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2017夏、中国地方へ(34)最初で最後の「レトロリレーバス」 [路線バスの旅]

15日は水島へ。水島臨海鉄道・倉敷貨物ターミナルで行われたイベント。
貸切の撮影会で何度かお邪魔したことはあったのだが、自分が知る限り、
貨物ターミナルでの、こういう公開イベントいうのは初めてだったのでは無かろうか。

でも、この話題を<詳細版>でご紹介できるのはいつになるだろうか。
まだまだ続く、9月3日の吉ヶ原の話題。

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【2017年9月3日15時46分】 岡山県美咲町・柵原ふれあい鉱山公園(吉ヶ原駅)

15時半に“臨時便”、これがこの日最後の展示運転。最後は<乗り鉄>。
帰路に就く人たちが目立ち始め、静けさを取り戻しつつあったキハ702の走りを
楽しんだ後は、バスで津山駅に向かうのだが...

……  ……

2017年9月3日(日)曇りのち晴れ

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15時頃までに窓口で整理券を受け取っておいたのだった。
ぬぁんと...、この日は“満員札止め”状態。

でも、帰りのバスの切符を手に入れたからには、その発車時刻、16:00までは
楽しめる訳で。

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【2017年9月3日15時31分】 岡山県美咲町・柵原ふれあい鉱山公園(黄福柵原駅)

板張りのキハの床を照らす夕方の陽の光...、何だか学生時代を思い出すような(謎)。
黄福柵原駅まで1往復の<乗り鉄>を楽しんで戻ってくると...

ホームではキハの入庫作業が始まるが、大勢の見学客が集まったのは“駅前広場”。

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【2017年9月3日15時44分】 岡山県美咲町・柵原ふれあい鉱山公園前

半年間にわたる美咲町や津山市など沿線自治体により実施された社会実験として
運転されたのが「レトロリレーバス」。津山市の“津山まなびの鉄道館”と
この“柵原ふれあい鉱山公園”を結ぶ直行の路線バスとして運転された。
9月3日はその最終日、16時ちょうどに折返す津山ゆきが、その最終便だった。

このレトロリレーバス。

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【2017年9月3日15時41分】 岡山県美咲町・柵原ふれあい鉱山公園前
(※ 許可を得て撮影しています)

津山にある美作大学がその運行に関わっているとのこと。
大学の先生と思しき方が、カメラをもって同乗しており。

放送サークルの学生さん2名が“車掌役”として乗務、吉ヶ原から津山まで
沿線案内のアナウンスをしながらの運転である。
発車前、お姉さんたちにお願いしてバスの前で記念撮影。

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【2017年9月3日15時44分】 岡山県美咲町・柵原ふれあい鉱山公園前

春から始まったこの社会実験、土曜・日曜に各3往復。
備中高梁で運転されている備北バスのボンネット車、そのほか、両備、中鉄。
岡山県下のバス事業者が交互に珍しい車を出し合う形で運転されたのだが、
その最後を飾ることになったのは、津山(スポーツセンター)-吉ヶ原-高下
という路線バスを毎日運転している、中鉄北部バス。まさに地元のバスである。

充当されていた車両は、1988年(昭和63年)製の日野レインボーRJ。
2扉の典型的な路線車なのだが...

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【2017年9月3日16時35分】 岡山県津山市・津山まなびの鉄道館前

津山を中心に岡山県北部に路線をもつ中鉄北部バスの最古参車。
今年度中に引退することが決まっているとのことで、ドア上の方向幕など。
ちょっとレトロ感があって。片鉄の車内に残る沿線案内図を見ても、吉ヶ原駅に
「津山方面バス乗換」と書かれており。片鉄が走っていた当時、この吉ヶ原駅前の
いまバスが停まっている付近に中鉄バスの営業所があったとのこと。

さてさて、16時。バスは一気に満席に。

2人掛けクロスシートが並ぶ典型的な地方の路線バス。でも...
家族連れは基本的にマイカーで来ている人が多く、バスと列車を乗り継いで
帰るのは大半が<鉄>。つまり...、自分のようなイケメンのお兄さんもいるには
いるのだが、大半はお腹の出たオッサン(← 失礼っ!!)。

路線バスの狭い2人掛けシートに定員いっぱいのオッサンたち。
車内が狭く感じられる状況で。

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【2017年9月3日16時01分】 中鉄北部バス「レトロリレーバス」車内

さて、半年間の運転、その最終日。吉ヶ原を出発すると慣れた感じで
時折、ぶっちゃけ話も入れながらのアナウンス。

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【2017年9月3日16時04分】 中鉄北部バス「レトロリレーバス」車内

バスの経路にも寄り添っている吉井川の舟運、高瀬舟の話題から片上鉄道が
敷設され、硫化鉄鉱の産出で吉ヶ原が賑わうようになったこと。

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【2017年9月3日16時06分】 中鉄北部バス「レトロリレーバス」車内

いまではリサイクル事業が中心になっている柵原鉱山の今の姿と過去の華やかな
時代の話とか...

“同和鉱業”という社名、損害保険大手の“同和”と同じ由来なのだとこのバスでの
話を聞いて初めて知ったのだった。
柵原で産出した硫化鉄鉱は九州で「硫安」にされ、農業用肥料として活用された。
その全盛期には柵原-吉ヶ原間の線路沿いに400件余りの飲食店が建ち並び、
3交替24時間稼働だったとのこと。

地下の坑道に入って硫化鉄鉱を含む石を集めて地上に運び、ダイナマイトで
発破を仕掛けて坑道を出て...

その爆発が終わったら、次のグループが。そんな交替勤務だったという。
ただ、高度経済成長期以降、硫化鉄鉱の需要は激減する。石油精製の際の“脱硫”
の行程で“副産物”として硫黄分が大量に発生することになり、わざわざ
硫化鉄鉱を採掘する必要性が薄れたからである。

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【2017年9月3日16時29分】 中鉄北部バス「レトロリレーバス」車内

20分ほどで津山の市街地に入ってきた。
津山の名物の話題など、いろいろと聞いていたらあっという間。

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【2017年9月3日16時46分】 岡山県津山市大谷・津山まなびの鉄道館前

自分としては津山駅前で降りられたら嬉しかったのだが、駅前ロータリーを
見ながら、そのまま素通り。徒歩だと10分くらいの“津山まなびの鉄道館前”へ。
普段、ここに発着する路線バスは無い。このバス停ポールもこの日まで。

マイカーの普及や人口の減少など、さまざまな理由で、全国どこでも中山間部の
公共交通機関、例えば路線バスなどは“壊滅的”といえる状況にある。

朝、高校生の通学時間に合わせて1便、あとは午後と夕方に。「学休日運休」とか
もはや“公共交通”とは言えない惨状。岡山県北もそんな状況には変わりなく、
それでは地域の活性化も難しい訳で。
公共交通を活かした地域の活性化、ということで「鉄道」というテーマに着目し
津山市と美咲町など自治体が主体になって試験運行を行ったとのこと。

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【2017年9月3日16時39分】 岡山県津山市大谷・津山まなびの鉄道館前

最終日と言うこともあって、その自治体関係者もバスに同乗していた。
すでに閉館時間を回っていたのだが、まなびの鉄道館の関係者もいらっしゃって
バスの前では、ささやかな「おわかれイベント」が。
関係者に花束が贈呈されて、バスの前で記念撮影。

乗客もほとんど帰らず、最後は盛大な拍手で。
さて、津山駅に戻らないと。(つづく)

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