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神奈川県に“市電”を巡る(8)保存館各車紹介 第6回 1510号車 [保存車・廃線跡]

今日は、更新が遅れております。まぁ、どうでも良いのですが、
とりあえず、申し訳ありません。

実はいま、自分は不安の中、この記事を書いているのです。
何をそんなに恐れているのか...

「水曜日は台風の日」と決まっているかの如く、毎週のように週の半ばになると
関東地方に台風が接近する。これで、明日・明後日の仕事の日程が繰り下がると...

……  ……

28日からの「福井鉄道で200型を撮りまくる」に行けなくなる。
何と言ってもそれが...、ここで休みがなくなったら、2日を超える連休らしい連休は
年明けまでなかったような気がする。
とにかく、明日の仕事がスケジュール通りいくことを願う限り。でもなぁ...

さて、1回お休みをいただいた横浜市電保存館の話題、各車紹介も今日を入れて
あと2両分を残すのみ。今日は「チンチン電車の決定版」と称された1500型。
実は、この形式、拙ブログ登場は2回目。覚えています!?

そう、野毛山動物園の片隅で雨に濡れていたのも、この1500型(→ こちら)。

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【2013年10月2日12時00分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 28.0 mm 露出 F4.5 1/50秒 +1/3段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

車体長12メートルの中型車。
戦後、横浜でも市電の乗客サービス改善と車両性能の向上のため、新しい車両の研究が
行われた。その成果を反映し、1951年(昭和26年)に30両導入されたのがこの1500型。

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【2013年10月2日12時03分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 35.0 mm 露出 F3.5 1/25秒 +1段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

前面に後退角を付けた流線形の車体、大型ガラスを採用した前面、
外観もさることながら、防振ゴムを使った新型台車、電空併用のブレーキ、
間接制御の採用などの“意欲作”だった。
(1500型も、後年、直接制御に改造されている)

ちなみに「間接制御」とは...、メカに弱い<変態鉄>によるインチキ解説をば。

昨日までにご紹介した車内が木製の戦前からの路面電車は「直接制御」。
運転台に鎮座するマスコン(主幹制御器)、あれのカバーを外すと、
中には金属製のブロック状になったスイッチが入っている。

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【2013年6月14日11時04分】 栃木県宇都宮市・三和テッキ鉄道広場(都電175号車内)
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 28.0 mm 露出 F5.6 1/100秒 ISO1600
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

写真は、栃木県内の企業で保存されている都電の旧型車で、実際にカバーを
外して見せてもらったときのもの。

運転士さんがハンドルを回す度に、中でその金属のブロックが回転し、
噛み合わせが変わる。これによって、台車に付いたモーターに流す電流を切り替える。
しかし、それだけのものを直に回すので、ハンドルは重たい、しかも、
この中には架線から取り入れた直流600ボルトがそのまま流れており、絶縁処理も難しい、
さらに、2両以上の連結運転が行えないという致命的欠点があった。
(逆に構造が単純なので、連結運転が不要な路面電車ではいまでも根強く残っている)

これに対して、ハンドルは同じ形でも切替制御用の信号だけを制御し、
それによって、離れた位置の制御装置を遠隔操作し、モーターに流す電流を切り替えるのが
間接制御。この当時の路面電車では“最新のシステム”だった。

03_0Y6C2365.JPG
【2013年10月2日12時01分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 50.0 mm 露出 F4.0 1/20秒 +1/3段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

さて、話は再び1510号車。早速、車内も見学してみた。

04_0Y6C2366.JPG
【2013年10月2日12時01分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 40.0 mm 露出 F4.0 1/20秒 +1/3段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

床は板張りながら、室内灯は蛍光灯になり、座席の袖仕切りもお馴染みのパイプ。
一気に近代的な車内設備となった。
窓柱に小さく写っているのは、ワンマン化時に取り付けられた降車ブザー。

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【2013年10月2日12時02分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F4.5 1/40秒 +1/3段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

ワンマン化されているということは、つまり、運転台後ろのドア付近に運賃箱。
懐かしいタイプがここにも健在。ちなみに運賃箱には赤で「\20」。

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【2013年10月2日12時41分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 50.0 mm 露出 F5.6 1/80秒 ISO800
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

前面には胃腸薬の広告付きの「10」系統が表示されていたが、
交換用のものが車内に準備されているのは、当時の姿を再現しているのだろうか。

07_0Y6C2370.JPG
【2013年10月2日12時02分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F4.5 1/6秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

運転台横に「補 滝頭車庫」の系統板。こちらは週刊誌の広告。
横浜市電には「補」系統が多かったみたいで(← う~ん、シロウト発言)、
古い写真を見ても「補」の系統板を掲げて走っている姿は数多く残されている。

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【2013年10月2日12時02分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 50.0 mm 露出 F4.0 1/20秒 +1/3段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

運転台背後には終車時刻表。欠番ありの13系統まで各系統の初・終発時刻が
一覧表になっている。概ね、朝は5時台、夜は23時頃まで。
当時から、横浜が大都市だったことを物語っている。

……  ……

このシリーズ恒例となった広告紹介。

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【2013年10月2日12時38分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 70.0 mm 露出 F5.0 1/40秒 +2/3段補正 ISO800
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車外、ドア横の広告枠には、まず「百万石のビール」。ここは金沢か??
キリンビール横浜工場完成ということらしい。「3億本=100万石」って!?

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【2013年10月2日12時39分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F4.5 1/50秒 +2/3段補正 ISO800
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そして、こちらは「実物」だろうか。周囲に錆が浮いたあたりが、よりリアル。
宝くじの広告と言えば、「ハートの銀行」。
このオレンジ色に白のハートのマークの時代から、自分にとってのメインバンク。
テレビドラマと違って(?)、金融庁検査に引っかかって問題噴出の、世間を騒がしている
あの「み※ほ」の前身である。(← そんなこと、言わなくても良い!!)

そんな「反社会勢力」に融資していた金融機関の話題はさておき...

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【1993年5月】 横浜市磯子区・横浜市電保存館 

<変態鉄>として、疑問だったのはこの車両の塗色。
20年前の訪問時には、他車とも野毛山のものとも同じクリーム色に青帯の
最末期の標準色。それが、見たことのない“コーヒーブラウン”。

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【2013年10月2日12時37分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 35.0 mm 露出 F5.0 1/60秒 +2/3段補正 ISO800
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

どうやら、1601号車の紺色の塗装と同じ塗り分け線に見えるが...
やはり、帰り際に館長さんに質問をぶつけてみたところ、

滝頭工場内で塗装試験として、1100型にこの塗り分けをしたことがあったとのこと。
2両程度を試験的に塗ってみただけで、実際にこの塗色で営業運転に出た車両は
居なかったらしい。

ここからは、自分の推測だが...

1600型が纏っている紺色とクリームのツートンカラー、
これを選定するときの候補の1つだったのか、この塗色ということだろうか。
実際に塗り分け線もほとんど同じである。

ということで、この1500型の塗色は「実在しなかった姿」となるのだが...

子ども連れが多く訪れる保存館、自分のような<変態鉄>以外のフツーの人には、
同じようなクリーム色に青帯ばかりが並んでいるより、色とりどりの方が楽しめる...
ということだろうか。

13_0Y6C2387.JPG
【2013年10月2日12時06分】 横浜市磯子区・横浜市電保存館
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 28.0 mm 露出 F5.0 1/60秒 +1段補正 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート

リアルな姿を追求するだけでは“面白み”に欠ける。でも、現役時代と全く異なる
珍妙な姿での保存もイヤ。「車両保存」というのも難しいものだと感じた。


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コメント 4

いっぷく

運転席の窓が開くのですか
市電でも2つ窓なんですね
これも湘南顔?
by いっぷく (2013-10-16 02:21) 

あるまーき

いっぷくさん

コメントありがとうございます。
湘南顔の「火付け役」というか、元祖となったのは国鉄の80系、前面2枚窓の前面をもつ車両の登場と、この1500型が導入されたのがほぼ同時期なので、その「湘南電車」を意識した設計だったとは考えにくいと思います。
むしろ、米国の(当時の)新世代路面電車(PCC車)というのがあったのですが、間接制御などの機構も含めて、こちらの方が設計陣の意識の中にはあったのかも知れません。
当然、冷房はありませんから窓が大きい車両の場合、特に運転士さんは、夏の運転が大変だったのかも知れません。この世代の路面電車だとここの部分を開けている写真はよく見かけます。
by あるまーき (2013-10-16 08:49) 

通りすがり

コーヒーブラウンは1150型で実際にあったそうですよ
試験塗装でごく一時期しか走ってなかったとか
形が似てる1500型で再現してみたとのことです
by 通りすがり (2013-10-18 07:08) 

あるまーき

ご指摘ありがとうございます。

本文中で触れた内容ですが、立ち話程度に聞いた内容であり、自分も横浜市電に関して、それほどの知識がある訳がないため、勘違いや聞き間違い等もあろうかと思います。次回、訪問する機会があれば確認したいと思います。

なお、ご指摘には大変感謝しておりますが、誠に恐れ入りますが、「迷惑投稿防止」の観点から、いわゆる「捨てHN」と呼ばれる名前での投稿はお断りしております。
ただ、「試験塗装」「2両だけ」など、当日伺った内容と符合する箇所があることなどを考慮し、貴重なご指摘として、特例的にこのまま残したいと思います。

記事の内容には可能な限り、確認をとりながら書くようにはしておりますが、個人ブログの範囲では限界も多く、結果的には、認識が甘かったり、正確さを欠く記述など、至らぬ点も多々あろうかと思います。今後ともお気づきの点がありましたら、ご指摘をいただけますよう、よろしくお願いします。
by あるまーき (2013-10-18 08:28) 

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