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4年ぶり、常磐路の超個性派ローカル線へ(2)キハ2002号車「まいりゅう号」 [常総線のキハとその仲間たち[関東鉄道]]

竜ヶ崎というのは...

茨城県龍ケ崎市。ここ、書くのに非常に困るのである。
「竜」と「龍」、「ケ」と「ヶ」。関東鉄道は、路線名も駅の名前も「竜ヶ崎」で統一
されているので、この記事でもそれに合わせているが、その所在地は「龍ケ崎市」。
このほか、地元金融機関には「竜崎支店」としているところもあって。

街を歩いていても、この辺の標記が入り乱れていて...う~ん。

その“竜ヶ崎”の街は、昔から太平洋岸を通って関東と東北を結ぶ重要なルート上の
街として物流と人の流れの中心として賑わったという。江戸時代、水戸街道が竜ヶ崎を
通らずに西側を通り、街道筋からは外れることになったものの、利根川、小貝川の水運も
あって、物資の集積地には変わらず...

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【2018年3月17日8時53分】 関東鉄道竜ヶ崎線・竜ヶ崎駅

現在のJR常磐線のルートも竜ヶ崎からは少し離れたところを通ることになった。
そこで地元有力者が中心になって、常磐線の佐貫駅から竜ヶ崎の中心部までの軽便鉄道
の敷設を計画、1900年(明治33年)に佐貫-竜ヶ崎間 4.5 kmの龍崎鉄道が開業する。

以降、社名や経営は複雑に変遷したが、全長4.5 kmのミニ路線は関東鉄道の1路線として
ずっと変わらず、この路線を保ち続けてきた。

そんな超個性派ローカル線を3年ぶりに訪問したのは3月17日のこと。

……  ……

そんな竜ヶ崎線、戦後しばらくまでは中間駅が3つあったが
入地駅を除いて廃止され、両終点を含めて3駅、全線単線、列車の行き違い設備は無く、
同じ列車が竜ヶ崎-佐貫間を単純往復するだけの超ミニ路線なのである。

国鉄との連絡貨物がなくなって久しく、他線と線路は繋がっておらず、
完全な“離れ小島”路線。車両はディーゼル動車3両だけが走る路線なのである。
キハ532号車とキハ2000形2両。常総線とよく似た車両でもあるが、
同線との車両の行き来は一切無く。

この日、乗車・撮影できたのはキハ2002号車「まいりゅう」号。

まずは、乗車時に撮影した「まいりゅう」号の車内写真を中心に、この路線の個性派ぶり
から、ご覧頂きたい。


2018年3月17日(土)晴れ

9時前に佐貫駅に到着して。ホームで発車を待っていたのはキハ2002号車。
「まいりゅう」号の愛称が付けられており、原則として日曜日の運用に充当されることに
なっている...とはいえ、3両の小所帯、日曜以外も定期運用に入っているはずだが。

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【2018年3月17日8時54分】 関東鉄道竜ヶ崎線・佐貫駅

その「まいりゅう」というのは、龍ケ崎市のマスコットキャラクター。
地元の伝統行事「撞舞(つくまい)」の“まい”と「龍ケ崎市」の“りゅう”。
龍をかたどったキャラクターで「ゆるキャラ・グランプリ」への
出場経験もあるとのこと。

しばらく前から竜ヶ崎線のキハ2002号車は「まいりゅう号」としてのラッピングが
施された状態で運用中。現在のデザインは2代目である。

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【2018年3月17日8時55分】 関東鉄道竜ヶ崎線・入地駅

でも、この車両で目立っているのは「まいりゅう」よりも、コチラ。
龍ケ崎市は、コロッケの町として町おこしを行っている。市内中心部の飲食店が
中心になって、さまざまなコロッケを販売しており、そのパンフレットなども
配布されている。

そう、この日、<変態鉄>が手にしていたのも...

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「竜鉄コロッケ ☆ フリーきっぷ」
地元では“関東鉄道竜ヶ崎線”という正式名称よりも“竜鉄”という呼び方の方が
一般的でもあって。そのわずか4.5 kmのミニ路線の1日フリーきっぷと、龍ケ崎市内の
店舗でのコロッケの割引券(150円分)がセットになって500円というおトクな切符。

ちなみに、コロッケを食べなかったとしても3回、1往復半乗車すれば“モトがとれる”
計算になるので、かなりお得感が強いのである。

ただ、佐貫駅の改札窓口では売っておらず、終点の竜ヶ崎駅の改札口で購入しないと...

この日の<変態鉄>がそうであったように、改札口で「フリーきっぷを...」と告げると
そのまま改札を通してくれて、竜ヶ崎駅まで無料で乗れるのである。

そして、キハ2002号車の車内へ。まず、目を引くのは吊革である。

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【2018年3月17日8時55分】 関東鉄道竜ヶ崎線・キハ2002号車内

ドア付近の吊革には俵型のコロッケが付いていて...(もちろん、食べられませんっ!!!)

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【2018年3月17日11時12分】 関東鉄道竜ヶ崎線・キハ2002号車内

そして座席前の吊革には小判型のコロッケがぶら下がっていて...

車内壁面に貼られているステッカーも“コロッケネタ”で埋め尽くされ。
もはや、「まいりゅう号」ではなく「コロッケ号」では無いかと思うくらい。

と、これだけでも超個性派ローカル線の列車だろうが...

<鉄>として注目しないといけないのは、この部分。

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【2018年3月17日12時31分】 関東鉄道竜ヶ崎線・竜ヶ崎駅

左のキハ532号車と右はキハ2001号車。ラッピングはされていないがキハ2002号車と
同じ形式である。注目すべきは、この車端部の窓配置。

左のキハ532号車は関鉄をはじめ、ごくフツーの鉄道車両の車端部である。
そう、車端は運転台なので乗務員室扉があるのがフツーの姿である。

そこが単なる窓になっているのが常総線の同系車との相違点。

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【2018年3月17日8時56分】 関東鉄道竜ヶ崎線・キハ2002号車内

この車両、他のローカル用ディーゼル動車と同様に半室運転台構造なので、扉の無い側、
窓だけの部分は単なる空間。自転車利用の積み込みスペース...というか、立客向けの
空間になっている。

でも...

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【2018年3月17日12時05分】 関東鉄道竜ヶ崎線・入地-佐貫

<速報版>でもご紹介した、お昼の入地駅近くで撮ったこの1枚。

ラッピングのせいで少し見づらくなっているが、でも、この写真では乗務員室扉が
確認できる。

では、2両で車体のつくりが違うの??

そうではない。

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【2018年3月17日12時26分】 関東鉄道竜ヶ崎線・キハ2002号車内

それが、この1枚。
竜ヶ崎線に乗った<鉄>なら、一度は撮りたくなるのはこの部分。

日本の鉄道車両は、基本的に進行方向左側に運転台がある。信号機も線路の左側に建植
されるのが原則になっている。そこが反対になっているのが1つの特徴。
でも、それなら仙台市営地下鉄など、運転操作上の都合で最初から右側運転台で設計
されている車両というのは少数ながら存在する。

でも...

この車両のスゴさは2枚上の写真。こちらは右側の車端部が空間になっていて。

そう、実は車両の前と後ろで運転台の位置が左右反転した位置に設置されている。
これこそ、このミニ路線らしい特徴。

佐貫、入地、竜ヶ崎とも1面1線式の駅。そのホームは竜ヶ崎ゆきの右側、佐貫ゆきの
左側にあたる。だから、反対側のドアは非常時以外には絶対に開くことが無いのである。

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【1997年3月頃】 山陽本線・和田岬駅

同じような例で思い浮かぶのは、JR和田岬線(本当は山陽本線の一部)だろうか。
兵庫-和田岬間は途中駅無し、兵庫駅も、いわゆるJR神戸線とは別の地平ホームの発着。
工場従業員専用線のような位置づけだった同線、分割民営化後も旧型客車、しかも60系
客車が運用されていたが、それが、90年代に入ってキハ35形に置き換えられた。

その和田岬線専用車だったキハ35系は片側3箇所の客扉のうち、
使わない側は2扉を閉鎖しノッペリした感じになっていた。

でも、竜鉄のキハは新製時から必要なかったにもかかわらず、そちら側にも扉は3箇所。

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【2018年3月17日8時59分】 関東鉄道竜ヶ崎線・キハ2002号車内

車内にはこの路線だからこそできる、何だか、いまとなっては懐かしい感じのする
表示器が備えられているのである。
(運転士さんによって使ったり使わなかったりするみたい...)

“準国鉄型”、国鉄キハ20系の廃車発生品に自社発注の新製車体を組み合わせて
作られたのがキハ532号車、そのお目当ての車両には出会えなかったが、でも、
これほどの個性車車両に出会っていたのである。

この列車で9時過ぎの竜ヶ崎へ。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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コメント 2

skekhtehuacso

幹線の主要駅と、幹線から外れた都市とを結ぶ短い私鉄。
かつてはたくさんあったと思うのですが、今となっては貴重な存在ですね。

あたしゃ来月の初めに、そんな私鉄がかつて敷かれていた秋田県の五城目へ酒集めに行く予定です。
廃線跡がわかれば嬉しいなと思っております。
by skekhtehuacso (2018-03-23 21:37) 

あるまーき

skekhtehuacsoさん

コメントありがとうございます。
確かにそうですね。龍ケ崎市周辺が東京のベッドタウンとして、
ほどよい規模の街として発展したことなども、良かったのかも
知れません。秋田中央交通線、保存車は10年ほど前に撤去されたようですが、沿線には途中駅ホームの擁壁などが残されている
箇所があるとか...。

収穫の多い旅になると良いですね。
レポートを拝見できるのを楽しみにしております。

by あるまーき (2018-03-23 23:15) 

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