすみ鉄道のキハ...
それと、昨日まで取りあげた、ひたちなか海浜鉄道のキハ205号車くらいになって。

でも、それよりも、この型式が気になり始めたわけは...

……  ……

製造初年が「昭和52年」。<変態鉄>が生まれたのが昭和53年3月のこと。
そう、ちょうどこの車両たちと“同い年”なのである。製造当初から車輌としての
評価は惨憺たるものだった。エンジン出力は控えめの220 PS、それでも“先代”の
DMH17系の180 PSに比べたら増強されているが、国鉄の労使関係の複雑さもあって
いろいろな装備を追加する内に車体重量が、それまでのキハより1~2割増加して。

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【2017年8月30日12時04分】 錦川清流線・錦町駅

結局「重いばかりで走れないキハ」を大量に製造することになったわけである。
それでも、JR化後、冷房化やエンジンの換装など、いろいろと手を加えられながら
40年以上にわたって全国のローカル線の主力車として活躍してきた。

ただ、新車の投入や過疎化によるローカル線の減便で、徐々に廃車が進められ。
特にJR東ではハイブリッド車など、環境負荷を低減した新しい動力源の採用が
進められ。まもなくキハ40系の“牙城”であった新潟・秋田地区にも新型車が
まとめて投入されることが発表されており。そうなれば、後は一気に置換えが...

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【2016年6月12日13時45分】 津山線・誕生寺-弓削

数的にはまとまって残っているJR西...だが、こちらは東と違って台所事情が...
東日本では見ることができなくなった形式でも、あと10年...いや、もっと
使い続けなければならない事情があるだけに、内外装の徹底的なリニューアルが。

その結果、何と言っても、あまりにも不細工すぎる窓回りになっていて。
撮りに行く気も失せてしまう訳で。四国でも徳島地区にわずかに残るだけ。
九州はちょっと遠いし...

いまや、キハ40系が活躍する中で“画になる”線区というのは、<徒歩鉄>には
アクセスしにくいところが中心になり。

でも、そんな中で...

“逆説的”に、撮影地の整備(?)が進んで、アクセス手段も充実してきたのが
ぬぁんと、あの只見線。

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【2019年1月28日9時09分】 只見線・会津西方-会津桧原

昨秋訪れて以来、すっかりその魅力に...
会津若松から会津盆地を走り抜け、会津坂下(ばんげ)を過ぎると山間の区間。

日本有数の豪雪地で人口も疎らな山岳区間は只見川の流れに沿って。

ようやく、撮影地に向かう道路の冬季閉鎖期間が終わって。
新緑には間に合わないまでも、田んぼに水が入った中を走る国鉄型キハを撮る...

そう決めて会津若松に向かったのは、5月29日のこと。


2019年5月29日(水)晴れ

朝6時半の東京は前夜の雨も上がっていて。7時過ぎのバスタ新宿は大混雑。
ベンチはおろか立っていられる場所も...
コンビニで飲み物を買ったらいつもの乗り場へ。

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【2019年5月29日7時15分】 東京都渋谷区代々木・バスタ新宿

何だか、いつもの通り。五井ゆきのバスの1本前、同じ乗り場から出発するのが、
バスタ新宿 7:30発「夢街道会津1号」、JRバス関東の車両での運転である。

今回はなぜか窓側が空いていなくて前方の通路側。新宿の時点で隣の席にも...
と、思ったら後方には空席が目立っていて。最後の乗車停留所は王子駅前。
運転手さんによっては「これ以降、座席は自由に...」とアナウンスするのだが...

やはり、皆さん、慣れたもので王子駅前を出た後は座席を変わるので、自分も後ろの
空いている列へ。王子から高速道路に入ると雨。前回は扇大橋付近から富士山も
見えたが、今回は灰色の雲が見えるだけ。雨脚も強まっていて。

でも、川口を通過して東北道に入ったあたりで雨も上がって。

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【2019年5月29日8時51分】 埼玉県羽生市弥勒・東北道羽生PA

最初の休憩は羽生PA、平日の朝9時とあって中は空いていた。
バスは順調に走って。その車内で<変態鉄>はいつしかウトウト。

気づけば、10時半。阿武隈PAに到着である。

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【2019年5月29日10時36分】 福島県白河市泉田・東北道阿武隈PA

羽生に比べて小さなPAで。トイレと飲料の自販機があるくらいの簡素なもの。
もっと広いPAで休憩してくれれば...と思うのだが、このPAで休憩するのは
この「夢街道会津1号」、JRバス関東の白河支店の担当便。このPAには交替の
運転手さんが待機しており、休憩中に引き継ぎをしており。

阿武隈PAを出ると、30分とかからずに郡山JCT、ここで磐越自動車道に入る。

鉄道利用だと磐越西線はローカル電車オンリーになって久しく。日中の普通電車で
郡山から会津若松まで1時間20分ほど。でも、高速道路だとそれよりかなり速く。

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【2019年5月29日10時36分】 JRバス関東「夢街道会津1号」車内(猪苗代町付近)

「磐越道に入ったな...」と思った途端に磐梯熱海を通過、30分とかからず
猪苗代のICへ。いったん高速を下りて水田地帯の道路を進めばすぐに猪苗代駅前。
数名の乗客が下車したら...

この時点で外は快晴。車窓にはすっかり緑色の装いとなった磐梯山がクッキリと。
バスの窓越しに撮っているので色合いがおかしいのだが。
再び高速道路に戻れば、会津若松はすぐ。

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【2019年5月29日12時21分】 福島県会津若松市・会津若松駅前

ほぼ定刻通り、正午過ぎに会津若松駅前に到着したのだった。
今回のホテルは、いつもの神明通りではなく、初めて駅前に確保できたのである。

フロントにパソコンなどの荷物を預けたら、すぐに再び出発である。

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【2019年5月29日12時41分】 只見線・会津若松駅

改札を抜け、跨線橋を...

磐越西線は北向きの頭端式ホーム、でも、只見線は会津若松駅を南に向かって
出発するので、一番の奥の4・5番のりばか、磐越西線と共用の3番のりばに発着する。
ちょうど、右側に停まっている角張った緑色の車体は、磐越西線の野沢ゆき、
第231D列車、左側、4番のりばに停車中は12:54発「AIZU マウントエクスプレス6号」
第3セクターの会津鉄道、野岩鉄道を経由して東武線に入って東武日光ゆき。

実は浅草から東武線経由で会津若松入りするルートも一度は体験したいのだが、
時間の関係もあって、なかなかそれは実現しないのである。

この写真、架線柱のビームと重なって見えづらいが、写真左奥でヘッドライトを
点けて待機しているキハの姿が...

只見線運用のキハ40形は会津若松に配置されている。いまも大型の扇形庫が残る
蒸機時代からの大きな機関庫だが、正式には車両の配置は郡山総合車両センターに
移管されており、その会津若松派出という名称になっている。

そこにいる白地に緑の“東北色”のキハ40形が主に只見線運用、間合いで磐越西線の
喜多方、野沢までの運用を受け持っている。

13:07発の会津川口ゆきになるべく出区しようとしていたところみたい。

でも、その前に。とりあえず、ホームの北端まで歩いて行ってみると...

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【2019年5月29日12時45分】 磐越西線・会津若松駅

“新潟色”のキハ47形である。磐越西線の喜多方~新津間も非電化なのでキハだが
その主力は新潟支社のグループ。こちらも撮りに行きたいと思っているのだが、
なかなか機会に恵まれず。

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【2019年5月29日12時47分】 只見線・会津若松駅

さぁ、そんなことをしていたら只見線の運用に入るキハ40形2連が動き出して。
足慣らし...とばかりに、奥の線路を。

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【2019年5月29日12時55分】 只見線・会津若松駅

すぐに折り返して、今度は磐越西線の線路に入っていき。12:54発の会津鐵道線が
出発するまで駅構内ハズレで待機して、線路の空きを伺うような形になっている
みたいで。同じ40系ディーゼル動車が並ぶシーンを撮ることができて。

バスで会津若松に着いて、すぐにキハに出会うことができて。
さっそく、テンションの上がっている<変態鉄>だったのである。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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