路面電車のダイヤモンドクロスを見る旅（２４）オデオン座

　　あぁ、けっこう毛だらけ、ネコ灰だらけ、お尻の周りはクソだらけ!!

柴又を舞台にした、あの国民的名作。その主役、フーテンの寅さんの名セリフである。
もちろん、その役を演じたのは渥美清。＜変態鉄＞は映画館で見たことはないが、
TV地上波でも何度も放送された。そのときに視ているのである。
マドンナたちとの...結末は半ば分かっていても、でも、見入ってしまう映画だった。

そのメガホンをとったのは、もちろん、山田洋次監督。余談だが、山田監督、
横綱審議委員だったこともあるが、実は＜鉄＞らしいというのも有名な話である。　　


【2016年3月3日13時18分】　徳島県美馬市脇町

さて、冒頭にこんな話を書いたのに今日の話題はこの小さな映画館、というか劇場。
なぜ、こんな出だしなのかといえば...


【2016年3月3日13時22分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

さて、「寅さん」シリーズは、1996年、渥美清の死去によりシリーズは終了する。
それを受けて急遽作られたのが、古い映画館を舞台にした映画。主演は西田敏行、
「寅さん」の映像を組込んで作られたその映画のタイトルは「虹をつかむ男」（第1作）。
その舞台となったのが、脇町の「オデオン座」だった。

……　　……

2016年3月3日（木）晴れ

脇町の「うだつの町並み」の終端部にあたる位置、吉野川にそそぐ小さな流れが大谷川、
それに面して建つ映画館というか芝居小屋が「オデオン座」。

1934年（昭和9年）に芝居小屋として建設されたという。
歌舞伎や浪曲などが演じられたが、その後、時代の流れに乗って...ということか
映画館へと改装される。

だが、レジャーの多様化などによる映画自体の斜陽化、さらに施設の老朽化もあり、
1995年「オデオン座」は閉館されることになる。

たぶん、そのままなら取り壊されるだけだったのだろうが、それが冒頭の話。
ロケ地としてここが選ばれたことがキッカケとなって、修復・保存へと動き出した。



玄関はいかにも映画館と行った感じ。入口付近には半円形の窓。
かつての切符を売っていた窓口だったことがよくわかる。入口を開け200円の入場券。
靴を脱いで中へ。

自分以外見学者はいなかったようで、ゆっくりと写真を撮ることができた。
とはいえ、もともと小さな町の芝居小屋。
お世辞にも広いとは言えない館内である。


【2016年3月3日13時21分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

まずは入ったところで。小さな芝居小屋とはいえ下手にはちゃんと花道。


【2016年3月3日13時28分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

という訳で舞台に上がって下手の舞台袖から見た花道の様子。
歌舞伎では三味線やお囃子の人たちの目線に近い。


【2016年3月3日13時25分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

もちろん、2階席にも上がることができた。
客席の後ろに見えるのは、映画館時代の映写室にあたるスペースだろうか。

壁には映画のポスターや、その作品のロケでのことなどが貼られていた。
もちろん、「虹をつかむ男」の話題が中心。

最後に...


【2016年3月3日13時27分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

楽屋は「使用中」の札がかかっていて見学することができなかったが、
奈落には入ることができた。


【2016年3月3日13時29分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

急な階段を下りると腰をかがめないと通れないような狭い通路が続いていた。


【2016年3月3日13時30分】　徳島県美馬市脇町（オデオン座）

もちろん、ただ見るだけ。舞台装置には触ることができないが、
それでも“奈落の底”を体験したのである。

さて、駅まで歩けば2キロ以上はある。次のローカル列車でも夕方運用のキハには
十分間に合うのだが、やはり、「バースデーきっぷ」を使っているのだから、
特急「剣山」に乗りたい。そう、ギリギリで“国鉄型”のキハ185系運用。

オデオン座の隣、県道に面した商業施設で客待ち中だったタクシーに。
歩くと遠くてもクルマに乗ればあっという間。余裕を持って穴吹駅へ。


【2016年3月3日13時54分】　徳島線・穴吹駅

穴吹駅 14:06発、特急「剣山8号」でキハのエンジン音を楽しみながら、
40分で徳島駅へ。＜車内放送マニア＞として残念だったのは特急列車にもかかわらず、
終点徳島駅到着を告げる放送にチャイムを流してくれなかったことくらい。

でも...　（つづく）

（※）撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

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