32. 小さな、かつての終着駅(立山線・千垣駅)<後編> [探訪!! ちてつ百景]
いま、このブログを更新していること自体、“現実逃避”以外の何物でもない。
「仕事が忙しいの??」
そうではない。今夜、寝る場所がないのである。
明日まで自分は、珍しく15時上がり(← 朝が早いんです)の勤務シフト。
新宿の職場を出て、京王線新宿駅まではいつも通り。雨が降りそうな空だったが...
「14:54頃、京王線は落雷に伴う停電で運転見合せ」
中央線への振替輸送で帰途についた所までは良かった。
むしろラッキー。休日快速だと吉祥寺までは、新宿から中野、荻窪で3駅目。
京王線経由より早く帰れる。
でも、中央線の、あのE233系電車の硬いイスに座って、フト思った。
東京都の西部で“雷を伴う激しい雨”ということは...
早朝、自室の窓を全開にして職場に向かった自分...
…… ……
時すでに遅し。
なぜか机の上に広げていた一昨年に岐阜を訪れたときの旅行資料も、
改造中のキハ47気動車(ただし実物の1/150(笑))も、すでに水没していた。
それだけではない。寝室兼ホビールーム(笑)は、床も机もベッドも水浸し。
とりあえず雑巾で拭いて...、リビングに移動し冷房をかけて、パソコンに向かっている。
予備の布団もないし、今夜どうやって寝るかをこれから考えないと...、嗚呼。
では、今日の話題。昨日に続いて立山線の千垣駅をご紹介したい。
【2012年10月8日9時02分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 50.0 mm 露出 F11.0 1/320秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WB太陽光
ホントに常願寺川の急流と立山へ抜ける観光バスが頻繁に行き交う県道、
その間のホンのわずかな空間にへばりつくように佇む、この静かな駅は、
<地鉄マニア>の自分にとって、数ある富山地鉄の駅の中でも特にお気に入りの駅。
【2013年6月26日10時41分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 11.6 mm 露出 F4.5 1/500秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
昨日の記事の再掲となる、この1枚と...
【2013年6月26日10時39分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 15.0 mm 露出 F4.5 1/250秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
この貼り紙が、この駅の歴史を静かに物語っていた。
…… ……
今日は、この小さな駅の歴史と、<変態鉄>の大発見をご紹介したい。
長らく信仰の山として、畏敬の念をもって受け止められてきた立山連峰。
富山から、その立山を目指し、鉄道が敷設されたのは大正時代。
現在、富山地方鉄道を形作っている路線は、さまざまな中小私鉄が敷設した路線の集合体。
この千垣まで線路が敷かれたのは1923年(大正12年)4月のこと。
現在の南富山から、岩峅寺を経て横江(→ 上横江・廃止)まで開業していた
富山県営鉄道が1駅延伸され、この駅が終着駅となった。
【2012年10月8日9時42分】 富山地鉄立山線・千垣-有峰口
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 70.0 mm 露出 F7.1 1/640秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光
詳しい経緯は不明だが、それでも当時の土木技術からして、ローカル鉄道にとって
この架橋は困難を伴う大事業だったであろうこと、
だから、常願寺川を渡るすぐ手前のこの地に、さらなる延伸の前線基地を兼ねて
終着駅が置かれたこと、それらは容易に察しが付く。
この開業で、立山に対する人々の認識は、徐々に「信仰の対象」「修行の場」から
「レジャー登山の対象」へと変わっていったみたい。
14年後、1937年(昭和12年)10月には粟巣野(本宮-立山間、廃駅)まで延伸され、
立山へのアクセスはさらに利便性を増し、戦後に千寿ヶ原(後の立山)まで
再度延伸され、現在の地鉄立山線が全線開業するとともに、後の「アルペンルート」の
拠点となるのだった。
だから、冒頭の写真、現在のホームの向かい側(常願寺川サイド)に草むした
ホームの廃墟が見えるのも、この駅が14年間とはいえ、ターミナル駅だった
この駅が栄えていた、その名残でもあるのだ。
(本当は、行き違い設備を有峰口と横江に統合したため向かいのホームを廃止??)
【2012年10月8日9時00分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F7.1 1/160秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WB太陽光
でも、いまでは、本当に静かな無人駅。
右書きのまま残る駅舎の駅名表示。これは地鉄では今でも木造駅舎の“標準装備”。
【2013年6月26日10時40分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 4.5 mm 露出 F4.0 1/60秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
撮影中、周辺にお住まいの方たちだろうか、お年寄りたちが駅構内を掃除していた。
出札口はベニヤ板で塞がれているが、駅舎内は荒れることなくキレイに保たれている。
【2013年6月26日10時44分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 11.6 mm 露出 F4.5 1/25秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
そして、この額も地鉄の木造駅舎の定番アイテム。
なぜ、この向きで描いたのか、道路の向かい側から見た駅舎の方が素敵だが...
【2012年10月8日8時56分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 40.0 mm 露出 F10.0 1/500秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光
ちょっと錆びて読みづらいが、もちろん、ホーム支柱には「皇国晴」。
この看板がないと地鉄駅とは言えない(?)
…… ……
そんなことで、千垣駅を撮り終え帰ろうと思っていたとき、何気なく旧駅務室部分を
ガラス越しに覗き込んでいて、見つけてしまった。
<変態鉄>にとっては大発見。
次回の地鉄のイベントでオークションにかけてくれないかな。
【2013年6月26日10時48分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 15.0 mm 露出 F4.5 1/20秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
この運賃表。
白墨書きなのも懐かしい感じだが、隣の有峰口までの運賃が60円!!
(現在の地鉄の最低運賃は200円)
それだけではない。上滝線(3列目)に「小杉」がないとか、
立山線(1列目下方)に「上横江」があるとか...、普段ならそれだけで興奮するが、
なんと、2列目上部に「粟巣野」が残っている。
粟巣野は千寿ヶ原(現在の立山)まで延伸されるまでの終着駅、1981年に廃駅となった
この駅がしっかりと記載された運賃表を見たのは初めて。
最下段付近、一部文字が消えてしまっているのが残念だが、
1970年台のものと推定される運賃表、貴重なものが無造作に置かれていた。
最後に少しだけ発見もあった千垣駅。
【2012年11月4日11時25分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F10.0 1/320秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート
駅の隣にムダに立派な公衆トイレがある以外、駅内も周辺もホントに何もない。
でも、この無人駅をまた訪れたいと思う<変態鉄>であった。
…… ……
今夜、どこで寝ようか...
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
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「仕事が忙しいの??」
そうではない。今夜、寝る場所がないのである。
明日まで自分は、珍しく15時上がり(← 朝が早いんです)の勤務シフト。
新宿の職場を出て、京王線新宿駅まではいつも通り。雨が降りそうな空だったが...
「14:54頃、京王線は落雷に伴う停電で運転見合せ」
中央線への振替輸送で帰途についた所までは良かった。
むしろラッキー。休日快速だと吉祥寺までは、新宿から中野、荻窪で3駅目。
京王線経由より早く帰れる。
でも、中央線の、あのE233系電車の硬いイスに座って、フト思った。
東京都の西部で“雷を伴う激しい雨”ということは...
早朝、自室の窓を全開にして職場に向かった自分...
…… ……
時すでに遅し。
なぜか机の上に広げていた一昨年に岐阜を訪れたときの旅行資料も、
改造中のキハ47気動車(ただし実物の1/150(笑))も、すでに水没していた。
それだけではない。寝室兼ホビールーム(笑)は、床も机もベッドも水浸し。
とりあえず雑巾で拭いて...、リビングに移動し冷房をかけて、パソコンに向かっている。
予備の布団もないし、今夜どうやって寝るかをこれから考えないと...、嗚呼。
では、今日の話題。昨日に続いて立山線の千垣駅をご紹介したい。
【2012年10月8日9時02分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 50.0 mm 露出 F11.0 1/320秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WB太陽光
ホントに常願寺川の急流と立山へ抜ける観光バスが頻繁に行き交う県道、
その間のホンのわずかな空間にへばりつくように佇む、この静かな駅は、
<地鉄マニア>の自分にとって、数ある富山地鉄の駅の中でも特にお気に入りの駅。
【2013年6月26日10時41分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 11.6 mm 露出 F4.5 1/500秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
昨日の記事の再掲となる、この1枚と...
【2013年6月26日10時39分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 15.0 mm 露出 F4.5 1/250秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
この貼り紙が、この駅の歴史を静かに物語っていた。
…… ……
今日は、この小さな駅の歴史と、<変態鉄>の大発見をご紹介したい。
長らく信仰の山として、畏敬の念をもって受け止められてきた立山連峰。
富山から、その立山を目指し、鉄道が敷設されたのは大正時代。
現在、富山地方鉄道を形作っている路線は、さまざまな中小私鉄が敷設した路線の集合体。
この千垣まで線路が敷かれたのは1923年(大正12年)4月のこと。
現在の南富山から、岩峅寺を経て横江(→ 上横江・廃止)まで開業していた
富山県営鉄道が1駅延伸され、この駅が終着駅となった。
【2012年10月8日9時42分】 富山地鉄立山線・千垣-有峰口
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 70.0 mm 露出 F7.1 1/640秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光
詳しい経緯は不明だが、それでも当時の土木技術からして、ローカル鉄道にとって
この架橋は困難を伴う大事業だったであろうこと、
だから、常願寺川を渡るすぐ手前のこの地に、さらなる延伸の前線基地を兼ねて
終着駅が置かれたこと、それらは容易に察しが付く。
この開業で、立山に対する人々の認識は、徐々に「信仰の対象」「修行の場」から
「レジャー登山の対象」へと変わっていったみたい。
14年後、1937年(昭和12年)10月には粟巣野(本宮-立山間、廃駅)まで延伸され、
立山へのアクセスはさらに利便性を増し、戦後に千寿ヶ原(後の立山)まで
再度延伸され、現在の地鉄立山線が全線開業するとともに、後の「アルペンルート」の
拠点となるのだった。
だから、冒頭の写真、現在のホームの向かい側(常願寺川サイド)に草むした
ホームの廃墟が見えるのも、この駅が14年間とはいえ、ターミナル駅だった
この駅が栄えていた、その名残でもあるのだ。
(本当は、行き違い設備を有峰口と横江に統合したため向かいのホームを廃止??)
【2012年10月8日9時00分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F7.1 1/160秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WB太陽光
でも、いまでは、本当に静かな無人駅。
右書きのまま残る駅舎の駅名表示。これは地鉄では今でも木造駅舎の“標準装備”。
【2013年6月26日10時40分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 4.5 mm 露出 F4.0 1/60秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
撮影中、周辺にお住まいの方たちだろうか、お年寄りたちが駅構内を掃除していた。
出札口はベニヤ板で塞がれているが、駅舎内は荒れることなくキレイに保たれている。
【2013年6月26日10時44分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 11.6 mm 露出 F4.5 1/25秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
そして、この額も地鉄の木造駅舎の定番アイテム。
なぜ、この向きで描いたのか、道路の向かい側から見た駅舎の方が素敵だが...
【2012年10月8日8時56分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 40.0 mm 露出 F10.0 1/500秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光
ちょっと錆びて読みづらいが、もちろん、ホーム支柱には「皇国晴」。
この看板がないと地鉄駅とは言えない(?)
…… ……
そんなことで、千垣駅を撮り終え帰ろうと思っていたとき、何気なく旧駅務室部分を
ガラス越しに覗き込んでいて、見つけてしまった。
<変態鉄>にとっては大発見。
次回の地鉄のイベントでオークションにかけてくれないかな。
【2013年6月26日10時48分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon PowerShot SX280 HS
焦点距離 15.0 mm 露出 F4.5 1/20秒 ISO400
プログラムAE CONTINUOUS AF WBオート
この運賃表。
白墨書きなのも懐かしい感じだが、隣の有峰口までの運賃が60円!!
(現在の地鉄の最低運賃は200円)
それだけではない。上滝線(3列目)に「小杉」がないとか、
立山線(1列目下方)に「上横江」があるとか...、普段ならそれだけで興奮するが、
なんと、2列目上部に「粟巣野」が残っている。
粟巣野は千寿ヶ原(現在の立山)まで延伸されるまでの終着駅、1981年に廃駅となった
この駅がしっかりと記載された運賃表を見たのは初めて。
最下段付近、一部文字が消えてしまっているのが残念だが、
1970年台のものと推定される運賃表、貴重なものが無造作に置かれていた。
最後に少しだけ発見もあった千垣駅。
【2012年11月4日11時25分】 富山地鉄立山線・千垣駅
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 65.0 mm 露出 F10.0 1/320秒 ISO400
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート
駅の隣にムダに立派な公衆トイレがある以外、駅内も周辺もホントに何もない。
でも、この無人駅をまた訪れたいと思う<変態鉄>であった。
…… ……
今夜、どこで寝ようか...
(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。
あなたの「ポチッ!」こそが、励みになります。あっ、あと、「nice!」も。
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現実に戻って、どう就寝されたのでしょうか?
by johncomeback (2013-08-11 20:36)
johncomebackさん
コメントありがとうございます。
現在、寝る方法を検討中です。明日も仕事なので、何とかしなくては...
部屋の大丈夫だった方に、座布団を並べて、バスタオルを布団代用にする予定です。
by あるまーき (2013-08-11 21:02)