北陸のディープ<鉄>を巡る旅(16)最後は敦賀。 [保存車・廃線跡]
人間、誰でも何事でも“慣れ”というのは全てが良い結果をもたらす訳では無い。
時に“原点”に立ち返って、自分が身につけてきたもの、逆にそれによって
失ってしまったものがないか、自分自身をよく見つめてみることも大切では無いか
と、そんなことを思うのである。
そんな<変態鉄>、最近、ちょっと失ってしまったかも知れないと思っているのが...
【2018年8月12日14時39分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
そう「わかさ」なのである。40歳になると...
という出だしは、冗談なのだが。
敦賀と京都府の舞鶴を結んだ急行「わかさ」はJR化後も長らくの間、
キハ58系急行型ディーゼル動車が受け持った急行運用だった。青地に白の小浜線色
で走っていた姿、<変態鉄>もちょっとだけ覚えている。
そういう意味で、国鉄型というのは、どこで見ても違和感がないのが凄いところ。
北陸を巡るなら、絶対にこのキハに会いたいと思っていた。
…… ……
2018年8月12日(日)晴れのち曇り
北府駅の見学を終えて。北府の次の駅が越前武生駅である。わざわざ待ってまで
電車に乗るよりも...、猛暑の中を歩き出したのだった。
これまでにも撮影に来た時に、この1駅間は何回か歩いたことがあるのだが...
周囲は武生の町の中心部、昔ながらの住宅街という感じ。でも、この暑さでは
人通りも疎ら。入り組んだ路地に、どこで曲がれば良いのか分からなくなって。
テキトーに歩いていたら、向こうにホーム上屋が見えてきて...
【2018年8月12日12時30分】 福井鉄道福武線・越前武生駅
あまりの暑さにイライラしながら到着したのは越前武生駅。
ちょうど、12:55発の普通電車の改札中。<変態鉄>はいったん待合室へ。
冷房が効いていて涼しかったが、これが発車したら窓口で...と思っていたら
自由研究だろうか、小学生くらいの女の子。親子で駅員さんに何やら“取材中”。
それが済むのを待って...
先ほど北府駅に展示されていた乗車券類の一部(もちろん有効期限切れ)が、
グッズ類の1つとして売られているのである。
在庫のあった、南越線の硬券乗車券と福武線の往復乗車券、それから、
もう1枚は「福井市制90周年記念きっぷ」、軌道線区間の1日乗車券には
昭和54年の夏の日付が入っている。発行駅の「福井新」も懐かしいし...
その裏面が、ご紹介した写真。
このうち、いまも同じ名前で残っているのが「田原町」だけというのがスゴい所。
でも、<変態鉄>にとってはこちらの駅名...というか電停名の方がシックリ来る。
ちなみに、この券面に書かれた電停の中で、<変態鉄>が福鉄電車を撮るように
なったときに「存在していなかった」のは“本町通り”。大名町交差点の南詰に
あたる位置にあったとされているが、市役所前(現在の福井城址大名町電停)から
交差点を通過しただけ...とあって、90年台にはすでに「休止」扱いになっており、
2002年に幸橋が架け替えられると、正式に廃止になっている。
写真に写っているのはモハ200形電車だと思われるが、方向幕未設置、しかも
非冷房だから...だろうか、車体全体が丸っこく流線型に見える。
本当は、他にも欲しいのがあったのだが...
ネットで見たのと違って、なぜか越前武生駅には在庫が無かったようで。う~ん。
ショッピング施設の横を歩いて行けばJR北陸本線の武生駅までは徒歩5分ほど。
【2018年8月12日14時00分】 北陸本線・敦賀駅
13:32発の敦賀ゆきは521系電車の2両ワンマン運転。何人か立ち客がいたが、
幸いにも自分は座ることができて。トンネルが続く区間、ウトウトしているうちに
ほどなく敦賀駅に到着である。
【2018年8月12日14時04分】 福井県敦賀市鉄輪町・敦賀駅前
目指すは「金ヶ崎 赤レンガ倉庫」。バスは14:30発、「歩くべきか...」、
ちょっとだけ迷ったが、でも、バスを待つことに。
敦賀駅は乗換のために何度か降りたことがあるのだが、そのときとは
駅舎も建て替えられていて...
【2018年8月12日14時10分】 福井県敦賀市鉄輪町・敦賀駅前
猛烈な暑さの中、日陰を探してジッと待っていたら、14:15過ぎにバスが
やって来た。「ぐるっと敦賀周遊バス」の観光ルートである。
ようやく冷房の効いた車内へ。典型的なコミュニティバス路線だが、徐々に
車内には乗客が増え、発車間際になるとほぼ全ての座席が埋まって。
その乗客の大半は200円の普通運賃では無く、500円の1日フリーきっぷを求めて
いたのも、ちょっと意外だった。ちなみに<変態鉄>は帰りをどうするか
決めていなかったので、200円払ったのだが...
気比神社前を経て、やがて海沿いへ。車内では「マジ、ばえるぅ~~~!!」と
車窓の写真を撮りながら、若い観光客たちが賑やかに...。“ばえる”って何だ?!
と、アタマに「?」マークが並ぶのは、自分がオッサンになった証だろうか。
ちょっと考えてみて、“インスタ映え”のことを言っていたのだな...と気づいて。
10分くらいで目的の「赤レンガ倉庫」バス停。
降りたら、その目と鼻の先。
【2018年8月12日14時38分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
このキハに会いたくて、わざわざ敦賀までやって来たのである。
それが、キハ28 3019号車。国鉄時代の急行型ディーゼル動車である。
キハ28形といえば...
【2012年10月14日12時33分】 いすみ鉄道・デンタルサポート大多喜駅
そう、いすみ鉄道の観光急行列車である。
「なぜ、わざわざ!?」と言うことなかれ。
【2018年8月12日14時39分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
それはこの顔つき。
国鉄時代、幹線は電化が進められた。ディーゼル動車というのはどちらかと言えば
ローカル線で使われるもの。ということで“同世代”の「電車」に比べて、
ディーゼル動車というのはコストを抑えた仕様の車体で製造されていた。
それが正面の窓。急行型電車では大型曲面ガラスを用いて前面窓が側面に回り込む
スタイルが採用されても、ディーゼル動車はガラスを小さめのサイズで抑えて
平面ガラスで構成された前面窓が採用された。
【2018年8月12日14時40分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
でも、傍系車も含めて1,800両以上が製造された「58系急行型ディーゼル動車」。
製造期間も長くなり、最後の方に増備されたグループでは屋根肩の雨樋が埋め込み
構造になって、肩のラインがスッキリしたり(車体断面も変わっている)、
そして前面窓も曲面ガラス(通称・パノラミックウィンドウ)に変更されたり。
後期車はちょっと姿が違っていた。もちろん、1両ずつ自由に組成できるのが
国鉄型キハの特色。平面窓の車両と混用され、チグハグ編成を作り出していた。
2000年台に入る頃には盛岡支社には、なぜかパノ窓車が多くまとまっていたが
他の区所では平窓仕様の中に何両か“レアキャラ”的にパノ窓が混ざっている...
というのが一般的だった。もちろん、撮っていても、その場になるまで
どちらが来るのか分からないもので。キハ目当ての<撮り鉄>の間でも好みが
分かれる車両だった。
【2018年8月12日14時39分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
この車両は、1968年(昭和43年)に富士重工で製造され、新製配置は福知山。
2000年3月に廃車になるまで、国鉄時代もJR化後も、福知山 ←→ 豊岡と、
めまぐるしく転属しており。(でも、その2区所以外に所属したことがない)
一貫して北近畿エリアから離れることなく活躍した車両である。
【2018年4月5日13時46分】 阪堺電軌阪堺線・東玉出電停
訳あって、和歌山県白浜市のパンダで有名なレジャー施設で活用されていたが
解体撤去が決定。それを大阪の業者が買い取って保管していたのだが、キハ28形が
非電化時代の小浜線で、急行「わかさ」をはじめ活躍していた縁もあって、
敦賀市にやって来たのである。
【2018年8月12日14時41分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
ちなみに所属標記は「福フチ」のままになっていた。
急行「わかさ」のヘッドマークを掲出して、現役さながらの姿で保存されている
のである。通りの向かい側は海。潮風による腐食で傷んでしまうのではないかと
心配になるところだが、設置からまだ間が無いためか、保存状態は良好だった。
【2018年8月12日14時45分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
時折、車内も公開されているようだが、この日はベルトで立入規制されており。
“パノラミックウィンドウ車”で本来の姿を残して保存されている個体は、
他に思いつかない位。貴重な、しかも保存状態良好なキハに会えて
夢中で撮り続けた<変態鉄>だった。(つづく)
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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時に“原点”に立ち返って、自分が身につけてきたもの、逆にそれによって
失ってしまったものがないか、自分自身をよく見つめてみることも大切では無いか
と、そんなことを思うのである。
そんな<変態鉄>、最近、ちょっと失ってしまったかも知れないと思っているのが...
【2018年8月12日14時39分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
そう「わかさ」なのである。40歳になると...
という出だしは、冗談なのだが。
敦賀と京都府の舞鶴を結んだ急行「わかさ」はJR化後も長らくの間、
キハ58系急行型ディーゼル動車が受け持った急行運用だった。青地に白の小浜線色
で走っていた姿、<変態鉄>もちょっとだけ覚えている。
そういう意味で、国鉄型というのは、どこで見ても違和感がないのが凄いところ。
北陸を巡るなら、絶対にこのキハに会いたいと思っていた。
…… ……
2018年8月12日(日)晴れのち曇り
北府駅の見学を終えて。北府の次の駅が越前武生駅である。わざわざ待ってまで
電車に乗るよりも...、猛暑の中を歩き出したのだった。
これまでにも撮影に来た時に、この1駅間は何回か歩いたことがあるのだが...
周囲は武生の町の中心部、昔ながらの住宅街という感じ。でも、この暑さでは
人通りも疎ら。入り組んだ路地に、どこで曲がれば良いのか分からなくなって。
テキトーに歩いていたら、向こうにホーム上屋が見えてきて...
【2018年8月12日12時30分】 福井鉄道福武線・越前武生駅
あまりの暑さにイライラしながら到着したのは越前武生駅。
ちょうど、12:55発の普通電車の改札中。<変態鉄>はいったん待合室へ。
冷房が効いていて涼しかったが、これが発車したら窓口で...と思っていたら
自由研究だろうか、小学生くらいの女の子。親子で駅員さんに何やら“取材中”。
それが済むのを待って...
先ほど北府駅に展示されていた乗車券類の一部(もちろん有効期限切れ)が、
グッズ類の1つとして売られているのである。
在庫のあった、南越線の硬券乗車券と福武線の往復乗車券、それから、
もう1枚は「福井市制90周年記念きっぷ」、軌道線区間の1日乗車券には
昭和54年の夏の日付が入っている。発行駅の「福井新」も懐かしいし...
その裏面が、ご紹介した写真。
このうち、いまも同じ名前で残っているのが「田原町」だけというのがスゴい所。
でも、<変態鉄>にとってはこちらの駅名...というか電停名の方がシックリ来る。
ちなみに、この券面に書かれた電停の中で、<変態鉄>が福鉄電車を撮るように
なったときに「存在していなかった」のは“本町通り”。大名町交差点の南詰に
あたる位置にあったとされているが、市役所前(現在の福井城址大名町電停)から
交差点を通過しただけ...とあって、90年台にはすでに「休止」扱いになっており、
2002年に幸橋が架け替えられると、正式に廃止になっている。
写真に写っているのはモハ200形電車だと思われるが、方向幕未設置、しかも
非冷房だから...だろうか、車体全体が丸っこく流線型に見える。
本当は、他にも欲しいのがあったのだが...
ネットで見たのと違って、なぜか越前武生駅には在庫が無かったようで。う~ん。
ショッピング施設の横を歩いて行けばJR北陸本線の武生駅までは徒歩5分ほど。
【2018年8月12日14時00分】 北陸本線・敦賀駅
13:32発の敦賀ゆきは521系電車の2両ワンマン運転。何人か立ち客がいたが、
幸いにも自分は座ることができて。トンネルが続く区間、ウトウトしているうちに
ほどなく敦賀駅に到着である。
【2018年8月12日14時04分】 福井県敦賀市鉄輪町・敦賀駅前
目指すは「金ヶ崎 赤レンガ倉庫」。バスは14:30発、「歩くべきか...」、
ちょっとだけ迷ったが、でも、バスを待つことに。
敦賀駅は乗換のために何度か降りたことがあるのだが、そのときとは
駅舎も建て替えられていて...
【2018年8月12日14時10分】 福井県敦賀市鉄輪町・敦賀駅前
猛烈な暑さの中、日陰を探してジッと待っていたら、14:15過ぎにバスが
やって来た。「ぐるっと敦賀周遊バス」の観光ルートである。
ようやく冷房の効いた車内へ。典型的なコミュニティバス路線だが、徐々に
車内には乗客が増え、発車間際になるとほぼ全ての座席が埋まって。
その乗客の大半は200円の普通運賃では無く、500円の1日フリーきっぷを求めて
いたのも、ちょっと意外だった。ちなみに<変態鉄>は帰りをどうするか
決めていなかったので、200円払ったのだが...
気比神社前を経て、やがて海沿いへ。車内では「マジ、ばえるぅ~~~!!」と
車窓の写真を撮りながら、若い観光客たちが賑やかに...。“ばえる”って何だ?!
と、アタマに「?」マークが並ぶのは、自分がオッサンになった証だろうか。
ちょっと考えてみて、“インスタ映え”のことを言っていたのだな...と気づいて。
10分くらいで目的の「赤レンガ倉庫」バス停。
降りたら、その目と鼻の先。
【2018年8月12日14時38分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
このキハに会いたくて、わざわざ敦賀までやって来たのである。
それが、キハ28 3019号車。国鉄時代の急行型ディーゼル動車である。
キハ28形といえば...
【2012年10月14日12時33分】 いすみ鉄道・デンタルサポート大多喜駅
そう、いすみ鉄道の観光急行列車である。
「なぜ、わざわざ!?」と言うことなかれ。
【2018年8月12日14時39分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
それはこの顔つき。
国鉄時代、幹線は電化が進められた。ディーゼル動車というのはどちらかと言えば
ローカル線で使われるもの。ということで“同世代”の「電車」に比べて、
ディーゼル動車というのはコストを抑えた仕様の車体で製造されていた。
それが正面の窓。急行型電車では大型曲面ガラスを用いて前面窓が側面に回り込む
スタイルが採用されても、ディーゼル動車はガラスを小さめのサイズで抑えて
平面ガラスで構成された前面窓が採用された。
【2018年8月12日14時40分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
でも、傍系車も含めて1,800両以上が製造された「58系急行型ディーゼル動車」。
製造期間も長くなり、最後の方に増備されたグループでは屋根肩の雨樋が埋め込み
構造になって、肩のラインがスッキリしたり(車体断面も変わっている)、
そして前面窓も曲面ガラス(通称・パノラミックウィンドウ)に変更されたり。
後期車はちょっと姿が違っていた。もちろん、1両ずつ自由に組成できるのが
国鉄型キハの特色。平面窓の車両と混用され、チグハグ編成を作り出していた。
2000年台に入る頃には盛岡支社には、なぜかパノ窓車が多くまとまっていたが
他の区所では平窓仕様の中に何両か“レアキャラ”的にパノ窓が混ざっている...
というのが一般的だった。もちろん、撮っていても、その場になるまで
どちらが来るのか分からないもので。キハ目当ての<撮り鉄>の間でも好みが
分かれる車両だった。
【2018年8月12日14時39分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
この車両は、1968年(昭和43年)に富士重工で製造され、新製配置は福知山。
2000年3月に廃車になるまで、国鉄時代もJR化後も、福知山 ←→ 豊岡と、
めまぐるしく転属しており。(でも、その2区所以外に所属したことがない)
一貫して北近畿エリアから離れることなく活躍した車両である。
【2018年4月5日13時46分】 阪堺電軌阪堺線・東玉出電停
訳あって、和歌山県白浜市のパンダで有名なレジャー施設で活用されていたが
解体撤去が決定。それを大阪の業者が買い取って保管していたのだが、キハ28形が
非電化時代の小浜線で、急行「わかさ」をはじめ活躍していた縁もあって、
敦賀市にやって来たのである。
【2018年8月12日14時41分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
ちなみに所属標記は「福フチ」のままになっていた。
急行「わかさ」のヘッドマークを掲出して、現役さながらの姿で保存されている
のである。通りの向かい側は海。潮風による腐食で傷んでしまうのではないかと
心配になるところだが、設置からまだ間が無いためか、保存状態は良好だった。
【2018年8月12日14時45分】 福井県敦賀市金ケ崎町付近
時折、車内も公開されているようだが、この日はベルトで立入規制されており。
“パノラミックウィンドウ車”で本来の姿を残して保存されている個体は、
他に思いつかない位。貴重な、しかも保存状態良好なキハに会えて
夢中で撮り続けた<変態鉄>だった。(つづく)
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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