思い出の、真紅の「馬面電車」のお話。 [スカーレットのトラムたち[名鉄岐阜線]]
東北を訪れた話題が続いていましたが、今日は1回お休み。
【2014年6月25日8時40分】 岩手県花巻市・材木町公園
花巻の町の片隅で余生を送る「馬面電車」の話題をご紹介しましたが、
今日は、自分にとって<撮り鉄>の“原点”ともなった
いまはなき、あの路線。そこで最後の活躍をしていた「馬面電車」の話題を。
花巻を訪れたときのことを<速報版>でお伝えしたときのこと、
いつも、お読みいただいているskekhtehuacsoさんから、コメントを頂戴した。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
「確かに!!」、名鉄美濃町線のモ600型。
同線の全線廃止を目前に控え、美濃町線近代化のために颯爽とデビューした当時の
白帯仕様に復元された同車を撮っていたネガを探したわけでした。
…… ……
<変態鉄>の原点とも言えるのは、この街。
【1991年9月16日】 岐阜県岐阜市・正法寺
こんな立派な大仏様がいらっしゃる街。
【1991年12月31日】 岐阜県岐阜市・早田付近??
そして、鵜飼で有名なこの流れ、長良川のほとり。
父が単身赴任で岐阜に居たのは1991年から92年春にかけてのこと。
その1年間の住まいは、岐阜駅を背に金華橋通りを直進、当時は健在だった市営バスの
“市民会館裁判所前”が最寄り停留所だった。美江寺観音のすぐ近く。
生まれながらの<鉄>だった自分、「会いに行く」とかテキトーなことを言っては、
毎月のごとく、新幹線「ひかり」に乗って岐阜に向かったのだ。
散歩では、よく長良川の付近まで行った。ちなみに上の写真、中学生時代の<変態鉄>。
青いデニムの上下、スラリとしたカッコ良い少年である。
隣に居る、しょぼいヤツが1つ上の兄である。いろいろあって、10年近く音信不通。
さて、その<変態ガキ鉄>を夢中にしたのは、その岐阜の街を走っていた
真紅の路面電車、名鉄岐阜市内線・美濃町線であった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・金園町9丁目電停付近??
特に、岐阜最大の繁華街、柳ヶ瀬の少し南、徹明町の交差点から梅林公園の前を通って東へ、
市街地を離れて、刀鍛冶で知られた関、和紙と卯建の街並みで有名な美濃を結ぶ
美濃町線は、路面電車が都市間高速私鉄への鉄道発達史を物語るような路線だった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・北一色-野一色
岐阜市街地を外れると専用軌道に入って住宅街を通り、
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・上芥見-白金
やがて、田畑のひろがる中をゆく細い道の片隅を走るようになる。
そんな何とも言えない趣のある路線だった。
この鉄道情景に魅せられた中学生のガキこそが20年前の<変態鉄>だったのである。
…… ……
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
時は流れ2005年。<変態鉄>が岐阜に行く機会もなくなってはいたが...
21世紀に入って間もなく、とうとう岐阜の町から路面電車が全廃となることが
発表された。数年前に美濃町線、岐阜市内・揖斐線にもまとまった数の新車を投入、
近代化を進めていたはずだったのだが、この発表に<変態鉄>は落ち込んだ。
でも、「一度でも多くの撮影機会を...」と2004年頃からは休みになると
早朝の新幹線で岐阜に駆けつけるのだった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
行き交う電車は新型車が多くなっていたが、街並みはあまり変わっていなかった。
この競輪場前電停も。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
でも、電停看板の下には廃止の告知の貼り紙。これを見ることで、知っていたとは言え
やはりショックだった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
さて、単線の美濃町線、その競輪場前電停で上下電車が交換する。
この停車中の電車を電停南側から撮ると...、小さくて、お気づきだろうか??
金華山の頂上にある岐阜城が写り込んだのである。岐阜のトラムを撮るときの
定番の撮影ポイントだった。
廃止を控えて、登場当時の白帯塗色に復元されたモ600形の姿。
この電車が馬面になったのは、徹明町交差点を通過できるようにするため。
ただ、この車両が徹明町に入ることは滅多になかった。
さらに、メルサの前のあの急カーブを走ったことは実際には何度あったのだろう??
徹明町が起点だった同線(最後まで書類上の起点は徹明町だったはずだが...)、
昭和40年台の車庫移転に伴い、新設されたのが、あのお城バックの撮影ができた区間。
岐阜市の中心部に入らずに南下、岐阜から犬山に至る名鉄各務原線に合流、
1駅間1.5 kmほどだが、あのパノラマカーと同じ線路を走って鉄道線の新岐阜駅に
発着するようになったのが昭和45年(1970年)。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
でも、路面電車(600V)と鉄道線(1500V)では架線電圧も違えば、車両のサイズも
全然違う。小さな路面電車規格の車両に600Vと1500Vの両方に対応できる機器を
搭載しなければならない...、城下町から発展した岐阜の市街地、狭い街路に急カーブ、
そこを走れるサイズの電車でなければならない。
数々の技術的な課題を克服して誕生したのが、この真紅の馬面電車だった。
この電車の開発に、まさに命をかけた技術者の話など、エピソードも多い車両だが...
床下だけでは機器の搭載スペースが足りず、抵抗器を屋根上に取り付けるなど、
苦しい設計だった。これが冷房化を不可能にし、全廃を待たずに廃車が進むことに
なったのだが...
…… ……
廃線からもうすぐ10年、自分のこの趣味の原点でもある路線だけに、ついつい、
普段以上に語ってしまったが、最後は、ずっと撮りたくて、廃線秒読みの時期に
ようやく撮れたシーンを。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
やはり、普段走らない区間での走行シーンは...
マニアとして興奮せずには居られないのだった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
モ570形の工場入場シーン、市内線(新岐阜駅前-忠節)の運用だけだった同車、
検査時だけは、美濃町線を通り市ノ坪の工場に回送されていた。
…… ……
線路際で見つけた、この看板。運転士さんへの注意喚起の標識だが...
こんなネタで一世を風靡した(?)、芸人さんがいたような...。懐かしい。
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【2014年6月25日8時40分】 岩手県花巻市・材木町公園
花巻の町の片隅で余生を送る「馬面電車」の話題をご紹介しましたが、
今日は、自分にとって<撮り鉄>の“原点”ともなった
いまはなき、あの路線。そこで最後の活躍をしていた「馬面電車」の話題を。
花巻を訪れたときのことを<速報版>でお伝えしたときのこと、
いつも、お読みいただいているskekhtehuacsoさんから、コメントを頂戴した。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
「確かに!!」、名鉄美濃町線のモ600型。
同線の全線廃止を目前に控え、美濃町線近代化のために颯爽とデビューした当時の
白帯仕様に復元された同車を撮っていたネガを探したわけでした。
…… ……
<変態鉄>の原点とも言えるのは、この街。
【1991年9月16日】 岐阜県岐阜市・正法寺
こんな立派な大仏様がいらっしゃる街。
【1991年12月31日】 岐阜県岐阜市・早田付近??
そして、鵜飼で有名なこの流れ、長良川のほとり。
父が単身赴任で岐阜に居たのは1991年から92年春にかけてのこと。
その1年間の住まいは、岐阜駅を背に金華橋通りを直進、当時は健在だった市営バスの
“市民会館裁判所前”が最寄り停留所だった。美江寺観音のすぐ近く。
生まれながらの<鉄>だった自分、「会いに行く」とかテキトーなことを言っては、
毎月のごとく、新幹線「ひかり」に乗って岐阜に向かったのだ。
散歩では、よく長良川の付近まで行った。ちなみに上の写真、中学生時代の<変態鉄>。
青いデニムの上下、スラリとしたカッコ良い少年である。
隣に居る、しょぼいヤツが1つ上の兄である。いろいろあって、10年近く音信不通。
さて、その<変態ガキ鉄>を夢中にしたのは、その岐阜の街を走っていた
真紅の路面電車、名鉄岐阜市内線・美濃町線であった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・金園町9丁目電停付近??
特に、岐阜最大の繁華街、柳ヶ瀬の少し南、徹明町の交差点から梅林公園の前を通って東へ、
市街地を離れて、刀鍛冶で知られた関、和紙と卯建の街並みで有名な美濃を結ぶ
美濃町線は、路面電車が都市間高速私鉄への鉄道発達史を物語るような路線だった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・北一色-野一色
岐阜市街地を外れると専用軌道に入って住宅街を通り、
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・上芥見-白金
やがて、田畑のひろがる中をゆく細い道の片隅を走るようになる。
そんな何とも言えない趣のある路線だった。
この鉄道情景に魅せられた中学生のガキこそが20年前の<変態鉄>だったのである。
…… ……
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
時は流れ2005年。<変態鉄>が岐阜に行く機会もなくなってはいたが...
21世紀に入って間もなく、とうとう岐阜の町から路面電車が全廃となることが
発表された。数年前に美濃町線、岐阜市内・揖斐線にもまとまった数の新車を投入、
近代化を進めていたはずだったのだが、この発表に<変態鉄>は落ち込んだ。
でも、「一度でも多くの撮影機会を...」と2004年頃からは休みになると
早朝の新幹線で岐阜に駆けつけるのだった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
行き交う電車は新型車が多くなっていたが、街並みはあまり変わっていなかった。
この競輪場前電停も。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
でも、電停看板の下には廃止の告知の貼り紙。これを見ることで、知っていたとは言え
やはりショックだった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
さて、単線の美濃町線、その競輪場前電停で上下電車が交換する。
この停車中の電車を電停南側から撮ると...、小さくて、お気づきだろうか??
金華山の頂上にある岐阜城が写り込んだのである。岐阜のトラムを撮るときの
定番の撮影ポイントだった。
廃止を控えて、登場当時の白帯塗色に復元されたモ600形の姿。
この電車が馬面になったのは、徹明町交差点を通過できるようにするため。
ただ、この車両が徹明町に入ることは滅多になかった。
さらに、メルサの前のあの急カーブを走ったことは実際には何度あったのだろう??
徹明町が起点だった同線(最後まで書類上の起点は徹明町だったはずだが...)、
昭和40年台の車庫移転に伴い、新設されたのが、あのお城バックの撮影ができた区間。
岐阜市の中心部に入らずに南下、岐阜から犬山に至る名鉄各務原線に合流、
1駅間1.5 kmほどだが、あのパノラマカーと同じ線路を走って鉄道線の新岐阜駅に
発着するようになったのが昭和45年(1970年)。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
でも、路面電車(600V)と鉄道線(1500V)では架線電圧も違えば、車両のサイズも
全然違う。小さな路面電車規格の車両に600Vと1500Vの両方に対応できる機器を
搭載しなければならない...、城下町から発展した岐阜の市街地、狭い街路に急カーブ、
そこを走れるサイズの電車でなければならない。
数々の技術的な課題を克服して誕生したのが、この真紅の馬面電車だった。
この電車の開発に、まさに命をかけた技術者の話など、エピソードも多い車両だが...
床下だけでは機器の搭載スペースが足りず、抵抗器を屋根上に取り付けるなど、
苦しい設計だった。これが冷房化を不可能にし、全廃を待たずに廃車が進むことに
なったのだが...
…… ……
廃線からもうすぐ10年、自分のこの趣味の原点でもある路線だけに、ついつい、
普段以上に語ってしまったが、最後は、ずっと撮りたくて、廃線秒読みの時期に
ようやく撮れたシーンを。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
やはり、普段走らない区間での走行シーンは...
マニアとして興奮せずには居られないのだった。
【2005年3月頃】 名鉄美濃町線・競輪場前電停
モ570形の工場入場シーン、市内線(新岐阜駅前-忠節)の運用だけだった同車、
検査時だけは、美濃町線を通り市ノ坪の工場に回送されていた。
…… ……
線路際で見つけた、この看板。運転士さんへの注意喚起の標識だが...
こんなネタで一世を風靡した(?)、芸人さんがいたような...。懐かしい。
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ご紹介いただきありがとうございます。
かご大仏、久しぶりに拝ませていただきました。
by skekhtehuacso (2014-07-15 23:35)
skekhtehuacsoさん
コメントありがとうございます。
大した写真は残せていませんが、当時は、いまよりもどんな被写体に対しても、もっと真剣にカメラを向けていたような...
思い出深い電車だけに、いろいろと語りすぎてしまいましたが、岐阜の、真紅の路面電車の写真はまだまだ尽きることはありませんので、そのうち、続編を書きたいと思います。
by あるまーき (2014-07-16 00:09)
過去の記録はとても興味深く面白いですねd(>_・ )グッ!
*1週間程前の記事へのコメントで、あるまーきさんを
呼び捨てにしていましたね。大変失礼しましたm(_ _)m
by johncomeback (2014-07-16 05:47)
johncomebackさん
コメントありがとうございます。
昔の、と言っても20年ほど前の話題ですが、撮影した写真を見ていると、不思議と色々なことが思い出されてくるものです。
今の方が撮影機会も増えましたし、いろいろな知識も増えましたが...
撮影したときの記憶がごちゃ混ぜになるのは...
コメントの件、どうか、お気になさらないで下さい。
by あるまーき (2014-07-16 08:47)