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北陸のディープ<鉄>を巡る旅(13)「福井駅前」から「福井駅」へ!? [福井鉄道福武線200形]

都市間輸送を担う高速鉄道と、都市中心部を縦横無尽に走る路面電車。
イメージとしては相対する、正反対の存在...のような印象だが、決して両者は
“水と油”ではない。<変態鉄>が生まれる少し前まで、新宿の、あのルミネ前の
交差点、新宿駅を発車した京王線の電車は道路の中央をゴロゴロと走っていた。

都市間輸送の私鉄電車が都市中心部で道路上を走る路面電車のスタイルになる...
という例は、意外と多かった。もちろん、安全性の向上や輸送力の増強を目的に
地下などに新線を建設し、道路上を走る区間は戦後の高度成長期以降、各地で
解消されていった。

でも、このような郊外私鉄と路面電車の“ハーフ・アンド・ハーフ”のような
スタイルを残している路線というのは今もある。広電宮島線、京阪京津線といった
独自の進化を遂げた路線、残念ながら過去帳入りしてしまった名鉄岐阜線...
いずれも<変態鉄>には堪らない路線ばかりだが。そんな中で、まさに
“時間が止まったような存在”に見えていたのが、2010年頃までの福鉄福武線。

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【2009年10月26日16時19分】 福井鉄道福武線・福井駅前電停(当時)

一時は廃線の噂もあったが、超低床車の導入による近代化、えちぜん鉄道との
相互直通運転も開始され...。郊外電車タイプの高床式の電車がゴロゴロと
目抜き通りを走る姿は見られなくなったが、念願の駅前広場への乗り入れ...

数年ぶりの訪問は、かつての面影を探すのに苦労した位の変化。
そんな福井駅から。まずは、福井駅前の電車通りの変化を<変態鉄>の写真で。
……  ……

2018年8月12日(日)晴れのち曇り

今度の越前武生ゆきは11:07発。でも、その前に10:55発の田原町ゆき電車が。

その電車を“迎え撃つ”べく、いったん福井駅電停を通り過ぎて...。

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【2018年8月12日10時44分】 福井鉄道福武線・福井城址大名町-福井駅

ご覧いただけるだろうか!? 
市役所や繊維会館などがある市の中心部、福井市のメインストリート、
フェニックス大通りの中央に福鉄電車の線路がのびている。大名町交差点で
線路は「ト」の字を書くように、東向きにヒゲ線を分岐させる。

大名町交差点を通過したところが、西武デパート。この前を通り過ぎて...

1枚上の写真と見比べながら、ご覧いただきたいのが次の写真。
上の写真で青い横断歩道の標識が左上に見えている。その横断歩道の付近まで
電車が近づいてきたよく見ると。その付近だけ軌道のまわりが石畳になっている
ことにお気づきだろうか!?

かつては、ここに「福井駅前」電停があって、その十メートルほど先で線路は
プッツリと商店街の道路の中に消えていた。

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【2009年10月26日18時19分】 福井鉄道福武線・福井駅前電停(当時)

ちょうど、その旧「福井駅前」電停があった、その真っ正面に白い大きなホテルが
建っている。ユアーズホテルだが、そこが福武線電車を撮りに来たときの
<変態鉄>の“定宿”だった。フロント近くに居るとロビーの先のガラス越しに
駅前電停が見えて。そこにモハ200形が停まっていたりした日には、大急ぎで
カメラを持ってかけ出したのだった。

電車通り自体、“旧道”のイメージが強く、路線バスも隣の中央大通り経由。
西武デパートも景気が良さそうな感じでは無く、寂れた印象の方が強かった
駅前電車通りだった。水銀灯に照らし出されて見えにくいが、電車が停まっている
旧福井駅前電停の部分には、わずかながら石畳軌道が残っていた。

では、ビフォーアフター...と定点比較の写真を出せるように撮ってくれば
良かったのだろうが、無計画・行き当たりばったりの人生、それが<変態鉄>!!

同じカットを撮る...なんて気の利いたことのできる性格ではないのだが、
では、このとき、福井駅前電停に停車中の200形電車を反対側(大名町側から)。

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【2009年10月26日18時19分】 福井鉄道福武線・福井駅前電停(当時)

「かゞみや」というのは、果物などを売っていたような違ったような...。
アーケードの付いた商店街が続いている。ただ、記憶が確かならば、当時既に
ごく一部の店舗を除けば、商売をやめている感じか...シャッターは開いていても
何だか入るのを躊躇いそうな雰囲気のお店ばかり。

そういえば、当時、撮影の合間の暇つぶしで靴屋さんを覗いてみて、破格の値段で
革靴を買ったっけ!? 余計な荷物ではあったが、宅急便の料金を考えても
余りある安さだったような。

福井の名物(?)、俗にいう“B級グルメ”に「ソースカツ丼」がある。
大名町交差点を過ぎて少し先にある洋食屋さんが有名なのだが...
この商店街の近くに「ソースカツ丼」の安いチェーン店があって、

  ♪ そ~~ぉす かつどん おいしそう...

という謎な歌がエンドレスでスピーカーから流れていて。なぜかいまも耳の中に
そのフレーズがハッキリと残っている。一度だけ入ってみたことがあったが、
「箸を付けた途端、自分はこの人生で、たぶんもう二度と来ることは無い」と
思ったのも、懐かしい記憶。

……  ……

ということで、いったん時計の針をを2018年8月に戻して...

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【2018年8月12日10時44分】 福井鉄道福武線・福井城址大名町-福井駅

10:55発の田原町ゆき電車が、ちょうどタクシーと並んで信号待ちをしている地点が
旧「福井駅前電停」。ということは...

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【2018年8月12日10時44分】 福井鉄道福武線・福井城址大名町-福井駅

<変態鉄>がいま、この写真を撮っているのは、ちょうどあの「かゞみや」さんの
看板付近になるはずなのである。

信号が変わると電車はちょっとだけ加速して。駅前広場へと向かう急カーブに
さしかかる。数年前まで、シャッター通り商店街があったことがウソのように、
明るくて広い駅前広場に生まれ変わっていたのである。

それと同時に電車の軌道も駅前広場への乗り入れを果たし。

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【2018年8月12日10時52分】 福井鉄道福武線・福井駅電停付近

戦後の福井地震の復興に際して、軌道の移設が行われ、現在の福武線電車の線路の
骨格ができあがる。その際に、市役所前(当時:現・福井城址大名町)電停から
福井駅前の1区間は「ヒゲ線」となり...

日中の普通電車は、

 越前武生 → 福井城址大名町 → 福井駅 → 福井城址大名町 → 田原町

と、ヒゲ線区間を往復するように運転され、急行電車は「ヒゲ線」への進入を
行わずにフェニックス大通りを直進するルートで運転されている。
(福井城址大名町電停まででも、福井駅から急げば徒歩5分ほどの距離だし...)

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【2018年8月12日10時52分】 福井鉄道福武線・福井駅電停付近(後追い)

「かゞみや」の看板付近に立って“新規開業区間”を抜ける770形を見送ったら、
ホームへと戻るのである。

……  ……

モハ200形だった頃は「1枚でも多く!!」、大名町交差点の信号待ちは非常に長い。
駅前で撮った後は、猛ダッシュで電車を追いかけて、市役所前電停で
スイッチバックして再び、今度は大名町交差点を直進するところまで...

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【2009年10月26日16時25分】 福井鉄道福武線・福井駅前-市役所前(当時)

電車の、ちょうど2両目の屋根付近に見える横にのびるアーケードの入口と
ゴシック体でシンプルに書かれた「オーモリ」の看板。2009年と2018年の
福井駅前の変化を、そっと見守っているのがわかる。

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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