SSブログ

しなの鉄道「ありがとう・さようなら169系」撮影記(4) [しなの鉄道169系]

2013年4月29日(月) 晴れ

0Y6C2164.JPG

とうとう最後の日。御代田駅近くのホテルの一室で朝を迎えた。
ちょっと古めかしい内装、でも、レストランも大浴場もあって、快適に過ごせた。
朝8時前、浅間山を見ながらホテルを出発、撮影地に向かったのだが...
……  ……

撮影地は、ホテル前の道路を西に向かって真っ直ぐ。数百メートル先の
小田井北交差点を右折、しなの鉄道との立体交差の手前の農道だが...

その小田井北交差点にはパトカーが止まっている。通行止め。
どうやら歩行者は通れる模様...、とりあえず、撮影地に向かってみるが...
どうやら、直前に交通事故があったみたい。実況見分が始まるとのこと。

その後、撮影地周辺で聞いた話では、前日から泊まり込んでいた“同業者さん”が
早朝からロケハンだか買い物だかで道路上を歩いていたところ、
遊んだ先から帰りを急ぐ若者のクルマに接触したらしい。
(後で「病院に搬送されたが、電話で会話できるくらいの状態」と聞いた)

自分はその事故は見ていない。ただ、フロント部分がメチャクチャになった
軽自動車がレッカー移動されようとしていたのと、二十歳そこそこのお兄ちゃんが
事情を訊かれていたのを見たくらい。でも、そのときのK察官の“柄の悪さ”というか横柄さ。
その若者には全く同情しないが、何だか、脇で見ているだけでも腹が立つような感じ。
(あと、“現場検証”って結構テキトーなんだなぁ、と。)

さて、話が逸れた。

何だか撮影ポジションも限定されそうだし、良い場所はいつの間にかおさえられているし、
浅間山バックは車体に光が回らないことが昨日で分かったし...

浅間山を入れる構図はキッパリ捨てて、許容人数が少ないのがリスクだが、
平原方にもう20分ほど歩いた先にある、高速道路とTDKの工場で挟まれたエリアで
編成写真を撮ってみようと決断したのは8時半過ぎ。

0Y6C2103.JPG
【2013年4月29日9時48分】 しなの鉄道線・御代田-平原
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 70.0 mm 露出 F8.0 1/200秒 ISO200
プログラムAE AIフォーカスAF WBオート 

迷いはあったが、とりあえず、そのポイントに足早に向かった。この「TDK前」も、
昨日の9連を撮った「うどん屋さん駐車場」と並んで、信越本線時代からの有名撮影地。
でも、ここの欠点は、背後には高速道路の高架が聳え立って、篠ノ井側には視界が
効かないこと。そう、事実上、下り列車専用の撮影地なのだ。

屋代から上り「志賀」でやって来て、下り「信州」として軽井沢を折り返すのが
今回の169系の運転スケジュール。だから、ここの撮影地は敬遠されたのか!?
ちなみに4本並んだ三脚の左から2番目が自分の。ほぼベストポジションをキープ!!

でも、その前に上りを。高速道路と木立...どうしようもない。
とりあえず、ズームは、目一杯、望遠側にして高速道路の橋脚だけはかわすことに。
もう苦し紛れの構図。本命の下り列車の場所取りに三脚は使っているので、手持ち撮影。
昨日と同様、115系5連の普通電車で試し撮り。

0Y6C2099.JPG
【2013年4月29日9時23分】 しなの鉄道線・平原-御代田
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 285.0 mm 露出 F6.3 1/1600秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WBオート 

何度も撮った3連ではなく、今日の169系は湘南色6連。編成全体を撮るのは無理。
でも、4両目以降が見えていて欲しい!! 
115系で見れば、後ろ2両(4,5両目)の「長野色」もチラッと見えている。少し安堵。
そして、まもなく、そのときがやって来た。

0Y6C2104.JPG
【2013年4月29日9時56分】 しなの鉄道線・平原-御代田
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 300.0 mm 露出 F7.1 1/1000秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光 

カーブの向こうから、あの塗色が見えてきた。
カメラが傾かないように、高速道路の橋脚が写らないように...細心の注意を払いつつ、
夢中でシャッターボタンを押し続けた。

0Y6C2126.JPG
【2013年4月29日9時57分】 しなの鉄道線・平原-御代田
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 300.0 mm 露出 F7.1 1/1000秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光 

軽井沢方先頭に、光が回る時間帯。苦し紛れ、ヤッツケ的な撮影地ではあったが、
何とかここに貼れるような写真を確保できた。
「左余白が広すぎたかなぁ...」と気になったのは、撮影後に見直していたとき。
でも、300 mmで撮ったのだから仕方ない。

0Y6C2129.JPG
【2013年4月29日9時57分】 しなの鉄道線・平原-御代田
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 135.0 mm 露出 F5.6 1/1000秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光 

腕は疲れるけれど、カメラを振りながら、どんどん撮れるのが手持ち撮影の機動性。
兎に角、169系の姿を追いながら、とことん、シャッターを切り続けた。
右下にフェンス(?)が映り込んでいるから、写真としては失敗作だが...

0Y6C2137.JPG
【2013年4月29日9時57分】 しなの鉄道線・平原-御代田
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 220.0 mm 露出 F8.0 1/1000秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光 

「下り列車用」の撮り方で後追いを撮って撮影を終えた。

……  ……

ここからが、本番!! 下りはちょうど1時間後に戻ってくる。
いよいよ、三脚にカメラを固定。6両編成をできるだけアップで撮れるように
フレーミングを調整、このとき、10人ほどの撮影者が居ただろうか。

0Y6C2149.JPG
【2013年4月29日10時06分】 しなの鉄道線・御代田-平原
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 90.0 mm 露出 F7.1 1/1000秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光 三脚使用

すぐに、「試し撮り」用の115系5連が通過。正面も黒く潰れずに思ったより良さそう。
この頃から、上り「志賀」を別の地点で撮っていた人が順次加わってきた。

休日でTDKの工場は稼働していないのか??
あまりクルマの通行の多い道ではないが、三脚は二重三重に並び始めた。
どんどん人は増えてくる一方。三脚と三脚の間から、ちょうど互い違いになるように
2列目の撮影者、三脚の“股の間”にも中学生くらいの子が潜り込んで、柵の間から
レンズを向ける。やがて、3列目、4列目もできてきた。
主に、クルマ派の方が、高さが2~3 mもあるような大型三脚を広げ、脚立にのって
カメラを構える...、自分は最前列で線路に近いベストポジションを確保したのは良かったが、
足を動かそうとすれば、2列目の方の三脚を蹴ることになり、首を振れば、耳元に
のびてきているレンズにぶつかりそう...、微動だにできない。辛い待ち時間。

“お別れ運転”の撮影となれば、「オマエ、そこ腕がじゃまなんだよ~」なんて、
罵声が飛び交い、殺伐とした雰囲気になることもある。

でも、ここはお互いに情報交換をしたり、昨日の撮影成果について語り合ったり...
和気藹々とした雰囲気で、そのときを待つことができたのは幸いだった。

やがて、11時を過ぎると、50人以上は居たはずのこの地点に不思議な静寂が。
向こうの方からヘッドライトの光が見えてきた。

0Y6C2164.JPG
【2013年4月29日11時04分】 しなの鉄道線・御代田-平原
<撮影データ>
Canon EOS 5D Mark III/EF28-300mm f/3.5-5.6L IS USM
焦点距離 90.0 mm 露出 F7.1 1/1000秒 ISO400
シャッター速度優先AE AIフォーカスAF WB太陽光 三脚使用

一斉にシャッター音が響き渡った。もちろん、自分も無我夢中で。

……  ……

9連で走る午後の運転も撮りたいが、自分は午後から勤務。急いで東京に戻らねば...
御代田駅までは、タクシーを予約しておいた。

話してみると、運転手さん
「急行“信州”“妙高”でしょ。何系とかはわからないけど、国鉄職員だったからね」
聞けば、分割民営化の時に国鉄を去って、その後、タクシードライバーになったと。

「最後の年は大変だったよ。毎日のように助役が来てね...
国鉄から出向の扱いをとれば、5年間は国鉄職員の身分だって...
でも、出向先って○○(自動車会社)とか○○(塗料メーカー)、
別にペンキ作りたくて国鉄に入った訳じゃないって...」

自分がカメラを通して追い求めているのは「国鉄の香りのする鉄道情景」
でも、その「国鉄」というのも、その時代を、現に生きた方々にすれば...
国鉄型車両のフィーバーで沸く、地元の町をどういう思いで見つめていたのか。(つづく)

(※)撮影時刻は写真データのものです。したがって、実際の時刻とは多少前後します。

あなたの「ポチッ!」こそが、励みになります。あっ、あと、「nice!」も。
にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

nice!(26)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 26

コメント 4

ミスター仙台

どの写真も自分の作品と比較すると素晴らしいと思います。
東北本線を走っていた「なすの」を思い出します。
撮影地での和気藹々とした雰囲気は良いですね、
罵声が飛び交う撮影地は周囲も殺伐としてしまい、
折角の撮影の楽しみも台無しですからね。
by ミスター仙台 (2013-05-10 09:27) 

あるまーき

ミスター仙台さん

コメントありがとうございます。

拙い写真に過分なお言葉を頂戴しまして、恐縮しております。

さて、169系のもとになった、165系の最初期の“活躍の舞台”は黒磯以南の東北本線でもありましたね。臨時準急「湘南日光」なんてのもあったかと。

一部、マスコミ報道では「撮り鉄たち」の行き過ぎた行為を面白おかしく取り上げているものもあったようですが、実際には、自分の行った撮影地はどこも和気藹々としたムードでの撮影で、トラブルなんてありませんでした。
by あるまーき (2013-05-10 11:48) 

やぶお

あるまーきさん、こんにちは。
169系撮影秘話・・・おもしろく拝見しました。
ずっと心に刻まれるツアーになったのではないでしょうか。

あのカーブを通る169系のきれいなお写真・・・
実はフェンスの隙間からの撮影だったのですね。
あの状態から美しいお写真をモノにするあるまーきさん。
まさにあるまーきマジックですね。


by やぶお (2013-05-18 09:10) 

あるまーき

やぶおさん

コメントありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ありません。
さて、あの写真、実はフェンスの隙間からの撮影でした。フェンスの向こうは木々が枝を伸ばしており、その先には高速道路の橋脚。そこに10人以上がいた訳ですから、徒歩派の自分、脚立もハスキーのような大型三脚もある訳でなく、他の人たちがカーブの奥の直線区間を見渡そうと必死になっている中で、自分だけ数歩分離れたところから、カーブ狙いで撮りました。手持ち撮影ですが、上下左右どちらも数cmずれれば撃沈写真でした。最後の最後の撮影で、あんな綱渡りのような撮影がうまくいって、まさにガッツポーズでした。
by あるまーき (2013-05-19 20:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0